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富士通、ナレッジ基盤ソリューション「Know-Flow DX」最新版でFAQ自動生成機能を提供

 富士通株式会社は3日、ナレッジ基盤ソリューション「Know-Flow DX」に新たなオプション機能を追加し、最新版「Know-Flow DX V1.02」として発表した。

 Know-Flow DXは、AIを活用することでナレッジを整備して分析し、検索や共有などを容易にするソリューション。2017年にオンプレミス版の販売を開始し、クラウド版は2021年7月より提供している。オンプレミス・クラウドの双方で合計70社以上がすでに採用しており、顧客ニーズにあわせて四半期単位でバージョンアップを実施している。

Know-Flow DXとは

 富士通 ソフトウェアテクノロジー事業本部 DXサービス事業部 AI言語活用ソリューション部 部長の野田徹氏は、「コロナ禍ではオフィスの在席率が下がり、打ち合わせもリモート会議へとシフトしていることから、顧客との接点が格段に減少し、社内でも有識者のノウハウが伝承しにくくなっている。情報やノウハウの流通が滞ることで、組織のパフォーマンスが低下し、ビジネスにも影響が及びかねない」と、新たな仕事環境における課題を指摘。その上で、「これまで対面で共有していたノウハウを、Know-Flow DXを活用していつでもどこでも使えるナレッジにすることで、ピンチをチャンスにできる」としている。

富士通 ソフトウェアテクノロジー事業本部 DXサービス事業部 AI言語活用ソリューション部 部長 野田徹氏
新機能でナレッジ活用できる環境を構築

 今回のバージョンアップで追加した機能は、問い合わせの質問と回答(FAQ)を自動生成する機能、ナレッジチャットボットで回答に導く機能の2つだ。サポート業務や問い合わせ対応において、「ナレッジが属人化していてビギナーがすぐに対応できないといった課題や、FAQの作成に手間がかかる、また最新化できていないといった課題を解決する」と野田氏は説明する。

新機能の仕組み
AIナレッジ活用のポイント

 FAQの自動生成機能は、富士通独自の自然文解析技術を活用したもの。製品マニュアルや対応履歴など、すでに手元にあるデータをドラッグ&ドロップするだけで質問と回答のペアを推論し、FAQの候補を自動生成する。既存データから質問と回答の両方を自動生成できる点が特徴で、179ページのマニュアルから360件のFAQ候補を生成できるという。これにより、「FAQの作成時間が55%削減できる」と野田氏は見ている。FAQを運用する中で、ナレッジは継続的に整備され、AIの育成にもつなげていく。

FAQの作成時間を55%削減可能

 こうして作成したFAQは、オペレーターが顧客対応の際に活用するだけでなく、もうひとつの新機能であるナレッジチャットボットにも展開する。ナレッジチャットボットでは、エンドユーザーからの自然文での問い合わせに対し、ボットがFAQの中から回答候補を提示する。こうした機能を組み合わせることで、「問い合わせ業務が自動化できるようになる」(野田氏)という。

ナレッジチャットボットの画面

 このほかにもKnow-Flow DXには、インシデントなどを管理するITサービス管理機能や、問い合わせ管理、ナレッジ管理などの機能が用意されているほか、プロセス状況ダッシュボードから問い合わせを分類して集計し、状況や傾向を可視化することも可能だ。

 Know-Flow DXは、基本サービスの価格が月額16万円(価格はすべて税別)から。同時接続可能数によって価格は変動し、最小構成の場合で運用者・管理者の同時接続数は5人となっている。今回発表した新機能はオプションとして提供され、利用価格はFAQ自動生成機能・ナレッジチャットボットともにそれぞれ月額10万円からとなっている。

基本サービスの価格

 現在は、各企業のノウハウをデジタル化して活用するソリューションにとどまっているKnow-Flow DXだが、富士通 ソフトウェアテクノロジー事業本部 DXサービス事業部 ビジネス推進部 部長の島崎健一氏は「将来的には複数の企業間でナレッジを幅広く流通させる基盤にしていきたい」と語る。

 「各企業が持つナレッジそのものに付加価値をつけて汎用化させ、複数の企業間や業界で使えるような基盤を検討している。現在はSaaS(Software as a Service)だが、将来的にはKnowledge as a Serviceに発展させたい考えだ」と、島崎氏は今後の構想を述べた。