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リコージャパン、2024年度はAI・セキュリティ・GXの3つに注力
ユーザーに寄り添う伴走サービスによって企業を支援
2024年8月22日 06:30
リコージャパン株式会社は21日、2024年度事業戦略説明会を開催。2024年度の注力事業として、ユーザーからの関心が高いAI・セキュリティ・グリーントランスフォーメーション(GX)の3分野を挙げた。AIやGXはユーザー側でもどのように対応すればいいかを悩んでいるケースも多いことから、リコージャパン自身の社内実践などで得た知見をもとに、ユーザーに寄り添う伴走サービスによって、AI・セキュリティ・GX導入を支援していく。
代表取締役社長執行役員の笠井徹氏は、「当社のメイン顧客層である日本の中堅・中小企業のお客さまを中心に、課題として持たれているところにしっかりと寄り添って一緒に課題を解決していく、これが我々のスタンスとなる」とアピールした。
リコージャパンは、リコー製品の国内販売を統括する企業で、全国に48支社、349拠点を持ち、1万8000人の従業員を抱えている。なお、代表取締役社長執行役員の笠井徹氏は2023年11月に社長に就任しており、リコージャパン単独の記者会見としては、社長就任後初になるという。
現在、リコージャパンでは次の5つを主要戦略としている。
1)業種業務課題を解決するデジタルサービス事業の拡大
2)地域・社会課題解決に向けた価値提供領域の拡大
3)高効率な市場カバレッジ体制の再構築
4)課題創造型体質への変革に向けたデジタル人財への投資拡大
5)社内DXの加速と経営品質の向上
「リコー全体の話になるが、現在、リコーグループではデジタルサービスの会社へと転身を進めている。2025年には6割をデジタルサービス事業とするという目標を掲げているが、リコージャパンはそれに先駆け、すでにデジタルサービス事業が5割を超えるところまで来ている」(笠井社長)。
その中でリコージャパン自身の強化ポイントとして、AI、セキュリティ、GX(グリーントランスフォーメーション)の3つを挙げている。
「今年はデジタルサービス事業を進める中で、AI、セキュリティ、それからGXの3つをしっかり取り組んでいく。お客さまにデジタル化、DXを推進している中で、ものすごく関心が高まっているのがAI。AIを実践し、データ活用を進めていくと、デジタル化されたデータを守る必要が高まる。そこで対策を強化する必要があるのがセキュリティだ。AXとセキュリティの2つは、デジタル化、DXを進める際、しっかり取り組まなければいけないというお客さまが多く24年度の重点課題となっている。それから、社会課題の1つとして脱炭素ソリューションの充実も必要。社内でももちろん取り組んでいるが、その成果をお客さまに還元していく取り組みを進めていく」。
また、顧客向けに開催したオンラインイベント「RICOH Value Presentation 2024」でアクセス数が多かったセッション上位3つが、DXの成功パターン、生成AI最前線、サイバー攻撃の対処法だという。
視聴した感想として、AI関連に対しては「業務内容においてAIをどのように活用できるかということがまだ明確でないため導入の検討もできない」、「AIを活用することで、どう売上利益を向上させるかの具体的施策がまだ見えてこない」、「AIを使って業務の効率化を図ろうとする社内の意識が欠如している」と、興味は高いものの、実践するまでのとまどいが大きかったとした。
一方セキュリティに対しては、「AIを導入するうえでセキュリティにつてどのように確保されているか把握し、全社で統一理解することが必要」など、あらためて対策の必要があることを認識したという声が多かった。
GXに対しても、「上層部はそこまで前のめりではなく、従業員も何をやっているのかわからない方が大半」など、対応の必要性はあるものの、何らかのとまどいがあるという声が多かった。
こうした声を受け、リコージャパンは社内実践と伴走サービスを提供するとのことで、「社内実践を踏まえ、お客さまに寄り添ってサービスを提供していくということで、私どもでは伴走サービスを提供していく。何をやりたいのかから、お客さまと一緒に考え、それを実現し、さまざまなソリューション、あるいは我々の社内の実践で得たもの、あるいはさまざまなお客さまと一緒に作り上げたソリューションを伴走しながら提供していく」と述べた。
例えば、3つの強化ポイントのうちAIに関しては、活用方法に悩み、社内に対応できる人材がいないことに苦慮する企業が多いことから、リコージャパンのスタッフが顧客に寄り添いながら使いこなせるAIを提供。社内実践で、経費処理や人事問い合わせのような全社員共通業務、営業などの際の提案内容相談やコールセンター業務のような特定業務、マイクロソフトのCopilot for Microsoft365を活用した個人業務まで、リコーが提供するソリューションを使い、社内実践によるノウハウをもとに伴走しながらサポートするとした。
また、8月21日付けでリコーが、日・英・中の3か国語に対応した700億パラメータの大規模言語モデルを開発したことを発表。オンプレミスでも利用できることから、情報流出などを懸念するユーザーに対し、クローズな環境での利用を可能にする。こうした特徴をアピールしながら、ユーザー獲得を目指す。
「社内実践としては、全社員対象とした社内問い合わせでのAI活用、バックオフィス業務での請求書に絡む業務でのAI活用などを行い、自分たちの業務改善とともにAIの評価を進めるといった試みを行っている。マイクロソフトとのアライアンスで、社内には約800人のエバンジェリストがCopilotを使ったユースケース作りなどを進めている。その一方、セキュリティ的な課題が明らかになってきたことで、プライベート環境でAIを使いたいというお客さまもいらっしゃるため、そういったお客さまにはリコーが新たに発表した700億パラメータの大規模言語モデルを活用した、プライベート環境のAI構築といった需要にも応えていきたい」
なお、現状でAI導入を進めているのは大規模および中堅規模企業がほとんど。「中小企業のお客さまのAI導入は、製品にAIが組み込まれてから本格化するのではないか」と笠井社長は指摘した。
2つ目のセキュリティに関しても、社内実践と伴走サービスによってセキュリティ導入を支援していく。伴走サービスによって、ユーザーのセキュリティライフサイクルに合わせ、セキュリティ体制の構築から、対策実践まで幅広く支援する考えを示した。
多層防御については、昨年資本業務提携したデジタルデータソリューション社の製品販売本数が、昨年度の234本から、2024年度は4月から7月までの期間だけで倍以上となる448本を販売したとのことで、今後もさらに販売本数増加を目指していく。
最後のGX、脱炭素ソリューションについては、「ロードマップや戦略の作成・策定」、「エネルギー活用の設備導入・運用」、「助成金・補助金の申請サポート」など幅広く伴走してく計画だ。リコージャパン自身は、新規事業所の脱炭素実践事業所化を推進し、自分たち自身が省エネ・脱炭素化を促進するとしている。