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リコージャパン、2025年度も引き続きユーザー・地域・社会の課題解決をデジタルで支援
2025年6月20日 06:00
リコージャパン株式会社は19日、2025年度の事業戦略説明会を開催した。2024年度から掲げている主要戦略を変更せず、2025年度も継続。リコージャパン 代表取締役社長執行役員CEOの笠井徹氏は、「25年度も基本戦略を維持し、デジタルの力でお客さま・地域・社会の課題を解決していく」とアピールした。
その中で、業種業務課題を解決するデジタルサービス事業の拡大として、Windows 11マイグレーションを切り口とした中堅・中小企業へのDX提案を加速する。独自LLMを活用し、企業ドキュメントのデジタル化とAI活用を支援し、新たにAIエージェントを提供するPoCもスタートする。「RICOH Smart Huddle」として、リモートワーク、ハイブリッドワークなど従業員の働き方支援を進める。地域・社会課題解決に向けた価値提供領域の拡大として、医療現場に向けたDXを加速していく。
リコージャパンは、リコー製品の国内での販売を統括する企業で、国内に341拠点を持ち、事業を展開している。昨年度から取り組んでいる主要戦略が次の5つになる。
1)業種業務課題を解決するデジタルサービス事業の拡大
2)地域・社会課題解決に向けた価値提供領域の拡大
3)高効率な市場カバレッジ体制の再構築
4)課題創造型体質への変革に向けたデジタル人財への投資拡大
5)社内DXの加速と経営品質の向上
笠井社長は2024年度を振り返り、「業績面は、先般、リコーの決算発表でお話しした通り、オフィスサービス分野が大きく成長し、2桁成長となった。特にITサービスが15%成長している。それ以外で成長が著しかったのがアプリケーションサービス領域。ソフトウェアを中心としたビジネスが12%増で、昨年初めて1000億を超えて1100億円の事業となった。オフィスプリンティングも引き続き注力し、コロナ禍でかなり縮小したものの、その後は反動で戻り、その後、23年は少し落ちるといった状況だったが、底を打ったようで国内需要は安定してきたという印象を持っている」とコメント。
また「PFUがリコーグループとなったことで、リコーの複合機にPFUの業務用スキャナーを融合したSDモデルが登場し、どんな紙でもスキャナーで読み取ることができるようになった。これが他社にないモデルとして好評で、AI活用のためのデジタル化を進めるお客さまなどでの活用が増えている。業種・業務提案については、業務アプリケーションのスクラムパッケージが26%増、ソリューションをカスタマイズして提供するスクラムアセット32%増と伸長している」と話した。
その上で、各戦略の2025年度についても説明した。
1)業種業務課題を解決するデジタルサービス事業の拡大は、2024年度から引き続きWindows 11マイグレーションを軸に、顧客の課題に寄り添う提案を強化していく。具体的には、「DXエコシステム」に基づくアプリケーションを中心に提案を行い、業種業務・基幹業務のDXを促進する。DX/GXの加速を見据えた複合機の提案を継続に進める。問い合わせが増えているセキュリティ分野では、中堅・中小に向けた多層防御提案を強化する。
また、海外の「ワークプレイスエクスペリエンス」領域のサービス展開など、「RICOH Smart Huddle」の展開をさらに加速する。Smart Huddleは、リモートワーク、ハイブリッドワーク、さらにDXによる業務改善など、社員のさまざまな働き方を支援するソリューションを提供していく。
なお、2024年度から注力しているAIについては、「まずは大手からで、中堅・中小企業のAI導入はアプリケーションへの組み込みなどが進んでからと昨年度の説明会でお話しした。1年経ち、先進的なお客さまは中堅・中小企業であっても積極的にAIを導入するケースが出てきている。ただし、それが全お客さままで広がっている状況ではない。やはり、アプリケーションなどにAIが組み込まれることで、中堅・中小企業のAI利用が増えていくのではないか。既にAIを組み込んだパッケージも登場しており、今後さらに気がつかないうちにAIを使っていたというお客さまが増えるのではないか」と笠井社長は分析した。
2)については、領域間でのシナジーを発揮し全国に事業を本格展開する。また、GXとして、脱炭素STEPへの伴走モデルの展開を拡大。自治体向けには、2ndGIGAを含め導入団体数を増加することを狙う。ヘルスケア領域では、医療の働き方改革に貢献するソリューションを展開する。
「医療機関向けビジネスは、弊社の複合機が数多く採用され、大手病院のほとんどに導入されている時代があったほど。そのためリコージャパン社員が医療機関にお邪魔する機会も多かったが、その中で我々が医療機関にできるDX領域はどこだろう?と2023年ごろからいろいろ検証してきた。それが2024年度からここがポイントでは?と思える部分が見えてきたことで、医療機関向けDX事業拡大を目指していく」(笠井社長)。
3)高効率な市場カバレッジ体制の再構築は、アウトバウンド・インバウンドの両面に基づくデジタル展開を強化するほか、自治体・地銀・信金との連携協定に基づくビジネス展開を強化していく。
4)課題創造型体質への変革に向けたデジタル人財への投資拡大は、2024年度にはアップデートした新人事制度の展開・定着が進み、Microsoftソリューションエバンジェリスト、kintoneスペシャリスト、バックオフィススペシャリスト、セキュリティスペシャリスト、AIエバンジェリストの5領域では、プロレベル3以上の社員を8126人、延べ762人のスペシャリストを育成した。
2025年度は5領域に、ワークプレイスにデジタルサービスを組み合わせた空間や働き方をコーディネートできる「SmartHuddleスペシャリスト」など、新たな分野特化型領域を加え、プロ人材を育成する。2025年度に9700人の育成を目指すという。
5)社内DXの加速と経営品質の向上では、これまでも進めてきた紙の文書のデジタル化をさらに進めていく。社内文書の93%をデジタル化したというが、2025年度はITサービス申込書など、残り7%の契約書をシステム化。DX・AIの社内実践を拡充し、業務プロセスを改革する計画だ。
なおリコージャパンでは、コロナ禍で実施を中止していた自社イベント「RICOH Value Presentation」を、7月1日・2日の東京会場を皮切りに全国57会場で開催する。
「いよいよ6年ぶりにリアル開催する。部門長、経営者の方向けに、セミナーと展示をご覧いただく場となるが、我々としてはお客さまと接することでお客さまの課題をどれだけ聞き取り、共有、共感していくことを目的にやろうよと、社内で話している」(笠井社長)。
さらにイベントだけでなく、リコージャパンの拠点を使って、DXによる課題解決、最新プリンティング技術とDXなどを近くで見る機会を作ることで、リコーが提供するソリューションを体感できる環境作りを進めていくとしている。