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NTTデータ、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステム「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を提供

 株式会社NTTデータは16日、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステム「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を提供開始した。

 バッテリートレーサビリティプラットフォームは、バッテリーのライフサイクルに関わる国境を越えた企業間でのデータ連携を可能とし、欧州で2023年8月に施行された電池規則における、バッテリーのライフサイクル全体でのCO2排出量や資源リサイクル率の欧州委員会への開示に対応する。経済産業省の令和4年度および令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」での機能実証成果を踏まえ、まずは、バッテリー製造時のカーボンフットプリント情報を企業間で安全に連携可能にする機能を提供する。

 NTTデータでは、カーボンニュートラルの達成や資源循環型社会、人権・環境デューデリジェンスの実現など社会課題の解決策として、サプライチェーンおよびバリューチェーン全体で各組織が保有するデータを安全かつ正確に流通できる仕組みが求められていると説明。特に、欧州において2023年8月に施行された電池規則では、バッテリーのライフサイクル全体におけるCO2排出量や資源リサイクル率を欧州委員会に開示することが求められており、バッテリーを市場に出荷する際にカーボンフットプリントの開示が義務化される見込みだという。

 こうした規制への対応を見据え、NTTデータでは電動車に搭載されるバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報(以下、CFP情報)のうち、バッテリー製造時のCFP情報を関係企業間で集計・連携可能なバッテリートレーサビリティプラットフォームを提供する。

 2023年4月には経済産業省が中心となり、業種横断的なシステム連携の実現を目指す官民連携イニシアティブを「ウラノス・エコシステム」と命名した。NTTデータと株式会社NTTデータグループは、経済産業省のウラノス・エコシステムに関する公募事業に採択されるなど、企業間の安全なデータ連携の実現に向けた技術開発を官民連携イニシアティブに参画して進めている。

 バッテリートレーサビリティプラットフォームは、電動車向けバッテリーに関わる業界団体とともに要求分析、機能検証を進め、ウラノス・エコシステムのガイドラインに準拠した形で構築した。ブロックチェーンのスマートコントラクト機能や自由なデータ流通機能などを高度に融合した共同利用型のサービスとして、データ主権を確保し、機密情報を含むデータの安心安全な流通を実現する。欧州電池規則における製品単位のCFP宣言対応をファーストユースケースとし、まずは、バッテリー製造時のCFP情報を企業間で連携可能にする機能を提供する。

バッテリートレーサビリティプラットフォームのイメージ

 プラットフォームは、欧州電池規則のCFP情報連携機能を備えるほか、データ主権を確保しながら、企業間で安心安全なデータ流通を実現する。

 データ所有者が保管場所、交換相手、交換範囲を自身で選択できるデータ主権の確保に向けては、ブロックチェーンのスマートコントラクト技術を用いて、ユーザーごとに独立した管理ができるデータ分散管理およびデータ所有者の開示指示に基づいてのみデータを連携する機構を実現。また、データの秘匿性および真贋性の担保に向けては、データを暗号化された状態で個社ごとの領域に保管し、データ所有者のみが閲覧可能にするとともに、データの真贋性を確保するため、データ改ざん検知を実現する。

 サービスは、公益デジタルプラットフォーム認定事業者の申請を予定している「一般社団法人自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター」によって提供される。

 NTTデータは、今後5年間で500社以上の利用拡大を目指す。同プラットフォームの提供を通じ、業界横断でのデータの連携を促進することで、サーキュラーエコノミーの実現を推進するとしている。