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日立、SRE手法を用いたマネージドサービス「Hitachi Application Reliability Centersサービス」を日本で提供

HARCサービスの特長

 株式会社日立製作所(以下、日立)は8日、システム運用の自動化を推進するSRE(Site Reliability Engineering)の手法に基づき、アジリティと信頼性の両立やセキュリティの強化、クラウドコストの最適化を支援する「Hitachi Application Reliability Centersサービス(以下、HARCサービス)」を、6月30日から日本で提供すると発表した。

 HARCサービスは、SREに精通したソフトウェアエンジニアが、さまざまなツールを駆使してクラウド全体の可視性向上や運用自動化を実現するクラウド向けマネージドサービス。米国子会社の日立ヴァンタラがグローバルに先行して提供し、ジョンソンコントロールズなど製造業や金融機関、小売り流通業の顧客を中心に多くの導入実績があるという。

 グローバルの先進事例や取り組みで培ったSREの専門的な知識・技術・ノウハウを集結し、顧客のクラウドアプリケーションの運用変革を支援する。具体的には、SREに基づいた日立独自の評価指標により、クラウド運用の現状を信頼性やセキュリティなどの観点からスコア化することで、目指す姿とのギャップを明確にし、改善に向けたロードマップを提案する。

 また、システム設計・運用支援に加えて、顧客の中でのSRE組織の立ち上げに向けて、クラウドを前提とした運用やセキュリティに関する適切なガイドラインの策定、人財育成、体制構築などさまざまな角度から継続的に支援する。これにより、ソフトウェアエンジニアリングによるトイル作業(繰り返し手作業で行う定型的な運用作業)の自動化や、オブザーバビリティ導入によるシステム/サービス状況のリアルタイム監視、AIOpsを活用したインシデントの予測/予防、開発チームを含めたバックログ共有による継続的な運用改善ループ、DevSecOps実現を支えるSRE体制の構築といった運用改善を段階的に推進し、アジリティと信頼性の両立を実現していく。

 FinOpsを活用し、現状のクラウドコスト分析から、施策の提案/実装、継続的なコストの監視/管理までの三段階のフェーズを通じて、顧客のマルチクラウド環境におけるクラウドコストの最適化を支援する。具体的には、総負担コストの把握や同業他社とのベンチマークから現状を明らかにした上で、リソースサイズの適正化やインスタンスタイプの変更などコスト最適化に向けた具体的なアクションを推進する。また、顧客のITシステム部門だけではなく、財務部門やサービス提供部門とも連携した継続的なクラウドコスト管理を実現し、これによりトータルのクラウド運用コストを平均20%削減できるとしている。

 日立が国内でこれまで培ってきた基幹システムのクラウド移行や運用高度化のベストプラクティスをまとめたテンプレートを活用することで、基幹システム含めたシステム全体の運用モダナイゼーションを実現する。具体的には、基幹システムに必要となる運用やセキュリティなどに関する標準的な設計をテンプレートとして蓄積し、IaC(Infrastructure as Code)の仕組みを用いて自動化することで、必要なときに迅速にIT基盤を構築することを可能にする。また、基幹システムとDXシステム双方の運用を対象に、自動化の範囲をIT基盤の構築だけではなく、高度な運用を含めたシステム運用全般に段階的に拡大していく。

 さらに、日立グループ32万人が利用するIT基盤や大手金融機関、官公庁などでの運用ノウハウを有するセキュリティエキスパートが、マルチクラウド環境における安全・安心なセキュリティ運用を提供する。

HARCサービスのメニュー体系

 「アドバイザリサービス」「デザインサービス」「運用管理サービス」「クラウドコスト管理サービス」の4つのサービスメニューがあり、顧客の課題やシステム状況に合わせて、SaaS型運用統合プラットフォーム「JP1 Cloud Service/Operations Integration(以下、Ops I)」など「IT基盤/運用高度化オファリング」のサービスメニューとも組み合わせられる。

 日立では、日立ヴァンタラと連携し、サイロ化したクラウド運用の煩雑な業務から顧客の運用チームを解放するとともに、顧客のクラウドアプリケーションの信頼性向上とリリースサイクルの高速化を実現する。さらに、国内では基幹システムのクラウド移行や運用高度化を成功させてきた実績で培ったベストプラクティスをサービスに取り込み、モダナイゼーションやマルチクラウド運用などクラウド活用に対するさまざまなニーズに対応することで、クラウド運用を抜本的に変革し、顧客のDX実現に貢献するとしている。