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労務作業を紙から電子へ――、カオナビが労務管理サービス「カオナビ労務」をリリース
「人材データプラットフォーム構想」の実現を推進
2024年3月7日 06:30
株式会社カオナビは6日、労務管理業務をペーパーレスで完結できるサービス「カオナビ労務」をリリースした。
同社はタレントマネジメントシステム「カオナビ」などにより、人材データに関連したシステムを連携させ、人材データを有効的に活用できる環境を構築する「人材データプラットフォーム構想」の実現を進めている。
今回提供を始めたカオナビ労務もその一環で、労務に関わるデータを蓄積できるシステムとなっている。シンプルで操作しやすく、導入したい機能を選んで導入することが可能で、カオナビユーザーをはじめ、労務システムのデジタル化を進める企業などへの導入を狙うとのこと。
なお、価格は顧客との応相談として明らかにしていない。導入目標数は、「カオナビの導入企業数が現段階で3400社を突破しているが、数年でこれを上回る導入数を目指したい」という。
労務ソフトウェアで代表的な4つの機能をカバー
カオナビ労務は、入社手続き、電子申請、年末調整、給与明細という4つの機能を搭載している。
入社手続きでは、マイナンバーなど身上情報の収集、雇用契約書などの各種契約書の電子化を行え、紙の資料の回収と保管、変更があった際の作業を効率化できるといったメリットがある。例えば、入社手続きに関する作業は、パソコンで書類を作成し、印刷、押印して郵送するまでの作業を行った場合と比べ、5ステップを1ステップで完結させることが可能になるという。入社する従業員が多い場合には、CSVデータを利用して作業を効率化することも可能だ。
電子申請は、e-Govやマイナポータルを用いた行政機関への電子申請に対応し、各種社会保険帳票の作成、提出業務を効率化する。
年末調整は年に1回の作業となるため、どんな作業をするのか確認しなければならないことも多く、社員にとっても担当部署にとっても手間のかかる作業となるが、従業員からシステム上で亭主される申告書、控除証明書をリアルタイムで管理できる。これにより、未提出や入力不備などのチェック業務を効率化する。
給与明細は、給与システムと連携し、給与明細、賞与明細、源泉徴収票をシステム上で発行と配布を行うことができる。印刷して紙を配布する場合に比べ、手間や作業を軽減することができる。
労務に関わる作業は定型化されていることも多いために、他社の労務に関するシステムとの差別化が難しい面があるが、カオナビでは、既に利用中のサービスと重なる機能があれば、4つの機能すべてを導入することなく必要なものだけ入力できる点が特徴だ。
また、操作はできるだけシンプルになるよう、紙での作業に慣れた人やExcelでの作業に慣れた人でも操作しやすいUIとUXを採用。ほかのシステムとスムーズなデータ連携を行えるという点もメリットとして挙げている。
カオナビのアカウント本部 越智将太氏は、「製品開発にあたっては、企業や労務管理を担当する社労士事務所等へもヒアリングを行った。その結果、カオナビを既に導入しているお客さまに使っていただくことに加え、カオナビは利用していない社労士さんが既に利用しているシステムと連携して使うケースや、これまで紙で行ってきた作業の電子化を検討しているケースでも使っていただくことを想定し、シンプルで操作しやすい画面とした」と説明する。
また、開発の契機として、「カオナビのお客さまから、社員の入社時から退職まで一貫して管理できるシステムが欲しいという声が多くなってきた」ことが製品開発のきっかけとなったと説明する。
入社に関連するデータはマイナンバーなど機密性の高い情報も多く含まれるため、管理していくことが容易ではない。また、社員を定着させることなどから、社員に関するデータを一括で管理し、「社員の顔と名前が一致する体制としたい」という経営者からあがるニーズに応えたサービスとした。
現在進めている人材データプラットフォーム構想は、まさにこうしたニーズに基づいたもので、機密性の人材データの管理、部署ごとにバラバラに保有していた一元化を行うことで、管理を徹底化することができる。さらに、経営層が人材を有効活用していくために閲覧するなど、人材の新たな活用につながる可能性があるという。
「今後、どんなサービスを提供していくのか現段階では明らかにできないが、加わるサービスの拡充を進めていきたい」(越智氏)としている。