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NTT Com、ローカル5GにおけるE2EスライシングとQoS制御を実現

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は30日、ローカル5Gにおいて国内初となる無線区間(以下、RAN)でのスライシング技術(以下、RANスライシング技術)の検証に成功したと発表した。また、RANを含む5GネットワークからWANまでの、エンド・ツー・エンド(以下、E2E)スライシング検証を実施し、異なるネットワーク要件が必要なIoT端末を複数台接続して、QoS制御が可能なことを確認したという。

 産業界においては、画像/映像や位置情報などさまざまなセンシング情報を、Wi-Fiなど無線ネットワークを用いて、MEC(Multi-access Edge Computing)やクラウドに転送、各種データを連携、AI解析するなどし、サービスや生産の効率/品質を向上させるなどの取り組みが進められている。しかし、遅延の少なさや高速大容量通信など、各種機器が求めるネットワーク要件はそれぞれ異なるため、各種機器それぞれの要件を満たす無線ネットワークの提供が課題となっているという。

 NTT Comでは、こうした課題の解決に向け、モバイル技術を自営無線ネットワークとして利用できるローカル5Gを用いて、RANスライシング技術を適用するシステムの開発/検証を行っており、今回、RANでのスライシングやQoS制御技術を確立するとともに、5GネットワークとWANとのスライス/QoS連携制御にも成功したとしている。

 RANスライシング技術は、論理分割とQoS制御の2つの技術要素から構成される。技術を使用しない場合、同一無線エリアに在圏する端末ですべての無線リソースをシェアするため、本来優先させるべき映像伝送などの通信が他の通信に圧迫され、遅延やデータ欠落が発生する場合がある。

 この課題に対し、RANスライシング技術技術を適用することで、論理的に通信特性ごとに無線リソースを分割することで通信品質を確保し、さらにはその分割された無線リソース内でQoS制御を行うことにより、細やかな制御が可能となる。

 また、NTT Comではこれまでに、5GネットワークにおいてRAN以外(5Gコア、WAN)のスライシング技術に対しても検証してきたが、RANスライシングが実現できたことで、NTT Comが得意とするWANにおけるトラフィック制御と連携し、E2EスライシングとQoS制御が可能となったという。

 NTT Comでは、今回の技術の検証環境を共創環境として提供し、パートナー企業との具体的なアプリケーション検証、実用性の評価を実施する。さらに、これらQoS制御をオーケストレータにより、IoT端末の利用状況に応じて、動的にコントロールすることで、ネットワークリソースを効果的に活用する技術開発も進めていくとしている。