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キヤノンMJの2022年度上期連結業績は増収増益、上期・第2四半期とも営業利益や純利益が過去最高を更新

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は25日、2022年度上期(2022年1~6月)の連結業績を発表した。

 売上高は前年同期比5.4%増の2898億円、営業利益は同35.2%増の278億円、経常利益は同32.0%増の284億円、当期純利益は同28.7%増の193億円となった。

2022年度上期の業績サマリー

 また、第2四半期(2022年4~6月)は、売上高が前年同期比6%増の1425億円、営業利益は同30%増の130億円、経常利益は同29%増の137億円、当期純利益が同32%増の93億円となった。

 キヤノンMJ 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏は、「2022年度上期は、仕入価格や物流費の高騰、製品の供給制約が継続するなかで、適切なコストコントロールと、ITソリューションを中心にした提案力の強化により、粗利率を高めることができた。その結果、営業利益、経常利益、純利益は、上期および第2四半期ともに、過去最高を更新した」と総括した。

キヤノンマーケティングジャパン 取締役上席執行役員の蛭川初巳氏

 2022年度上期のセグメント別業績では、エンタープライズの売上高が前年同期比9.4%増の1005億円、セグメント利益が52.1%増の94億円。「ITソリューションが好調に推移するとともに、高付加価値な製品、サービスの拡大による粗利率の向上により、大幅な増益になった」という。

 主要ビジネス機器については、製品の供給不足の影響を受け、特にオフィスMFPの売り上げが減少。だが、レーザープリンターは、大型案件があったことで売り上げが増加した。また、オフィスMFPの保守サービスやレーザープリンターカートリッジは、大手企業を中心にテレワークが継続したことで、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことがマイナスに影響している。一方、ITソリューションでは、製造業向けや金融業向けのSI案件の売り上げが増加。セキュリティやデータセンター2号棟の売り上げが順調だったという。

 なお、同セグメントに含まれるキヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、売上高は前年同期比15%増の550億円、営業利益は19億円増の64億円となっている。

 エリアの売上高は前年同期比2.9%減の1128億円、セグメント利益が16.9%増の85億円。「ITソリューションが順調に推移したものの、主要ビジネス機器が供給不足の影響を受けたこと、オフィスMFPの保守サービスについては、大都市圏を中心にテレワークが継続したことなどによって、オフィスにおけるプリントボリュームが減少。だが、高付加価値な製品やサービスの拡大による粗利率の向上や、販管費の削減などにより、大幅な増益となった」という。

 またITソリューションでは、標的型攻撃やフィッシングといった情報セキュリティに対する脅威が高まっていることを背景に、IT支援クラウドサービス「HOME」や、ウイルス対策ソフト「ESET」などのセキュリティ分野の売り上げが増加。さらに、IT機器などの保守や運用サービスの顧客獲得に注力して、受注件数を伸ばしたという。

 なお、連結子会社のキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)の売上高は前年同期比4%減の490億円、営業利益は8億円増の26億円となった。

 また、グループITソリューションの売上高は、前年同期比11%増の1208億円となった。

グループITソリューション売上

 コンスーマは、売上高が前年同期比2.5%増の627億円、セグメント利益が同0.7%減の66億円。レンズ交換式デジタルカメラやITプロダクトなどが増加したという。インクジェットプリンタは商品供給体制が戻りつつあるものの、前年同期から第1四半期にかけて、インクジェットプリンタの高単価製品が好調に推移。第2四半期は粗利率が若干悪化したとのこと。インクカートリッジでは、2022年4月の価格改定を前にした第1四半期の駆け込み需要があり、第2四半期はその反動があったという。さらに、ITプロダクトについては、ゲーミングPCなどは増加したものの、第1四半期から発生しているPCの周辺機器などの供給不足の影響を受けたとした。

 プロフェッショナルの売上高は前年同期比47.9%増の238億円、セグメント利益は同16.9%増の85億円となった。プロダクションプリンティング、産業機器、ヘルスケアのすべてのサブセグメントで増収となった。ヘルスケアでは、病院向けの電子カルテおよび医療IT基盤の構築などに関する複数の大型案件に加えて、診療所や調剤薬局向けにオンライン資格確認の導入案件があったことなどで、大幅に業績を伸ばしたという。

2022年度上期のセグメント別概況

 なお、ヘルスケアIT事業の強化に向けた組織再編も発表。キヤノンの子会社であるキヤノンメディカルシステムズの病院情報システムのSI事業を、キヤノンMJの子会社であるキヤノンITSメディカルに統合する。2023年の統合を目指しているとした。

ヘルスケアIT事業の強化に向けた組織再編

 キヤノンMJでは、今回の決算発表にあわせて、2022年度(2022年1月~12月)の業績見通しを上方修正した。売上高は前回予想から70億円増となる前年比6.9%増の5900億円、営業利益が45億円増とし、同15.9%増の460億円。経常利益が40億円増の同14.4%増の470億円、当期純利益は25億円増とし、同8.8%増の320億円を見込む。

業績予想サマリー

 「提案力の強化に注力し、高付加価値製品やサービスの比率を高め、粗利率を向上させるとともに、販管費の削減に取り組み、筋肉質な体質へと転換を図ってきた。上期はその取り組みの成果が出て、大幅な増益を達成した。下期もこの取り組みを継続し、ITソリューションの利益ある成長を加速させるとともに、供給が回復するキヤノン製品の拡販にも注力する」と述べた。また、「半導体や物流費の高騰、ウクライナ情勢の影響による原材料価格の高騰にも適切に対処する必要がある。一部商品では、販売価格への転嫁を行っているが、市場や商品の特性によっては、価格転嫁に時間を要するものもある。商品への価格転嫁を可能な限り前倒しする」としたほか、「新型コロナウイルス感染症再拡大への対策や、生産性向上を目的としたIT投資、独自のソリューションを生み出すための投資など、持続的成長を見据えたさまざまな投資を行っていく」と述べた。

 2022年度のセグメント別業績見通しは、エンタープライズの売上高が前年比5%増の1995億円、営業利益が前年から8億円減の128億円。エリアの売上高が前年比5%増の2325億円、営業利益は前年から25億円増の145億円。コンスーマの売上高が前年比5%増の1358億円、営業利益は前年から8億円減の128億円。プロフェッショナルの売上高は前年比29%増の408億円、営業利益は前年から21億円増の46億円を見込んでいる。

 エンタープライズやエリアでは、製品供給の回復により、オフィスMFPやオフィスプリンターの売り上げが増加し、HOMEやESETが引き続き好調に推移すると予測。だが、オフィスにおけるプリントボリュームが減少すると見ているほか、仕入価格の上昇や新サービスに関わるソフトウェア開発費用、物流費の増加、前年度のBPO案件の反動などがあるとみている。

業績予想 セグメント情報