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IBMとSAP、「RISE with SAP on IBM Power Virtual Server」を発表

 米IBMと独SAPは現地時間7日、「RISE with SAP on IBM Power Virtual Server」を2025年第2四半期に提供開始すると発表した。このサービスは、IBM Powerを利用する顧客が統合基幹業務システム(ERP)変革を加速する際の、最も迅速かつ容易な方法となるように設計されていると説明。IBMとSAPは、企業がオンプレミスのERP環境をよりシームレスにクラウドへ移行またはモダナイズし、AIを活用したビジネスプロセス変革を推進できるよう支援することを目指すとしている。

 RISE with SAPは、成果重視のサービス、クラウドERPとプラットフォームを提供し、企業が自社のオペレーティング・モデルを再考し、変革を推進できるよう支援する。SAPの新たなハイパースケーラーオファリングであるRISE with SAP on IBM Power Virtual Serverは、SAP S/4HANA CloudをオンプレミスのIBM Power Systemsからクラウドへ移行する際に伴うリスクを軽減し、移行期間を90日以内に短縮する。

 オンプレミスのERPに使用されているIBM Powerサーバープラットフォームのクラウド版であるIBM Power Virtual Serverを使用することで、企業はオンプレミスのSAP ERPシステムをクラウド上に迅速に移行し、ビジネスプロセスをモダナイズし、より俊敏な対応が可能になると説明。IBM Powerサーバーは、SAP認定インフラストラクチャーの中で可用性第1位にランクされており、中断を最小限に抑え、より迅速な移行を実現するように設計されており、また、レジリエンシーとセキュリティに優れたIBM Cloudプラットフォームによるサポートも提供されるとしている。

 IBMは、SAP S/4HANA Cloudのモダナイゼーションおよびマネージドサービスプロジェクトにおいて豊富な専門知識を有していると説明。SAPユーザー企業による最大かつ最も複雑なSAP S/4HANA Cloudのモダナイゼーションプロジェクトの1つとして、IBMは自社の見積もりから入金までのプロセスおよび記録からレポートまでのプロセスを、RISE with SAP on IBM Power Virtual Serverに移行した。

 IBMのプロジェクトは、18カ月間で175カ国、15万人以上のユーザーに関わるものとなった。プロジェクト期間中に、全体のサーバーおよびデータ規模を合理化し、プロセスの自動化を進めた結果、インフラストラクチャーのコストおよび関連業務を30%削減できたという。IBM Consultingは、この変革をエンドツーエンドで主導し、これらの複雑なソリューションの安全な移行・実行するために必要な技術サービス、実装、およびアプリケーション管理サービスの専門知識を提供した。

 顧客は、IBM Consultingや他のSAPパートナー企業と連携することで、SAP S/4HANA Cloudを活用した変革を加速できるようになると説明。IBMは、顧客に選択肢を提供するため、他のグローバルなシステムインテグレーターやサービスパートナーと協力し、RISE with SAPプロジェクトの設計、展開、移行を進めているとしている。

 両社は、パートナー・エコシステムとも協力しながら、統合ソリューション、機能、共同マーケティング活動を活用して、顧客がRISE with SAP on IBM Power Virtual Serverを通じて変革を実行できるよう協力していく予定。RISE with SAP on IBM Power Virtual Serverの顧客やIBMビジネスパートナーは、SAP S/4HANA CloudとRISE with SAPへの移行を支援する新しいIBM Transformation Suite for SAP Applicationsを利用できる。これには、現在の環境の評価、データ移行、自動テストのための最高水準のソフトウェアとサービス一式が含まれる。

 RISE with SAP on IBM Power Virtual Serverは、IBMのカスタマイズした顧客向け投資プログラムとともに、2025年第2四半期に利用可能になる予定。