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イトーキ、従業員がオフィススペースを有効活用できているかを画像解析で測定するアプリケーションの研究開発を開始

 株式会社イトーキは20日、リニューアルや移転が完了したオフィスで、従業員がスペースを有効活用できているかの効果検証を主な目的として、画像解析で定量測定が可能なアプリケーションの研究開発を開始したと発表した。

 イトーキのDX推進本部では、次世代の働き方に関するサービスを提供するため、先端テクノロジーを活用した研究開発を行っており、今回の取り組みはその一環となる。

 取り組みでは、画像解析の検知モデルの開発に必要な調査をオフィスで実施し、業務中の活動の分類と定義付けを行った。オフィスでの活動は、1人の作業、2人以上の作業、ミーティング、電話、集中、休憩など、さまざまなパターンに分類されるため、それらひとつひとつを一から定義し、アルゴリズムを構築することで、定量的な画像解析の測定を可能とする。さらに将来的には、オフィスの構築・運用サービスの価値向上を目指す。

 調査は従業員の理解を得て実施しており、オフィスの一部で従業員の働き方をカメラで撮影し、画像解析を行っているが、個人は一切特定せず、活動のみを調査対象としている。また、取得した画像についてはクラウドへの保存ではなくエッジ処理を検討し、慎重に推進しているという。

 調査は、リニューアル後のイトーキの名古屋オフィス「ITOKI NAGOYA DELA」で、株式会社オージス総研と共同で行った。オフィスの一部のエリアを360度カメラで撮影し、調査メンバーが目視でも従業員の活動記録を実施。各自の活動を人、物、場所の観点で記述し、データを収集した。

 その後、従業員のオフィスでの活動を分類し「活動の定義」を決定する。具体的には、定義名とそれに対する説明を定める。あらかじめ分類された既存の活動を再定義する検証ではなく、活動観察で得たファクトをもとに一から「活動の定義」を決定している。

 調査後に行われた「活動の定義」のワークショップの結果、今回はインフォーマルな「チャット」活動の定義付けを行った。チャット活動の特徴としては、1)2人以上の会話の内容が仕事か否かは問わない雑談、相談、報告、2)1人が意志を持つ、もしくは偶発的な出会いで会話が発生、3)場所は特定の会議室ではないスペース、4)お互いの距離が1メートル未満――が挙げられるという。

 イトーキでは今後、調査を基に「活動の定義」を増やすことで、画像認識AIモデルのためのアルゴリズムを構築し、活動を定量的に測定するアプリケーションの開発を開始するとしている。