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セールスフォース、新パートナーモデル「OSPパートナーシップ」を国内で本格展開
2024年4月11日 06:15
株式会社セールスフォース・ジャパンは10日、パートナービジネス戦略に関する説明会を開催した。その中で同社 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長の浦野敦資氏は、「今年度はパートナーのビジネス拡大とエコシステムの強化の2点に注力する」とし、新たなパートナーモデルを本格展開することも明かした。
浦野氏はまず、昨年度を振り返り、「アライアンスビジネスが非常に成長した1年だった」と述べた。具体例として浦野氏は、国産ISVアプリの年間契約額が大きく成長し、新しいアプリが40以上も誕生したことや、認定資格者数が前年度比34%増となり、国内の認定資格者数が約1万7000人に達したこと、そしてプロジェクト終了後の満足度調査にて、顧客満足度スコアが過去最高を更新したことなどを挙げた。
そのうえで浦野氏は今年度について、「データ+AI+CRM+信頼によって今後の成長を加速する」と述べ、「パートナーのビジネス拡大とエコシステムの強化の2つを軸に活動する」とした。
パートナーのビジネス拡大に向けては、まず新規顧客の開拓に注力する。そのために、リセラーパートナー向けの施策を強化し、新たにリセラービジネスチームを配置した。そこでセールスフォースの営業ノウハウに基づいた人材育成や営業支援プログラムを展開するほか、AIやデータ活用の提案などでアップセルおよびクロスセルを最大化し、更新率向上のベストプラクティスをリセラーにも提供するという。
昨年好調だった地域および銀行関連事業者との協業についても引き続き注力する。銀行関連事業者との協業では、昨年新規の受注件数が前年度比2倍となったことから、「首都圏から地域へさらにエリアを拡大し、今年度も同様のスピードで成長を目指す」と浦野氏。また、昨年は地域支援パートナーの数が前年度比30%増となっており、「引き続き地域パートナーとの協業も強化する」とした。
また、今年度は新たなパートナーモデルとして、「OSP(アウトソーシングサービスプロバイダー)パートナーシップ」を日本で本格展開するという。このパートナーシップは、「AIを含む先端ITを活用し、アウトソーシングサービスの高付加価値化を支援するものだ」と浦野氏は説明する。先行して取り組みを開始しているグローバル市場では大きな成果が出ており、昨年パイロットを実施した日本での手応えも大きかったという。
これまでのパートナーシップモデルでは、Salesforceのライセンスは顧客が保有し、パートナーがサービスを提供、もしくはアプリを開発するというものだったが、このモデルはパートナーがSalesforceのライセンス保有し運用するという。
「OSPプログラムでは、パートナーが業務とITを組み合わせたアウトソーシングサービスを提供できるため、先端ITを活用したBusiness Process as a Service(BPaaS)によって生産性や品質を向上、売上と利益の最大化が見込めるほか、複数顧客向けIT環境の一元管理が可能となり、コストコントロールの柔軟性が向上する。また、顧客側も業務とITを統合したサービスの利用によってアウトソーシングの成果を高められ、ファイナンス上でもオフバランス化やキャッシュアウトの柔軟性を確保することも可能だ」と、浦野氏はパートナーと顧客双方のメリットをアピールした。
パートナーのビジネス拡大に向けては、「Salesforce Customer 360」の提案および販売も強化する。同社の強みである「CRM+AI+データ+信頼」に基づいた提案を推進するほか、パートナーが自ら製品を活用し、その理解を深めてもらうよう支援する。また、パートナー同士の協業で大型商談に結びつくよう、協業も提案していく。さらには、引き続き既存ISVアプリの販売拡大も支援し、「業界のニーズにマッチした業界特有のOEMアプリの製品ラインアップを増やしていきたい」(浦野氏)としている。
パートナー戦略のもうひとつの柱となるエコシステムの強化については、「パートナー企業におけるAI人材の育成拡大を支援する」と浦野氏。そのための取り組みとして、パートナー企業のAI認定資格者増加に向けた学習コンテンツを4月9日より提供開始した。これは、パートナー企業向けの「パートナーラーニングキャンプ」内に、17種類・70時間のAI関連学習コンテンツを新たに追加したもので、「これらのトレーニングコンテンツを通じ、今年度は認定資格者数の10%にあたる2000人にAI関連の認定資格者になってもらいたい」と浦野氏は述べている。
AppExchangeパートナーに向けたAIアプリ開発も支援する。「セールスフォースはAIアプリ開発の民主化を実現したいと考えており、今年の夏にはパートナーが個別に構築したプロンプトのパッケージ化もサポートする」と浦野氏は述べ、今期はパートナーに対してユースケースの特定や製品への落とし込み、プロトタイプの開発といった領域まで支援していくとした。
今期はグローバルでもAIを駆使したプラットフォーム「Einstein 1」やAIアシスタント「Einstein Copilot」に対応するAIアプリのリリースを加速させる計画だというが、浦野氏は「グローバルの総アプリ数の10%を本年度日本市場から輩出したい」と述べた。