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キヤノンMJ、2023年度上期の連結業績は増収減益 通期は営業利益や純利益などを上方修正

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は26日、2023年度上期(2023年1~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比4.5%増の3027億円、営業利益は同2.7%減の270億円、経常利益は同2.0%減の278億円、当期純利益は同3.7%減の186億円となった。また第2四半期(2023年4月~6月)の業績は、売上高が前年同期比4%増の1480億円、営業利益は同9%減の118億円、経常利益は同9%減の124億円、当期純利益は同12%減の82億円となった。

業績サマリー 第2四半期累計(1月~6月)
業績サマリー 第2四半期(4月~6月)

 キヤノンMJ 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏は、「上期はキヤノン製品の供給回復に加えて、ITソリューション事業が継続して好調に推移し、増収となった。だが、粗利率の悪化や販管費の増加などにより減益になった。粗利率は、主にプロフェッショナルセグメントにおいて、ヘルスケア事業の構成比が高まったことで悪化している。ヘルスケア事業ではSEの費用などを販管費ではなく、原価に組み込んでいるために粗利率が低いという特徴がある」などと説明した。

キヤノンMJ 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏

 グループITソリューションの売上高は、前年同期比11%増の1346億円となった。そのうち、SIサービスの売上高が前年同期比16%増の478億円、保守・運用サービス/アウトソーシングの売上高が同8%増の264億円、ITプロダクト・システム販売の売上高が同9%増の604億円。

 また、グループITソリューションのセグメント別の売上高は、エンタープライズは前年同期比11%増の783億円、エリアが同7%増の360億円、コンスーマは同2%増の150億円、プロフェッショナルが同46%増の86億円となった。

グループITソリューション売上 第2四半期累計(1月~6月)

セグメント別の業績

セグメント概要 第2四半期累計(1月~6月)

 セグメント別業績では、「エンタープライズ」の売上高が前年同期比6.9%増の1075億円、セグメント利益が3.9%増の98億円。同セグメントに含まれるキヤノンITソリューションズは、売上高は前年同期比12%増の617億円、営業利益は2億円増の67億円となっている。

 ITソリューションは、流通業向けや金融業向けのSI案件の売り上げが増加したことに加えて、IT基盤に関する案件を複数獲得。BPOやデータセンター2号棟の売り上げが順調に推移したことなどによって、売上高は大幅に増加した。

 また、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの販売台数が増加。だが、レーザープリンタは、前年同期の大型案件の反動によって販売台数が減少し、レーザープリンタカートリッジは大手企業でのプリントボリュームの減少により、主要ビジネス機器の売り上げは減少した。

セグメント情報 エンタープライズ

 「エリア」の売上高は、前年同期比5.2%増の1186億円、セグメント利益が同8.5%増の92億円。なお、連結子会社のキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)の売上高は前年同期比7%増の525億円、営業利益は前年同期から4億円増の30億円となった。

 ビジネスPCの供給が回復したことや、複数のIT基盤構築案件を獲得したことに加えて、法改正にあわせたIT導入における補助金活用案件の増加、中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」のラインアップを拡充したことで、受注件数が増加。ITソリューションの売り上げは増加したという。また、オフィスMFPおよびレーザープリンタの販売台数が大幅に増加。大都市圏を中心にテレワークが継続されたことから、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したものの、レーザープリンタカートリッジは、2023年2月に実施した仕入価格の上昇に伴う価格改定の効果などにより、主要ビジネス機器の売り上げは増加した。

セグメント情報 エリア

 「コンスーマ」は、売上高が前年同期比2.2%増の641億円、セグメント利益が同6.6%減の61億円。新型コロナウイルス感染症に関する行動制限や制約が徐々に緩和されたことによる撮影機会の増加や、2022年12月に発売した「EOS R6 MarkⅡ」や、2023年3月に発売した「EOS R50」、4月に発売した「EOS R8」、6月に発売した「EOS R100」などにより、レンズ交換式デジタルカメラの売り上げが好調に推移。ITプロダクトは、高性能PCやPC周辺機器の新製品の発売によって堅調に推移した。だが、インクジェットプリンタは、市場の縮小などにより、売り上げは減少した。

セグメント情報 コンスーマ

 「プロフェッショナル」の売上高は前年同期比8.1%減の219億円、セグメント利益は29.9%減の28億円と減収減益だったが、ヘルスケアにおいては、病院向け大型案件のほか、診療所向けオンライン資格確認システム案件や、調剤薬局向け電子処方箋(せん)案件などが増加。キヤノンメディカルシステムズからの事業移管により、売り上げは大幅に伸びた。

セグメント情報 プロフェッショナル

2023年度通期の業績見通しを上方修正

 一方、2023年度(2022年1月~12月)の業績見通しを修正。売上高は前年比6.1%増の6240億円に据え置いたが、営業利益は前回公表値に比べて20億円増とし、前年比4.1%増の520億円、経常利益も前年から20億円増、前年比4.7%増の534億円、当期純利益は前年から4億円増、前年比1.3%増となる360億円に修正した。

業績予想サマリー

 2023年度のセグメント別業績見通しでは、営業利益において、「エンタープライズ」および「エリア」において、それぞれ10億円ずつ上方修正している。

 「上期はITソリューションの好調ぶりなどによって、当初計画を上回るペースで進捗している。今後の経済情勢についても、個人消費や企業の設備投資、IT投資が順調に推移する見通しであり、ITソリューションの利益ある成長を加速するとともに、キヤノン製品の拡販に努める。また、仕入価格の上昇に伴う価格改定も、想定以上に進んでいる。国内の物価上昇などの景気下押しリスクを注視しつつ、提案の質をさらに高め、高付加価値の製品、サービスの提供に努める」としたほか、「年初から計画していた新サービスに関わるソフトウェア開発、IT投資、新規顧客獲得のための広告宣伝や販促活動など、今後の成長に向けた先行投資については引き続き、積極的に進めていく」とした。

業績予想 セグメント情報 前回予想比較

 またセグメント別では、「エンタープライズ」において、上期に続き、下期も増収増益を計画。レーザープリンタで金融業向けの大型案件を獲得して、販売台数が大幅に増加する見込みであるのに加えて、製造業、金融業向けSI案件の獲得、データセンター2号棟での売り上げが順調に推移すると想定。電子帳簿保存法対応や、業務プロセス変革を実現するクラウドサービスであるDigitalWork Acceleratorの受注件数を増やす考えも示した。

 「エリア」も、上期同様に、下期は増収増益を計画。オフィスにおけるカラー出力比率の上昇、価格改定の効果を盛り込んでいるほか、中小企業向けの「まかせてIT DXシリーズ」の好調な販売の継続、ビジネスPCやセキュリティソフト「ESET」、IT支援サービス「HOME」の販売拡大を見込んでいる。

 なお、ビジネス機器に含まれるネットワークカメラは、第1四半期および第2四半期ともに前年同期比11%増で推移。年間では17%増を目指す。製品の供給が回復していることや、映像の統合管理ニーズおよびクラウド活用ニーズが高まっており、大手企業向け映像管理ソフトのMilestone XProtectや、中小企業向けクラウド型録画サービスのVisualStageなどの映像基盤案件が増加しているという。