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量子コンピューティングクラウドサービス「Fixstars Amplify」、NECの「NEC Vector Annealingサービス」を標準マシンに追加

 株式会社Fixstars Amplifyと日本電気株式会社(以下、NEC)は16日、Fixstars Amplifyが運営する量子コンピューティングクラウドサービス「Fixstars Amplify」において、ベンダー各社と個別にマシン利用契約を行うことなく利用できる標準マシンに、NECが提供する大規模かつ高速なアニーリングサービスである「NEC Vector Annealingサービス」を追加し、Fixstars Amplifyのオプションサービスとして5月に提供開始すると発表した。

 Fixstars Amplifyは、組み合わせ最適化問題を解決するシステムを開発・運用できるクラウドサービス。従来型のコンピューターと量子コンピューターの両方を同様に扱える互換性と、個々の問題に合わせた汎用性の高いアプリケーションを手軽に開発できる点を特徴とする。

 各社が提供している組み合わせ最適化問題に特化した量子アニーリング・イジングマシンや数理最適化ソルバー、ゲート式量子コンピューターを、それぞれの専門知識がなくてもクラウド環境で手軽に利用できる。エンドユーザー向けのシステムをプログラミングして実装する現場では、Fixstars Amplify SDKが、使いやすい開発環境として複数のマシンに接続され、広く利用されている。

Fixstars Amplifyは、組み合わせ最適化問題を解くシステムの開発・運用を実現

 新サービスでは、このSDKを通じて連携する先として、「NEC Vector Annealingサービス」を新たな選択肢として追加し、評価目的には無料サービスから実行できるようにすることで、より手軽にシステムの開発に着手し、実業務で使えるシステムとしての稼働・運用まで、円滑にシステム開発を進められる。

 NEC Vector Annealingサービスは、大容量高速メモリと高速行列計算を可能とするコンピューター「SX-Aurora TSUBASA」と、探索効率に優れた独自のシミュレーテッドアニーリングエンジンを組み合わせた、疑似量子アニーリングプラットフォーム。NECグループ内の実業務でも既に稼働しており、最適化問題の解決を通じてDX推進の現場や業務パフォーマンス向上において実績をあげている。

 新サービスはFixstars Amplify SDKを通じて、NEC Vector Annealingサービスに直接接続できる環境が提供され、ユーザー登録・契約・サポートまでワンストップで提供できるようになる。Fixstars Amplifyの利用者は、NEC Vector Annealingサービスと連携させて使用する際に、サービスの実行環境の準備や管理が不要となり、円滑な導入と運用が可能となる。

 NEC Vector Annealingサービスを使用する際の価格は、Fixstars Amplifyのオプションサービスとして月額30万円(税別)からで、購入後すぐに利用できる。また、Fixstars Amplifyのユーザー登録をすると、NEC Vector Annealingサービス利用オプションの無料トークンが自動的に付与され、NEC Vector Annealingサービスがすぐに利用できる。

 Fixstars AmplifyとNECは今後も、同環境を通じて、さまざまな分野で社会が抱える最適化問題を検討段階から実装まで顧客に寄り添い、研究用途だけでなく、実務課題を解決できる実践的なソリューションサービスを提供していくとしている。