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ServiceNow、「デジタルエンドユーザーエクスペリエンス」など新たな自動化ソリューションを発表

 米ServiceNowは現地時間8日、同社の年次イベント「Knowledge 2024」において、従業員エクスペリエンスを変革し、組織全体の業務を簡素化する新しい自動化ソリューションをNow Platformに追加すると発表した。

 ServiceNowでは、新機能は生産性の阻害要因を予測し、シームレスなユーザーエクスペリエンスを生み出すために必要な洞察をチームに提供すると説明。ワークプレイスの進化に伴い、企業は従業員の生産性とインパクトを向上させるコネクテッドソリューションを必要としており、ServiceNowはITチームが従業員のテクノロジーインタラクションを継続的に改善できるようにする新しいソリューションと機能で、こうしたニーズに対応するとしている。

 新しい「デジタルエンドユーザーエクスペリエンス(DEX)」は、従業員のデスクトップエクスペリエンスとNow Platformをリンクさせることで、従業員がテクノロジーとどのようなやり取りしているかをITチームが完全に把握できるようにする。これによりIT部門は、デバイスやアプリケーションをリアルタイムで可視化でき、使用傾向を把握して、問題も事前に特定して解決を迅速化できる。また、停止やリスクを最小限に抑え、ワークロードを合理化することで、従業員の日常業務を確実に向上させられる。

 従業員は技術的な障害にぶつかると、多くの場合、問題を解決するためにIT部門に連絡するのではなく、非効率で短期的な回避策を講じてしまうと説明。DEXはそうした余計なステップを排除し、IT部門が最初から連携できるようにするとしている。

 また、DEXの追加機能のうち、Application and Device Healthは、ITチームが従業員の使用しているアプリケーションとデバイスに関するより多くの情報を得られ、必要なアップデートのメンテナンスを積極的に実施し、中断や故障を防いで、従業員の業務の安全性を保つ。Desktop Assistantは、AIを活用したセルフサービス機能に従業員を直接接続し、問題のトラブルシューティング、ローカルテストの実行、仮想エージェントあるいは人間のエージェントとのチャットを可能にする。この機能は2024年夏以降に利用可能になる予定。

 「Collaborative Work Management(CWM)」は、従業員が計画、視覚化、チームとの連携を行うための中心的なハブを提供し、統合されていないツールの活用を低減する。この新しいソリューションは、チームの働き方に合わせてカスタマイズでき、Now Platform上にあるデータを活用することで、より少ないツールでより効率的な部門横断型のコラボレーションと組織化を促進する。CWMを使うことで、チームは重要な業務において連携を保ちながら、信頼できる1つのAIとデータプラットフォームから可視性を向上させられるとしている。

 部門を横断するビジネスプロセスの簡素化に向けたソリューションのうち、「Threat Intelligence Security Center」は、Security Operationsポートフォリオに含まれる新しい脅威インテリジェンスプラットフォームで、脅威フィードの集約、優先順位付け、脅威の共有、脅威の探索、共同ケース管理など、サイバー脅威インテリジェンスのライフサイクルを管理するために必要なツールの数と手作業を削減する。

 この新しいソリューションは、ワークフローと自動化機能を組み合わせることで、脅威のコンテキストと正確な脅威評価を強化し、「Security Incident Response」と「Vulnerability Response」の機能を向上させると説明。これにより、ServiceNowのセキュリティワークフローの革新が加速され、セキュリティチームは複雑でデータ集約型の製品を自動化でき、より多くのNow Platform内外に存在する洞察にアクセスできるようになるとしている。

 「Contract Management Pro(CM Pro)」は、「Contract lifecycle management(CLM)」ツールを検討中の顧客向けに、俊敏でコスト効率の高いワークフローベースのソリューションとなる。ServiceNowの顧客との緊密なコラボレーションにより構築されたCM Proは、従来CLMの最上位レベルの機能を提供するにも関わらず、実装、構成、使用は簡単だとしている。

 CM Proの主な機能には、セルフサービス、テンプレート、リポジトリ、監査証跡、エンタープライズ向けのワークフロー機能による管理義務などがある。またCM Proは、「ServiceNow Sourcing and Procurement Operations」と統合されているため、調達チームはこのソリューションを活用して、調達プロセスをさらに合理化できる。

 「Field Service Management」の新機能である「Field Service Marketplace」は、フィールドサービスの組織が第三者とコラボレーションする方法を変革し、コミュニケーションと調整を容易にする。

 フィールドサービスの組織は、外部との連携の際、「誰が、何を、いつ、どこで、なぜ」実施するのかが、しばしば見えていないことが多く、それが摩擦や透明性の欠如を生み出していると説明。Field Service Marketplaceは、より安全で、接続され、統合されたプロセスでこれに対処し、より強力なベンダーとのパートナーシップを促進する。業者選定などの機能により、派遣担当者は、可用性やサービス評価などの要素を考慮して、最も適した業者に効率的に仕事を割り当てられる。その他の機能として、業務委託のプッシュ通知や自動タスク割り当てがあり、業務委託プロセスを迅速化すると同時に、委託タスクの管理コストを削減する。

 データ効率の改善、データ処理の拡張に向けては、Postgresベースの「ServiceNow Project RaptorDB」を発表。ServiceNow Project RaptorDBは、ServiceNowの顧客がNow Platform上で大量のトランザクションデータをリアルタイムに処理し、AIを活用したアプリケーションの需要に応えるための基盤となるデータレイヤーとして機能する。

 ServiceNowが2021年にSwarm64を買収したことで実現したこの新しいデータベースは、処理速度を大幅に向上させ、5秒以上のデータベースのクエリ実行時間を最大70%短縮し、1秒あたりのクエリ数を12倍に増加させ、構成管理データベース(CMDB)のリストビューのロード時間を87%短縮するとしている。

 ServiceNowでは、顧客履歴や地理的情報にアクセスする必要があるオンライン小売業者や、スマート電力網を管理するためにデバイスデータと分析を組み合わせる必要があるエネルギープロバイダー、履歴データとリアルタイムデータのパターンを特定することで根本的な原因予防に取り組む必要がある企業など、ServiceNowの新しいRaptorDBデータベースは、効率性と拡張性でハイブリッドワークロードをサポートするように設計されていると説明。このアーキテクチャは、AIの力を活用するための鍵であり、現代のAI主導の環境で成功するために必要なスピードと柔軟性をビジネスに提供するとしている。