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富士通、1.2Tbps大容量長距離伝送とCO2排出量60%削減を両立した光伝送プラットフォームを実用化

 富士通株式会社は22日、世界最高クラスの光1波あたり1.2Tbpsの大容量長距離伝送が可能な光伝送プラットフォームを実用化し、「1FINITY Ultra Optical System」として製品化したと発表した。2023年度上期に、通信事業者やデータセンター事業者向けに、日本や北米をはじめグローバルに提供を開始する。

 1FINITY Ultra Optical Systemは、トランスポンダー(光送受信機)「1FINITY T900」と、ラインシステム(光波長多重装置)「1FINITY L900」で構成される。

 1FINITY T900は、光1波あたり1.2Tbpsの大容量データ送信を実現した光送受信機で、新たに開発した高性能コヒーレントDSPおよび超高速CDM(Coherent Driver Modulator)を採用することで、135Gbaud(ギガボー)の高速信号伝送が可能となる。さらに、富士通独自のクローズドループ水冷技術を採用することで、従来の空冷システムと比較して2倍の冷却能力と発生する騒音の50%低減を実現した。

 ラインシステムの1FINITY L900では、光ネットワークで一般的に使われるCバンドの波長帯域に加えて、より波長の長いLバンドの帯域の波長も扱うことで、光ファイバー1本あたりの通信容量を拡張可能な技術、C+L ROADMアーキテクチャーを採用した。加えて、光信号を送信する際に、伝送路上で信号を増幅することで、到達距離や伝送容量を向上させることができるフォワードラマン増幅も実用化した。

 これらの技術により、ネットワークインフラの拡張性の向上に寄与しつつ、必要なトランスポンダーの設置数と消費電力を削減し、光ネットワーク全体の脱炭素化に貢献するとしている。

 また、従来型の光波長多重装置では、多数の光ファイバーケーブルを束ねて装置内に収める必要性から、ケーブル配線の複雑化や設置性の面で課題があったが、1FINITY L900にはスマートファイバーケーブルシステムを採用することで、ケーブル配線の複雑さを従来比で80%以上削減し、かつ設置時および試運転中のトラブルシューティングを数時間から数秒に短縮することが可能になった。伝送状況や断線箇所などの光ファイバーの状態を測定解析するOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)や、疑似的な波長を用いて、伝送経路の品質の確認が遠隔操作により実現可能となるPseudowave技術を機器内部に組み込むことにより、ネットワークの管理をより簡便かつ効率化することも可能となる。

 将来的には、広域ネットワーク運用・管理ソフトウェア「FUJITSU Network Virtuora NC」と組み合わせることで、機械学習を用いたネットワークの運用やリソースを最適化できるサービスを提供する予定としている。

 富士通では製品を、日本を含むアジア太平洋地域、北米および欧州全域で、2023年度上期から提供開始予定。