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キヤノンITS、メインフレームからの移行を支援する「マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェア」を提供

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は28日、メインフレームからオープン環境へのマイグレーションツールを拡充し、同社が開発した“マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェア”を提供開始した。

 マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェアは、メインフレームのオンライン制御機能(IBM:CICS、IMS、NEC:VISⅡ、富士通:AIM)を代替するプラットフォームで、保守サポートを含むサブスクリプションで提供することで、顧客システムのモダナイゼーションに向けた取り組みを支援する。

マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェアの位置付け

 キヤノンITSでは、1960年代から1980年代にかけて、メインフレームは企業や政府機関の基幹業務システムとして広く採用されたが、長年にわたり使用されてきたことにより、システムが老朽化および複雑化していることや、メインフレームを扱える技術者の減少により、将来的な運用保守の対応がユーザー企業の課題となっていると説明。また、メインフレームには高額な運用コストがかかるため、オープンプラットフォームの活用によるコスト削減と柔軟性の確保を指向する企業が増えているという。

 こうした課題をかかえる組織に対して、マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェアにより、メインフレームのオンラインプログラムに大きく手を加えることなく、オープン環境でオンライン処理を実現できるとしている。

 マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェアは、オンラインプログラムの多重実行制御や端末IDの管理など、現行メインフレームのシステム定義に基づく挙動をエミュレートする。従来のインターフェイスのままで機能を実装することで、既存の開発スキルの活用や開発生産性を維持できる。また、アプリケーション移行時の変換リスクも最小限に抑える。

 顧客固有の要望に柔軟かつ迅速に対応できるよう設計しており、パフォーマンスの最適化や拡張性など、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが可能。従来の端末エミュレーターの操作性を再現できるため、エンドユーザーに対し移行後の操作説明などの対応が不要となり、移行後の教育工数を削減できる。

 さらに、キヤノンITSが提供する保守サービスにより、本番環境への移行後も最新OSへの対応など、顧客のシステム運用をサポートする。

 マイグレーション用オンライン基盤ソフトウェアの価格は月額75万円(税別)から。キヤノンITSは引き続き、顧客のIBM/NEC/富士通製メインフレームからオープン環境へのマイグレーションを支援するとともに、マイグレーションツールの機能拡充を進めると説明。また、RAG(Retrieval Augmented Generation)を用いた生成AIによる生産性および品質向上、課題解決の迅速化、マイグレーションの知見を持たない技術者へのスキル補完を実施するなど、キヤノンITSが保有するマイグレーションのノウハウを生かし、顧客システムのモダナイゼーションを加速させていくとしている。