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IIJグループ、マイクロデータセンターによるグローバル分散ICTインフラの実証実験をアイスランドで開始

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)とIIJの完全子会社で英国現地法人のIIJ Europeは18日、アイスランド国営電力会社Landvirkjunの協力のもと、IIJがサービス提供しているマイクロデータセンターを、アイスランド南部にあるLandvirkjunのイラフォス水力発電所に設置し、国・地域をまたいで分散配置したデータセンターを統合的に運用・管理するICTインフラの確立に向けた実証実験を実施すると発表した。実証期間は2024年4月から2024年3月。

 アイスランドはヨーロッパ大陸とアメリカ大陸のほぼ中間に位置し、北大西洋での通信のハブになりうる地理的な優位性があることに加え、IIJは自社データセンターにおけるカーボンニュートラルへの取り組みを推進していることから、再生可能エネルギー100%の電力が利用できる同国での実施を決定したという。

 マイクロデータセンターは、サーバー冷却用空調ユニット、UPS、セキュリティカメラなど、データセンターに必要な設備や機能を備えた小型サイズ(高さ約1~2m)のデータセンターで、屋内・屋外を問わず設置できる利点がある。

 実証実験では、周辺に事業所のない無人環境でも運用できることをテストし、データエンバシー(同盟国へのデータ保管)などの国をまたぐ分散バックアップ用途での新しい市場の可能性を検証していく。

 また、IIJ Europeがロンドンからマイクロデータセンターを遠隔制御し、安定的な運用や自律運転の検証を行う。周辺にメンテナンスを行う事業所のない無人環境で、長期間稼働に耐えうるかを確認する。

 さらに、米国で提供しているデータバックアップサービスの拠点にアイスランドのマイクロデータセンターを追加し、IIJ Europeの拠点(英国およびドイツ)を含めて運用テストを行う。そのほか、IoTやセキュリティなど各種サービスとの連携による新たな価値創出に向けた施策を検討する。

 実証実験で使用するマイクロデータセンターは、Landvirkjunの協力により、再生可能エネルギー100%の電力供給を受ける。欧州をはじめ、企業のカーボンニュートラル取り組みの強化、またサステナビリティ情報の開示がより厳格化される情勢において、再エネ100%電力を利用したマイクロデータセンターのテストマーケティングを行い、需要の発掘を図る。

イラフォス水力発電所