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NTTアノードエナジーなど8社、エネルギーグリーン化のための新たな電力流通モデル「Internet of Grid プラットフォーム」を開発
2024年9月24日 06:30
NTTアノードエナジー株式会社、大崎電気工業株式会社(以下、大崎電気)、日本電気株式会社(以下、NEC)、NTTテクノクロス株式会社、三菱電機株式会社、株式会社NTTデータ東北、NTTテレコン株式会社、株式会社ACCESSの8社は20日、再生可能エネルギーが主流となるエネルギーグリーン化社会を支える新たな電力流通モデル「Internet of Gridプラットフォーム(以下、IoGプラットフォーム)」を開発したと発表した。
IoGプラットフォームは、電力系統の潮流データを把握する仕組みと、再生可能エネルギーの発電量が増え、電力系統の電圧上昇や電流容量が大きくなった場合にこれらを抑制するための蓄電池とで構成される。
電力系統の潮流データ把握は、新規開発したスマートメーターにより実現する。このスマートメーターは、電力計量部はそのままだが、通信部に新機能を追加することで、系統電流や電圧などの潮流データの把握が可能になった。これにより、これまで想定が難しかった、配電系統における再生可能エネルギーの連系可能量をより正確に把握でき、再生可能エネルギーの導入拡大につながる。
晴れの日の昼間など、再生可能エネルギーの発電量が増えると、電力系統の電圧上昇や電流容量が大きくなり、設備許容値を逸脱するリスクが発生する。こうした事象が潮流データから予見された場合、IoGプラットフォームの蓄電池を充電して電圧上昇や電流容量を抑制する。これにより、再生可能エネルギーの発電量や連系可能量の増加につながる。
さらに、IoGプラットフォームの蓄電池はこれらの活用に加えて、夜間などには蓄電池に充電した電力を電力取引市場(卸電力取引市場、容量市場、需給調整市場)などに活用でき、ブラックアウトなどの非常時には代替供給力となる非常時マイクログリッドにも活用できる。
また、電気給湯器やEV充電器等で標準化されているECHONETLiteなどの通信対応機器であれば、HEMSなどの機器を介さなくても監視・制御などが可能となる環境を、新規開発したスマートメーターに搭載し、需要家向けエネルギーサービスのハブ機能としてスマートメーターを活用できるようにした。これにより、電気給湯器やEV充電器などの電気については再生可能エネルギーを利用しやすくなる。
IoGプラットフォームは、スマートメーターをハブとして、エネルギーデータをインターネットインフラに上げて蓄電池や需要家リソースを制御する仕組みで、電力インフラに通信を融合させたプラットフォームとなる。エネルギーグリーン化社会において、再生可能エネルギーを増やし、再生可能エネルギーを利用しやすい新たな電力流通の基盤として、IoGプラットフォームを活用できるとしている。
NTTアノードエナジーでは、岐阜県八百津町の協力のもと、大崎電気、NEC、NTTテクノクロス、三菱電機、NTTデータ東北とともに、八百津町に設置した蓄電池やスマートメーターによるIoGプラットフォームを用いて、電圧上昇対策としての蓄電池制御の実証を9月より行う。
具体的には、八百津町施設および蓄電池を設置したNTT施設敷地内にスマートメーターを設置し、スマートメーターで計測した電圧等の潮流データについて、IoGプラットフォーム内にある潮流マネジメントシステムで把握・管理を行い、電圧上昇の状況に応じて蓄電池を制御して、電圧上昇の抑制を図る。
さらに今後、NTTアノードエナジーは、IoGプラットフォームにおいてエネルギーサービスのハブとなるスマートメーターを活用して、電気給湯器やEV充電器などの需要家リソースの監視や、制御の実現に向けた取り組みをACCESSとともに行う。
また、電力使用監視(デマンド監視)や水道・ガスなどの共同検針の実現に向けた取り組みについても、大崎電気やNTTテレコンとともに行う。
将来的には、エネルギーサービスだけでなく、防災情報などの自治体サービスとの連携などに向けた取り組みについても検討を進める。IoGプラットフォームのスマートメーターには、これらが可能となるよう多様なサービスのハブとして活用できる機能を搭載しており、また、HESに振り分け機能を搭載することで、サービス事業者にとって事業展開しやすい環境を提供するとしている。