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PKSHAグループとTOPPANエッジ、生成AIの回答精度を向上するRAGサービスを共同開発

 株式会社PKSHA Technologyと株式会社PKSHA Workplace、TOPPANエッジ株式会社の3社は25日、生成AIの回答精度を向上させる新RAGサービスを共同開発し、サービス提供の第一弾として「PKSHA AIヘルプデスク」に新RAGサービスを活用できる新プランを搭載し、金融業界を中心に10月15日に販売開始すると発表した。

 3社では、企業・団体では生産性向上や業務効率化のために、生成AIの活用が一般的になりつつある一方、生成AIを社内業務で高度に活用するために欠かせないRAGにおいては、人が読むことを前提に作成されたマニュアルを生成AIが正しく情報を処理できず、誤回答やハルシネーションリスクの要因となっていると説明。

 PKSHAグループが持つ、生成AIなどのPKSHA LLMSによる技術力・開発力、「PKSHA AIヘルプデスク」などで培ってきた社内ナレッジマネジメントの運用ノウハウと、TOPPANエッジが持つ、BPOなど金融機関のバックオフィス業務の受託により培った金融業務知見や、金融領域をはじめ、幅広い業界の企業・団体におけるドキュメント加工・運用の実績とノウハウを掛け合わせ、生成AIの大幅な回答精度向上を実現する新RAGサービスを開発することで、企業・団体の知的資産のさらなる活用や従業員の業務効率化を実現し、革新的な従業員体験の提供を目指す。

サービスの提供イメージ

 生成AIを企業の業務効率化に活用する際は、参照データの構造化やアルゴリズムのチューニングをすることでRAGの回答精度を高めることが重要だとして、サービスはその両面を設計でき、各工程を単独で設計した際と比較して高い回答精度の実現が可能になるとしている。

 また、マニュアルなど膨大な量のドキュメントに対して、AIリーダブル化に特化した独自の生成AI専用ツールを用いることで、一括での構造化をサポートする。

 サービスの開発にあたり、5月7日から9月6日まで、株式会社静岡銀行の協力のもと、同行の行内規定類やマニュアルを題材に実証実験を実施した。実証実験では、静岡銀行が検証対象となる元データとして行内規定類やマニュアル全34種を選定し、当該規定などに関する質問および模範回答を作成。TOPPANエッジの新たな生成AI専用ツールで、元データをPKSHA LLMSに最適化された文章に構造化し、PKSHAグループの新たな文字抽出・分割技術と検索アルゴリズムを組み合わせ、データベースを作成した。

 そのデータベースを適用した「PKSHA AI ヘルプデスク」に対して、静岡銀行行員が質問した回答を取得。静岡銀行がその回答と模範解答を比較して正誤判定の上、評価した結果、質問に対する回答の根拠が含まれるドキュメントを検索できた割合(ドキュメント正解率)が87.3%から95.4%に、質問に対する回答の根拠が含まれるテキストの塊(チャンク)まで検索できた割合(チャンク正解率)が63.2%から84.6%に向上し、一般的なRAGと比較して回答精度が約2割向上したという。