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富士通、Web3の要素技術を用いた「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」を無償で提供

 富士通株式会社は6日、Web3の要素技術を用いたプラットフォーム「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」を発表した。同プラットフォームは、富士通のグローバルパートナー共創プログラム「Fujitsu Accelerator Program for CaaS」の参画パートナーのうち、Web3の新サービス企画や実証実験などを共創する企業を対象に、無償で提供される。国内での提供開始時期は3月からで、グローバルでは2023年度以降に順次提供される。

Fujitsu Web3 Acceleration Platform

 Fujitsu Web3 Acceleration Platformでは、企業や個人間での安全なデータ流通が可能となる「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST」と、同社のコンピューティング機能をサービス形式で提供する「Fujitsu Computing as a Service HPC」や「Fujitsu Computing as a Service Digital Annealer」などを用意。また、アプリケーション機能もAPIとして提供するほか、研究試作段階の透過的トラスト技術やコネクションチェーンといった技術も段階的に提供する。

 3月から提供するサービスのひとつとなるData e-TRUSTは、ブロックチェーン技術などを搭載したトラスト機能群。同サービスは、デジタルIDやデータの真正性を証明できるデータウォレットの仕組みである「IDYX(IDentitY eXchange)」や、ブロックチェーンを応用した台帳データベースの仕組みである「Chain Data Lineage」といったWeb3の要素技術で構成されている。

Data e-TRUST

 また、Fujitsu Web3 Acceleration Platformでは、開発コミュニティ活動を支援するポータルサイトや開発環境も提供する。具体的には、「分散型自律組織による共創社会の実現」「デジタルコンテンツの権利管理と利活用」「デジタルトラストの実現」といったテーマを軸に、新たなビジネスの創出に向けたユースケースの検討やプロトタイプの開発、実証実験などを行う。

 プラットフォームはすべて無償で利用でき、富士通 執行役員 SEVP CTOのヴィヴェック・マハジャン(Vivek Mahajan)氏によると、今後も有償化する予定はないという。「富士通としては、信頼を基本としたコンピューティングリソースや共創する仕組みをグローバルに提供することで、個人や企業が安心して繋がり、貢献し、未来に向けた課題を解決する持続可能な社会を目指したい」とマハジャン氏。同プラットフォームを通じたマネタイズについては、「プラットフォーム上のサービスやアプリケーションによるビジネスを検討することになる」と語る。

富士通が目指す社会
富士通 執行役員 SEVP CTO ヴィヴェック・マハジャン氏

 富士通 理事 SVP Uvance Core Technology本部長の有山俊朗氏も、「新しいWeb3の技術を社会に実装することで、新たな経済圏が生まれる。例えば、スーパーコンピュータやシミュレーションを使ったシナリオを示すといったことも考えられるだろう。今回提供するプラットフォームを土台にして生まれてくる新しい世界が、当社の事業活動へとつながることになる」としている。

富士通 理事 SVP Uvance Core Technology本部長 有山俊朗氏

 無償提供の対象となるFujitsu Accelerator Program for CaaSの参画パートナーは現在十数社だというが、「今回の発表を踏まえ、新たに数十社のパートナーと協力していきたい」と、有山氏は述べている。

 Web3の分野での競争環境については、「富士通が先駆者だと考えているが、この領域は1社ですべてできるものではない。むしろこれまで競合だった企業も、当社のプラットフォームを利用してさまざまなアプリケーションを構築し、その強みを生かしてもらいたい。共創という考えが重要だ」と、マハジャン氏は述べた。