NECと豊田自動織機、量子コンピューティング技術を活用し出荷時の荷積みと配車を最適化するシステムを開発

　日本電気株式会社（以下、NEC）は28日、株式会社豊田自動織機に向けて、量子コンピューティング技術を活用し、フォークリフト出荷時の荷積みと配送先の組み合わせ（配車）を最適化するシステムを構築したと発表した。同システムは、10月から同社の高浜工場で本格稼働を開始している。

　豊田自動織機の高浜工場では、国内向けに年間約4万台のフォークリフトを生産し全国へ出荷しているが、フォークリフトの場合、顧客がオーダーする車両の仕様が多岐にわたっており、重量や形状が一台一台異なっているという。このため、複数台の輸送トラックへの荷積みと配車を同時に最適化しようとすると、組み合わせ数が約1兆通りと膨大になってしまい、従来技術では自動化が困難だったとのこと。

　また、こうした複雑な計画立案を精度高く実施するためには、実践での経験が必要なことから、担当者の人材育成も課題となっていた。

　そこでNECは今回、豊田自動織機、同社の情報システムの開発・運用を行う株式会社豊田自動織機ITソリューションズとの共同で、量子コンピューティング技術を活用して、「荷積み」と「配車」を最適化するシステムを構築した。

　このシステムにおいて、トラックの最大積載重量、荷台サイズ、配送先など、約100項目にわたる制約条件を加味した“組合せ最適化問題”を解くアプリケーションを開発し、高浜工場での出荷計画業務に適用したところ、熟練者の約6分の1以下の時間で計画を立案でき、同時に積載率向上を実現したとしている。また、輸送費の低減、CO2削減にも寄与するとのことだ。