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熊谷組、京セラ、NECの3社、ローカル5Gを活用した建機2台の自動走行および4K映像の実証実験を実施

 株式会社熊谷組、京セラ株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)の3社は7日、熊谷組技術研究所屋外実験ヤードにおいて、ローカル5Gを利用した建設機械2台に対する自動走行と4Kカメラ映像伝送の実証実験を2022年11月に実施し、4K映像の送受信を確認したと発表した。

 3社では、実証実験に至った背景として、調査、測量から設計、施工などすべての建設プロセスにおいてICTを活用する「i-Construction」に関する取り組みが進んでおり、災害補修時における二次災害予防のための無人化施工技術に注目が集まっていると説明。無人化施工技術の高度化には、建設機械(以下、建機)への4Kカメラ搭載による映像の高品質化や、建機の傾きや振動などを検知するセンサーによる現場情報のフィードバックが必要で、これらを実現するために、高速で低遅延な伝送を可能とする無線通信システムが求められているという。

 こうしたことを受け、地域の企業や自治体などのさまざまな主体が個別ニーズに応じて構築可能なローカル5Gに注目し、屋外実験ヤードに構築されたローカル5Gシステムを用いて、2022年6月に実証実験を実施。さらに、屋外実験ヤード内での高い上り回線の伝送速度、低遅延性能を確認した結果を踏まえ、2台の建機の自動走行の実証実験を2022年11月に実施した。実験中に、建機上の4Kカメラ映像をエンコーダーを用いて伝送し、遠隔操作室にあるデコーダー側の出力映像の品質を確認した。

京セラ製ローカル5G対応デバイスを搭載した2台の建機(2台ともに自動走行中)
デコードされた車載4Kカメラ映像(建機2台分)

 実証実験のシステム基本構成は、技術研究所内の建物にNEC製ローカル5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けた。遠隔操作ならびに自動走行が可能な建機上には、受信電力情報をリアルタイムで取得できる京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を設置し、車載4Kカメラの映像をIPネットワークの上り回線を通じて高速なパケット伝送を行い、遠隔操作室内に設置されたディスプレイにデコーダー出力を80msecで表示することが可能となる。

基本構成図

 実証実験の結果、移動する建機の位置を遠隔操作室内のディスプレイによって確認した。加えて、K5G-C-100Aで取得された受信信号とGPS情報を使い、屋外実験ヤード内を移動した時の受信電力特性を確認したところ、ヤード内では4Kカメラ映像を安定的に伝送できる電力値であることが確認できたという。これらの位置情報と受信電力特性の情報を活用することで、屋外実験ヤード内の建機2台が、往路と復路のルートに対して安全間隔を保ちながら自動走行が可能となった。

 3社では今後の展開として、実際の建設現場における技術検証など、4Kカメラが搭載された建機の自動走行の高度化・実用化に向けて、さまざまな実証実験を行うとしている。