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部品や道具を事前登録せず映像解析で工場での細かい作業を識別――、NECが新AI技術を開発

作業の識別によって生産性の向上に貢献

 日本電気株式会社(以下、NEC)は20日、AIを用いた映像解析により、手指の動きをとらえて、工場での細かい作業を識別する技術を開発したと発表した。

 今回開発された新技術は、工場での組み立て等の人手による作業に適用するもの。AIを活用した映像解析により、一般的なカメラで撮影した数回分の“お手本映像”だけで学習モデルを作成し、手指の動きをとらえて数十種類の細かい作業を高精度に識別することで、全工程の流れを見える化できるという。

 すでに、肩や肘、手首などの人体の大きな動きをとらえて作業内容を分析する技術は開発されているが、手先の細かな動きを伴う作業には対応できていなかったほか、さまざまな部品や道具を用いた作業を識別するためには、部品や道具の画像を用意して、事前に登録する必要があったとのこと。

 しかし新技術では、各指の関節と指先(両手合計42カ所)の動きを基にしてとらえた手指形状の特徴量と、指周辺の画像特徴量との共起関係(ある手指の形と、特定の部品や道具が同時に現れる状況)を学習する方式を採用しており、個別の部品や道具を登録して学習する必要がない。このため、数回分の“お手本映像”だけで学習モデルを作成し、例えば「モジュラージャックを取る」「マイクをはめ込む」「電動ドライバーでネジを締める」など、数十種類の細かい作業を高精度に識別できるとしている。

手指形状と物体(部品や道具)との共起関係の学習

 さらに新技術では、細かい作業の識別だけでなく、個々の作業にかかる時間も測定可能。これにより、作業の手順違い/手順漏れの発見や、規定の作業時間と実作業にかかる時間の差の分析でき、生産性の向上に貢献するとした。

作業の識別により、規定値との違いを分析可能

 なお、作業で用いられる部品や道具を事前登録することなく、作業を識別できる技術の開発は国内初になるとのことで、NECは今後、製造や建設、物流、小売などの現場作業で検証を進め、2022年度中の事業化を目指す考えだ。