ニュース

NTT、次期全国コアネットワークの構築に向けた検証機として富士通の光伝送プラットフォーム「1FINITY Ultra Optical System」を採用

 富士通株式会社は6日、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が、日本全国をカバーする次期光コアネットワークの構築に向けた検証機として、富士通の光伝送プラットフォーム「1FINITY Ultra Optical System」を採用したと発表した。富士通は、6月にNTTから「1FINITY Ultra Optical System」を受注し、2023年度上期中に検証機を納入する予定。

 NTTグループでは、これまでの情報通信システムを変革し、新たな情報通信基盤の実現を目指すためにIOWN構想を提唱しており、それを支える技術として、通信ネットワークの全領域で光(フォトニクス)を用いるオールフォトニクスネットワーク(APN)の構築を進めている。APNは、従来の通信技術を大幅に上回る大容量伝送、低遅延、低消費電力といった特徴を持ち、NTTグループが全国で構築を開始する次期光コアネットワークにも活用される予定。

 富士通の1FINITY Ultra Optical Systemは、IOWN Global Forumが策定したOpen APNに求められる仕様を満たしながら、世界最高クラスとなる光1波あたり1.2Tbpsの大容量伝送や、800Gbpsでの長距離伝送などの用途に応じた最適なソリューションを提供できる。また、世界で初めて光伝送装置に水冷システムを採用し、システム全体のCO2排出量を従来製品比で60%削減した。富士通は、今後グローバルに1FINITY Ultra Optical Systemを提供する予定で、3000億円規模のビジネスに成長させることを目指している。

 今回、NTTグループが推進するIOWN構想に基づく次期光コアネットワークを支える主要装置として、富士通の1FINITY Ultra Optical Systemが持つ、大容量伝送、低遅延、低消費電力といった特長や、柔軟なネットワーク構築が可能なオープンアーキテクチャシステムである点が評価され、富士通がNTTの開発パートナーとして選定された。首都圏などの都市部向けの1.2Tbpsでの伝送や、遠隔地をつなぐ800Gbpsでの伝送など、用途や地域の通信需要に応じて最適化した伝送を実現し、日本全国での運用が期待されている。

 製品には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(JPNP20017)(b1)ポスト5G情報通信システムにおけるテラビット光伝送システムの研究開発」における成果の一部と、総務省委託研究「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発 課題Ⅰ 5Tbps級高速大容量・低消費電力光伝送技術の研究開発(JPMI00316)」、および国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の委託研究「高スループット・高稼働な通信を提供する順応型光ネットワーク技術の研究開発(採択番号20501)」における成果の一部を活用している。

 富士通では、日本における次世代ネットワークの根幹であるNTTおよびNTTグループの光コアネットワークの構築を支援するとともに、光伝送プラットフォームを通じて消費電力の大幅な削減に貢献することで、カーボンニュートラルの実現に向けた社会課題解決の一翼を担うとしている。

「1FINITY Ultra Optical System」を構成する、トランスポンダー(光送受信機)「1FINITY T900」(左)とラインシステム(光波長多重装置)「1FINITY L900」(右)