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セールスフォースが2023年度のアライアンス戦略を発表、パートナーのビジネス成長とエコシステム拡大に注力

 株式会社セールスフォース・ジャパン(セールスフォース)は15日、2023年度のアライアンス戦略について説明会を開催した。セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長の浦野敦資氏は、今年度のアライアンス事業に関して、「パートナーのビジネス成長を支援することと、パートナーエコシステムの拡大と強化に注力する」と述べた。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 アライアンス事業統括本部 統括本部長 浦野敦資氏
2023年度のアライアンス戦略

 セールスフォースのパートナーには、ライセンス再販や導入コンサルティングなどを担当するコンサルティングパートナー約460社と、Salesforce Platform上で稼働するSaaSアプリを開発し販売するAppExchangeパートナー約200社が存在する。

 これらパートナーの数は年々増加しており、2022年度はコンサルティングパートナーとの事業金額が対前年度24%増、AppExchangeパートナーとの事業金額が同54%増まで成長した。こうしたことから浦野氏は、「今年も良いモメンタムを継続できるよう、パートナーとの協業を深めていく」としている。

Salesforceのパートナープログラム
2022年度のアライアンス事業の実績

 パートナーのビジネス成長の支援に向けては、まずコンサルティングパートナーに向け、「製品知識と実践力の2本柱で支援を拡充する」と浦野氏はいう。

 製品知識の面では、製品ハンズオンセミナーをオンデマンド化し、パートナー向け学習プラットフォームの「Partner Learning Camp」上で展開する。セールスフォース・ジャパン アライアンス事業統括本部 パートナーエコシステム本部 本部長の原田考多氏は、「2023年1月末までに、現在の74講座から150講座の約2倍に増加する見通し。オンデマンドで学習可能なコンテンツの総提供時間を1300時間まで拡大していきたい」と述べている。

 また、従来提供できていなかった製品や機能の資格試験の日本語化に投資し、新たに20を超える資格試験を日本語で提供開始した。資格取得の無償バウチャーも引き続き提供するという。

 実践力の支援にあたっては、同社のカスタマーサクセスグループ内に、パートナーサクセスをミッションとする部隊を新たに立ち上げた。これにより、「当社のプロフェッショナルサービスチームに蓄積されているノウハウを、パートナー向けに公開する基盤ができた。順次情報を公開していきたい」と浦野氏は述べている。

 また原田氏によると、「導入プロジェクトの成功においてプロジェクトマネジャーの役割は非常に重要だが、これまでSalesforceプロジェクトのプロジェクトマネジャーに求められる要素が具体的に定義されていなかった」として、今年度はその求められる要素を「スキル」「知識」「態度と行動」「考え方」「システム」の5つに分類し、それぞれを磨く学習パスを提供していくとしている。

パートナーのビジネス成長支援策
セールスフォース・ジャパン アライアンス事業統括本部 パートナーエコシステム本部 本部長 原田考多氏

 一方、AppExchangeパートナーに対しては、主にマーケティング面と営業面の支援を強化する。セールスフォース・ジャパン 執行役員 AppExchange事業&アライアンス推進本部 兼 韓国アライアンスの池谷充弘氏によると、パートナーアプリの市場認知を高めることや、見込み顧客を獲得することを目的として、イベントでのセッション機会を提供するほか、共催ウェビナーも実施するという。また、SaaSの先駆者として同社が培ってきた営業ノウハウを、昨年よりパートナーにも公開しているという。

 パートナーエコシステムの拡大と強化については、浦野氏が「より多くの顧客へDXを届ける取り組みや新しい仕組みを作りたい」と述べている。その一環として、大手都市銀行子会社との連携を通じ、中堅中小企業向けのDXを推進することや、戦略コンサルティングファームとの協業も進めるとした。

 戦略的OEMアライアンスも強化する。同社顧客のエンドユーザーに対し、「顧客の強みを生かしたデジタルサービスの展開を進める」と浦野氏は述べ、その一例として自動車メーカーFordの事例を紹介した。

 Fordでは、商用車のユーザー企業をターゲットとしたSaaS「VIIZR」をSalesforce Platform上で開発。同社の商用車を利用する企業は比較的小規模で、自社が使いやすいクラウドサービスが市場にないと感じている企業が大半だったことが、VIIZRを立ち上げた理由だ。こうした小規模企業に対しても、「Fordのような事業会社と協業し、DXの恩恵を届けていきたい」と浦野氏は述べている。

 池谷氏によると、日本でもこのような業界特化型や規模に特化したOEMの事例が生まれているとして、旅館や不動産事業者などの非IT企業がSalesforce Platformを活用してSaaS事業を展開している事例を複数紹介した。

 また、地域ビジネスを活性化する施策も進める。浦野氏は、「各地域のエコシステムグループを立ち上げ、日本全国の顧客とパートナーのビジネスを活性化させる取り組みを展開する」と述べた。

パートナーエコシステムの拡大・強化策
セールスフォース・ジャパン 執行役員 AppExchange事業&アライアンス推進本部 兼 韓国アライアンスの池谷充弘氏