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さくらインターネットと高知工科大学など、Local5Gとさくらのクラウドを用いた広域分散コンピューティングの実証実験を開始

 さくらインターネット株式会社、高知県公立大学法人高知工科大学、株式会社シティネット、近畿大学は19日、国立大学法人東京大学、国立大学法人大阪大学サイバーメディアセンターと共同で、Beyond 5Gに関する研究を開始すると発表した。

 本研究を実施する6つの団体は2021年11月から、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するBeyond 5G研究開発促進事業、研究開発課題名「関数型パラダイムで実現するB5G時代の資源透過型広域分散コンピューティング環境」(採択番号 04001)に参画し、分散コンピューティングに関して共同で研究を実施してきた。

 この研究活動の一環として、高知工科大学内に設置されたLocal5G設備とさくらのクラウドを接続し、広域分散コンピューティングの実証実験環境を構築した。

 実験では、高知工科大学内に独立したLocal5G環境とMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)サーバーを構築し、さくらのクラウドに構築された環境に閉域網を利用して接続する。これにより、Local5G環境下にあるコンピューターが、低遅延で安全にさくらインターネットのデータセンター内のコンピューティングリソースを利用できるようになる。

 将来的には、複数のLocal5G環境やMECサーバー、クラウドを閉域網環境下でシームレスに接続することで、5G環境下にあるコンピューターが要件に合わせて任意のMECサーバーやクラウドのコンピューティングリソースを利用することや、逆にクラウドから広域に遍在する多数の5G環境下にあるコンピューターにアクセスすることも可能になるとしている。

実証実験環境のイメージ図

 研究において、さくらインターネットは、クラウドやエッジコンピューティング関連技術、またIoT機器とクラウドをより簡単に連携させる技術などの研究開発を担当。また、Beyond 5Gが実現される将来に利用されるアプリケーションを想定し、それに適合したコンピューター通信インフラストラクチャーの将来ビジョンの検討を実施する。

 高知工科大学は、構内にLocal5G設備を整備してテストベッド環境として供することに加え、5G基地局、交換局(5Gコア)、外部ネットワーク接続、および5G端末について、構築、利用、運用の高度化のための技術開発などを担当する。また、5G端末の高機能化、低消費電力化を進め、工場、生産現場など産業領域での活用に向けた技術開発も実施する。

 シティネットは、IoT機器がクラウドやMEC環境上のリソースを透過的に扱うことができる資源透過型プラットフォーム「Giocci」の設計・構築を担当する。また、各大学とマルチクラウド環境をSINET6で接続したインフラの設計・構築、マルチクラウド環境内におけるグローバル分散システムの構築を行っている。

 近畿大学は、広域分散環境における資源配置問題に関するアルゴリズム研究を情報学部で担当する。

 今後はこの環境を利用し、屋外・工場・オフィスなどに設置されたIoT機器と、環境内に遍在するエッジデバイスをはじめとしたコンピューター、外部のクラウド環境を適切に組み合わせて、持続可能で新たな価値の創造に資する次世代のコンピューター通信インフラストラクチャーである、Beyond 5Gを実現するための研究開発、実証実験を推進していくとしている。

 また、構築した実証実験環境については、日本各地の大学・企業等で整備・研究開発中のLocal5G環境とも接続し、広域分散コンピューティングの試験用環境として利用可能にするとともに、広域分散アプリケーションの可能性検証を実施していくことも将来展開の一つとして検討を進めていくとしている。