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オラクル、政府機関向けのクラウドソリューションを発表

日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 公共ソリューション部の八島晶氏

 日本オラクル株式会社は15日、政府・公共機関向けに、クラウド環境構築の支援ソリューションを提供すると発表した。

 日本政府が2020年に向けて打ち出したIT施策の指針「世界最先端IT国家創造宣言」(以下、IT国家創造宣言)では「政府共通プラットフォームへの移行を加速」「2021年度をめどにすべての情報システムをクラウド化する」「災害やセキュリティに強い行政基盤を作る」といったことが打ち出されており、日本オラクルでは、こうした“ガバメント・クラウド”向けのソリューションを提供することで、政府や公共機関によるITへの取り組みを支援するとのこと。

 具体的には、3つのソリューションを中核に展開する。その中で、もっとも大きなウエイトを占めると期待される「DBaaSソリューション」は、Oracle Database 12cで提供されるマルチテナント機能と、データベースマシン「Oracle Exadata」を利用し、複数のデータベースシステムの効果的な集約を行おうというものだ。

 政府では、2012年度に1450ある中央官庁のシステムを、統廃合により2021年度には871まで削減するとの目標値を打ち出しており、そのうち252は政府共通のプラットフォームへ集約するとしているという。これについて、日本オラクル テクノロジー製品事業統括本部 公共ソリューション部の八島晶氏は「従来のデータベース統合と比べて、マルチテナント型は集約率が高い。システムを集約してもコストが落ちないのでは意味がなく、その点、集約率が高くなることは政府の考え方に合っている」とする。

 またマルチテナントアーキテクチャでは、従来、個々のデータベースに対して実施する必要があったパッチ適用やアップグレードといった作業を、ベースとなるデータベース(マルチテナント・コンテナ・データベース)に対して一度行うだけですむため、運用面でのコストも削減可能。さらに、管理ツールである「Oracle Enterprise Manager 12c」により、セルフサービス型のプロビジョニングも提供できるとした。

2021年度には、252のシステムを政府共通プラットフォームへ集約する目標が掲げられている
DBaaSソリューション

 2つ目の「ビッグデータ・ソリューション」では、データを一元的に集める「Oracle Big Data Appliance」、データ格納基盤となる「Oracle Exadata」、使いやすい分析環境を提供する「Oracle Exalytics」などを利用し、データの収集から保存、“気付き”を生み出す分析の部分までを、トータルに提供する。

 これについて八島氏は「『IT国家創造宣言』では、『機会判読に適したデータ形式で公開すべき』としているのがポイント」と指摘。「従来のテクノロジーを使い、雑多なデータを集めて公開するときには、形式の違いによりコストがかかってしまうが、Oracle DatabaseとExadataでは、さまざまな形式のデータを“散らかす”ことなく、オープンデータとして公開できる強みがある」とした。

 最後の「セキュリティ・ソリューション」では、米Oracleが創業以来、CIAや軍など、米国政府機関の中でももっとも要求の厳しいところの要望に応えてきた実績を強調。Oracle Advanced Security、Oracle Label Security、Oracle Database Vaultをはじめとするさまざまな製品によって、データを適切に守れる強みがあるとアピール。「データベースがデータベース自身を守れるのが、当社のセキュリティ製品のアドバンテージだ」としている。

ビッグデータ・ソリューション
オラクルの考えるセキュリティ

 なお、これらのソリューションはトータルで利用することも可能だが、「3つのソリューションをフルスペックで導入するような省庁がすぐ出ることはない。要素技術を導入したり、オンプレミスでの検討の中にDBaaSを入れたり、といった部分的な実装をしながら、そこで得られるメリットをしっかりと理解していただくことになる。向こう5年で世界最先端のIT国家を目指すという指針があるので、しばらくは、フルスペックに近いソリューションを提供するための準備期間として考えている」(八島氏)とのことだ。

石井 一志