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SAPジャパン、AI分野でマイクロソフトやIBMら、パートナーとの連携を強化

 SAPジャパン株式会社は19日、AI分野でのパートナーエコシステムの構築を国内に展開すると発表した。これは、ビジネスプロセスの革新をさらに支援することを目的に、「SAP Business AI」とパートナーのソリューションを連携するというもの。日本マイクロソフト株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社、DataRobot Japan株式会社といったパートナー企業が協力を表明している。

 SAP Business AIは、ビジネスプロセスを支援するシステムに組み込まれる責任あるAIのこと。今回の発表について、SAPジャパン バイスプレジデント Enterprise Cloud事業統括の稲垣利明氏は、「SAPは戦略的なパートナーシップによってAIのオープンエコシステムを構築する。SAPが持つ技術だけでなく、世の中にある優れた技術をSAPアプリケーションの中に積極的に取り込み、価値を最大化して顧客に提供する」と述べている。

戦略的パートナーシップによりAIのオープンエコシステムを構築

 説明会では、パートナー企業が各社の連携ソリューションを紹介。まず、日本マイクロソフト クラウド&AIソリューション事業本部 データプラットフォーム統括本部 Data&AI第三営業本部 本部長の巴山儀彦氏は、「生成AIの提携で人材採用・育成を支援する」と述べ、「SAP SuccessFactors」と「Microsoft 365 Copilot」および「Copilot in Viva Learning」、「Azure OpenAI Service」を統合し、人事分野で生成AIを活用したソリューションを提供するとした。

日本マイクロソフト クラウド&AIソリューション事業本部 データプラットフォーム統括本部 Data&AI第三営業本部 本部長 巴山儀彦氏
SAPとMSが生成AIの提携で人材採用と育成を支援

 日本IBM CAIO(Chief AI Officer)常務執行役員 テクノロジー事業本部長の村田将輝氏は、「SAPのクラウドソリューションの一元的なエントリーポイントを提供する『SAP Start』のデジタルアシスタントを、『IBM watsonx Assistant』の機能を利用して強化する」と話す。IBM watsonx Assistantの機能を搭載することで、自然言語機能と予測的洞察の両方でユーザーの生産性向上が見込めるという。

日本IBM CAIO(Chief AI Officer)常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏
SAP Startのデジタルアシスタントをwatsonx Assistantで強化

 グーグル・クラウド・ジャパン スペシャリスト営業統括 SAP事業開発部長の澤田大二郎氏は、「『SAP Datasphere』と『Google Cloud BigQuery』を統合することで、重複することなくデータにリアルタイムでアクセスできるようになる」と説明。また、SAP Datasphereと「Google Cloud Vertex AI」を組み合わせ、「自動車業界を皮切りに生成AIを活用した新たな業界ソリューションを立ち上げる」とした。

グーグル・クラウド・ジャパン スペシャリスト営業統括 SAP事業開発部長 澤田大二郎氏
SAP DatasphereとGoogle Cloud Vertex AIによる新たな業界ソリューション

 そしてDataRobot Japan シニアデータサイエンティストの川越雄介氏は、DataRobotとSAP Datasphereを接続し、AI学習用のデータをDataRobotに取り込めることや、「SAP AI Core」および「SAP AI Launchpad」にDataRobotで作成したAIモデルを組み込み、高度な予測が実行できることをアピールした。

DataRobot Japan シニアデータサイエンティスト 川越雄介氏
DataRobotとSAP Datasphere、SAP AI Core/ SAP AI Launchpadとの連携

 これらパートナー4社とは、すでにグローバルでSAPとのパートナーシップの枠組みができている。今回あらためて日本法人として4社との連携を強調した背景について、SAPジャパンの稲垣氏は「AIの領域は技術革新のスピードも速く、さまざまな要件やユースケースが今後出てくることが予想される。日本の顧客からの要望をパートナーと共にしっかり受け止め、価値を提供していきたい」と語った。

SAPジャパン バイスプレジデント Enterprise Cloud事業統括 稲垣利明氏