ニュース

富士通、営業提案業務のDXを推進するナレッジ基盤ソリューション新版「Know-Flow DX V1.12」

 富士通株式会社は15日、ナレッジ基盤ソリューション「Know-Flow DX」の最新版「Know-Flow DX V1.12」を発表した。V1.12では、営業提案業務のDXを推進する新機能を追加している。

 Know-Flow DXは、属人化した業務ノウハウを組織ナレッジに転換し、ビギナーであっても自律的に仕事ができるような環境を構築するためのプラットフォームだ。AIを活用してナレッジを整備し、そのナレッジの検索や共有ができるようになっており、ヘルプデスクやITサービス運用、保守などを中心とした業務での活用が進んでいる。

 「コロナ禍では特に業務が属人化しがちで、ベテランに仕事が集中してしまう。一方、ビギナーには対応ノウハウが少なく、仕事の進め方に関しても課題を抱えがちだ。このソリューションでは、ビギナーでも主体的に仕事ができるよう、ベテランの技をデジタル化して全員その技を再現できるようにすることをコンセプトとしている」と、富士通 Digital Solution事業本部 スマートワークソリューション事業部 知識活用ソリューション部の中田晃尋氏は説明する。

Know-Flow DXのコンセプト
Know-Flow DXが支援するナレッジ活用の分野
富士通 Digital Solution事業本部 スマートワークソリューション事業部 知識活用ソリューション部 中田晃尋氏

 新バージョンでは、営業提案業務における個人の成功体験を組織のナレッジとして活用できる機能が追加された。

 そのひとつが、営業ノウハウが詰まった提案書や報告書などのデジタル社内文書から、AIがトレンドワードや成功体験をキーワードとして抽出するトレンドキャッチ機能だ。この機能を活用することで、報告書などの内容が自動的にカテゴリ分類できるようになるほか、頻出するキーワードのランキングでトレンドが把握できる。また、週報などの営業資産から、実際のトレンド内容を確認することも可能だ。

 こうした機能により、「ナレッジ管理者が分類ごとのトレンドを抽出し、営業担当者に共有、それを実際の営業活動に生かすことができる」と中田氏は言う。「営業部門では多様なドキュメントを扱っているが、提案書の利活用やノウハウの共有に課題があった。Know-Flow DXにより、社内文書をAIが分析し、営業活動に役立つトレンドなどの情報が報告書から抽出できるようになる」(中田氏)。

 トレンドキャッチ機能を利用するには、顧客専用のAIモデルが必要となる。富士通では、顧客のデータや業務に合わせた適切なモデルの作成もサポートする。

営業提案業務におけるナレッジ活用
トレンドキャッチ機能について

 もうひとつ、新バージョンで利用範囲を拡大したのが、ナレッジインデックス機能だ。タグを自動付与することで、ドキュメントのナレッジ化が実現する。

 この機能では、キーワード検索だけでなく、自然文のまま検索できるほか、ページによく登場する特徴語は自動でタグ付けされるため、頻出タグによる絞り込み検索もできる。ただし、頻出単語ではあるものの、対象外とすべき単語は排除するという富士通の特許技術も活用し、無駄なタグがつかないようになっている。また、カスタマイズは必要だが、ルールに合わせてタグ付けしたい単語にタグを付与することも可能だ。

 ナレッジインデックス機能により、「眠っている大量のドキュメントを何度も開かずに、欲しい情報を探し出すことができるようになる。こうしてドキュメントを活用することで、問い合わせ対応が容易になるだろう」と中田氏は述べている。

ナレッジインデックス機能について

 今回の新バージョンについて中田氏は、「Know-Flow DXで集約されたチームのノウハウが、トレンドキャッチ機能やナレッジインデックス機能を通じてわかりやすく表示される。AIによる自動タグ付け機能により、提案書を手軽に発見し利活用できるほか、報告書のトレンドがひと目で把握できるため、その情報を共有することでチームのスキルをレベルアップできる」としている。

新機能でチームのスキルをレベルアップ

 富士通 Digital Solution事業本部 スマートワークソリューション事業部 知識活用ソリューション部 シニアマネージャーの鈴村保則氏によると、2022年3月時点で約70社だったKnow-Flow DXのユーザー企業数は、現在約100社にまで拡大しているという。今回営業提案業務のDXを推進する機能を追加したことで、この分野での販売を拡大し、「来年度のユーザー企業数は現状の1.5倍を狙いたい」と鈴村氏は述べた。

富士通 Digital Solution事業本部 スマートワークソリューション事業部 知識活用ソリューション部 シニアマネージャー 鈴村保則氏