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AWS、北九州市の“バックアップ首都構想”実現に向け連携協定を締結

 アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、AWSジャパン)は17日、地域創生に向けた自治体におけるDXの加速を支援するため、北九州市と連携協定を締結した。

 AWSジャパンは、全国の自治体や地域行政におけるイノベーションを支援し、より良い社会と市民生活の実現に貢献すべく、さまざまな自治体、関係団体との連携を図っていると説明。2022年9月につくば市と研究開発型スタートアップの成長加速に向けた連携協定を、2022年9月には浜松市とデジタル・スマートシティ浜松の実現に向けた連携協定を、2023年5月には新潟県と地域産業の活性化に向けた包括的な連携協定をそれぞれ締結している。

 北九州市は、「デジタルで快適・便利な幸せな街へ」のミッションのもと、DXを契機に必要な見直し・改善に取り組み、市民サービスの向上と業務の効率化を同時に実現することを推し進めている。

(左)AWSジャパン 執行役員 パブリックセクター統括本部長 宇佐見潮氏、(右)北九州市 市長 武内和久氏

 AWSジャパンは、北九州市の地域の特色や強みを生かしながら、地域課題を解決するためのDXの推進に向けて、1)“バックアップ首都構想”の実現に向けた支援、2)行政や地域のDX促進に向けた支援、3)スタートアップ育成に向けた支援、4)宇宙産業の推進に向けた支援――の4項目において、最新のクラウドテクノロジー、グローバルの知見・ネットワーク、デジタルスキル支援を通じて、北九州市のミッション実現を支援するとしている。

 北九州市は、低災害リスクや、エネルギーや水の安定供給など、北九州市のポテンシャルを生かし、首都圏に集中する企業などが災害時にも業務を維持できるよう、バックアップ機能を誘致する“バックアップ首都構想”を掲げている。この構想に基づく企業誘致には、北九州市におけるデジタル人材、特にクラウド人材が不可欠だとして、AWSジャパンは在北九州市の企業と連携し、ハンズオンセッションを実施するなど、地域の企業にクラウドスキルトレーニングを提供し、デジタル人材の育成を支援する。

 行政や地域のDX促進に向けた支援では、地域のイノベーションを推進するためには、地域の産業やビジネスのイノベーション、DXを支える北九州市の職員がクラウドについて理解を深めることが重要だと説明。AWSのパートナー企業が実施するクラウド人材育成プログラムを市の職員に提供し、職員のデジタルスキルの向上をサポートしていく。

 また、地域のデジタル人材の層を厚くし、北九州市全体のイノベーションを促進・支援するために、地域の高等教育機関などと連携し、クラウド学習プログラムのAWS Academyを活用した学生のクラウドスキルトレーニングや、将来のデジタル人材育成を行う。AWS Academyを通じて、教材や実習環境だけではなく、講師の登壇までのトレーニングも含むパッケージ化されたプログラムを高等教育機関向けに提供し、学生たちが将来、業界で認知されている認定資格を取得し、需要の高いクラウド関連の仕事に就けるように支援する。

 スタートアップ育成に向けた支援では、「COMPASS小倉」などの市内コワーキングスペースを利用する企業に対し、AWSのクレジットを利用できるAWS Activateなどの支援プログラムを提供する。AWS Activateは、スタートアップが自身のビジネスの立ち上げや拡大に向けてAWSを速やかに運用開始するために、必要なリソースを包括的に提供するスタートアップ支援プログラムとなる。

 また、北九州市は市の成長戦略の一つとして宇宙産業に力を入れており、宇宙ビッグデータの利活用などを進めていく方針を打ち出している。AWSは、2020年に航空宇宙・衛星産業におけるイノベーションの加速に特化したチームを立ち上げ、官民の宇宙関連のビジネスをサポートしている。

 今回、AWSの宇宙産業に関する知見や企業間のネットワークを北九州市と共有することで、市の宇宙産業推進のステージに合わせた連携を図っていくと説明。また、宇宙に関するアイデアコンテストやハッカソンなどの共同開催も予定していくとしている。