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ネットワークとセキュリティを両輪に国内ビジネスを展開――、ベライゾンジャパン
アステラス製薬と富士フイルムの事例も紹介
2022年9月16日 06:15
通信事業者の米Verizon Communicationsの日本法人、ベライゾンジャパン合同会社は15日、グローバルおよび日本での事業についての記者説明会を開催した。
利用企業事例として、アステラス製薬株式会社が登場。また、富士フイルム株式会社の事例も紹介された。なお、両事例は米国で8月に発表されている。
ネットワークとセキュリティが両輪
グローバル事業とアジア太平洋地域についてVerizon Communicationsベライゾン・ビジネスグループ アジアパシフィック地域 バイスプレジデントのロバート・ル・バスク氏が、日本での事業についてベライゾンジャパン合同会社 代表執行役員社長の山崎隆太氏が説明した。
バスク氏は冒頭で「日本市場に対するわれわれのコミットメントは永続的で強力なもの。中でも特に、エンタープライズや政府関係にさまざまなソリューションを提供している」と語った。
ベライゾンの強みとしてバスク氏は、グローバルにネットワークとセキュリティを提供することを挙げた。日本を含む150カ国以上の2.7万都市以上でサービスを提供。そこから年間1.7兆件のセキュリティイベントを、世界9拠点のSOC(Security Operation Center)で処理する。これによってさまざまなセキュリティのインサイトが得られるという。
バスク氏はアジア太平洋地域のセキュリティトレンドを2つ紹介した。1つめは、「アジア太平洋地域は、フィッシングを含むソーシャルエンジニアリング攻撃の一番の標的になっている」ということ。ベライゾンが検知したソーシャルエンジニアリング攻撃の48%がアジア太平洋地域だという。
2つめは「アジア太平洋地域はサイバーエスピオナージ(サイバースパイ)攻撃の対象にもなっている」ということ。サイバーエスピオナージ攻撃の46%がアジア太平洋地域で、それに比べて米国は3%だという。
最後にバスク氏は、「日本市場はAPACの中でも特に成長が著しい市場。将来に向けてビジネスチャンスがある」と語った。
ベライゾンジャパン社長の山崎氏は、同社の特徴として、さまざまな国と同じサービスを陸続きに提供していることを挙げた。
現在、国内1000社以上の上場企業をサポート。特にターゲットとするのは日本に本社を置く多国籍企業で、海外拠点にも各顧客担当を配置して“グローバルを面でおさえる”サポート体制を特徴とするという。
山崎氏は、ベライゾンジャパンの注力事業として、ネットワークとセキュリティを両輪として挙げた。ネットワークについては、インターネットバックボーンを流れるトラフィックの70%以上をおさえる。セキュリティについては、その世界中を網羅するネットワークを監視し、脅威をリアルタイムに監視して統合セキュリティソリューションを提供する。「ネットワークとセキュリティを提供できるのが強み。ネットワークを持っているから柔軟で安全なセキュリティサービスが提供できる」と山崎氏は語った。
アステラス製薬のネットワーク事例と、富士フイルムのセキュリティ事例
この両輪のうち、ネットワークについての事例として、アステラス製薬株式会社 情報システム部長の須田真也氏が説明した。また、ベライゾンジャパン合同会社 ソリューション本部 本部長の生田隆由氏が導入ソリューションについて補足した。
須田氏はまず、アステラス製薬の5カ年計画「経営計画2021」で定めた目標を達成するための3つの要の1つとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)を位置づけて、優先的に投資していると語った。
また、創薬から開発、製造、販売などの製薬業界のバリューチェーンにおいて、すべての領域で膨大なデータを扱っていると説明。「データを扱わずに済む領域はない。もはや情報産業といっていい」と述べた。
そのアステラス製薬では、2000年代の後半ごろから組織や業務のグローバル化が活発になり、離れた拠点をつなぐネットワークが欠かせないものとなったという。そのため、それまでベライゾンの一部地域のネットワークサービスを利用していたが、2010年以降はグローバルネットワークサービスの利用に踏み切った。
さらに2016年には、Microsoft AzureやAmazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドに安全に接続して十分な帯域幅でデータ転送が行えるように、ベライゾンの「セキュアクラウドインターコネクト」サービスを導入した。
2021年には、アステラス製薬でシステム運営にかかわるアウトソースの再編成を行ったこのとき、ベライゾンの「セキュアマネージドネットワークソリューション」を採用した。
その内容についてはベライゾンの生田氏が説明した。
マネージドWANサービスでは、MPLSやインターネットなどの物理的なコアネットワークを仮想空間で組み立てて提供。その中でSD-WANや仮想ファイアウォールなどを1つで提供する。
また、マネージドLANサービスでは、LANや音声機器、ユニファイドコミュニケーションサービスなどをすべて一括してアセット管理してトータルでマネージする。
そのほか、セキュアゲートウェイサービスなど、インターネットに抜けていく通信をモニタリングするなどにより安全にしていく。
もう1つの事例として、富士フイルムがベライゾンのSOC(Security Operation Center)サービスを採用した事例も生田氏は紹介した。
背景としては、グローバル展開や、買収や統合によりインフラが多岐にわたる中で、セキュリティ問題をいかに検出するかが課題だったという。
そこでエンドポイント監視や、ログを集めて解析するSIEM、またベライゾンがグローバルで持っているネットワークのデータや脅威インテリジェンスを組み合わせて、セキュリティを分析する。さらに、システムだけでなく、ベライゾンのスペシャリストが解析するという。
エッジコンピューティングなどの統合管理サービスも予定
最後に生田氏は、ベライゾンの提供サービスポートフォリオを紹介した。ネットワークにおいては、LANやWAN、クラウドアクセスなど、エンドデバイスからクラウドまで一貫したマネジメントサービスを提供。さらに2020年より、プライベート5GやプライベートMECといったローカルのサービスを提供しはじめている。
セキュリティ分野でも、SOCサービスやエンドポイントマネジメント以外にも、フォレンジック、セキュリティアセスメント、DoS対策などを提供している。
また、これから予定される次世代のソリューションとして、VESA(ベッサ、Verizon Edge Services & Applications)も生田氏は紹介した。ローカル5Gなどをふまえ、エッジクラウドやマルチベンダー、自動化などのプラットフォームを統合するシステムを開発したという。現時点では北米のみ提供し、グローバルでは2023年度に発表予定。