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富士通など3社、AIモデルを用いた地中埋設探査システムを開発

 戸田建設株式会社と富士通株式会社、株式会社きんそくの3社は23日、地中埋設管の破損事故を未然に防ぐための埋設探査において、AIモデルを用いて埋設管を効率的に検出する埋設探査システムのプロトタイプシステムを開発したと発表した。

 建設現場においては、埋設管の損傷事故を未然に防ぐために、埋設管の事前調査が行われており、代表的な調査方法の一つに地中レーダー探査装置による計測方法がある。これは、地中に照射したレーダー反射の変化で現れる双曲線の波形画像から、埋設管位置を推定するものだが、地中レーダー探査装置で現地計測を行った後に取得される数多くの波形画像データを基に、専門技術者が目視により埋設管判定しているため、解析業務の負荷低減や技術者不足の解消、客観性の担保と信頼性向上などが課題となっているという。

システム画面のイメージ

 3社が開発したシステムでは、断面図に現れる地中レーダーの波形を、富士通のAI技術により解析し、その連続状態から平面だけでなく深度方向も含めて埋設管の位置を推定する。埋設管位置の推定に対する信頼度を、存在確率として0~100%の範囲で利用者に示すことができ、さらに2D/3Dモデルでの出力が可能となる。

埋設探査システムによる解析フローの概略

 専門技術者の目視判定結果と比較して、同程度の精度で検出でき、数多くのデータに対する目視での見落としの可能性を考慮すると、AIによる検出結果の信頼性向上が期待できるとしている。実験フィールドによる検証では、システムでの再現率は80%以上となり、局所的に専門技術者の解析結果を上回ることが確認できたという。

GL-1.0mにおける埋設管状況(実験フィールド)

 埋設管種の判別については、波形パターンの違いをAIで解析し、金属/非金属の判別および管内の水の有無をAIで判別する。専門技術者が目視判定する場合と比較して、波形画像の解析にかかる所要時間を75%以上削減できるとしている。

 地上から見た平面図や各断面図の表示、埋設管の存在確率や深度によるフィルタリング表示など、利用者が求める情報を分かりやすく可視化できる。埋設管位置の検出結果を2D/3Dモデルで自動作成できるため、図面作成にかかる工数を省力化し、関係者へ速やかに情報共有できる。

 3社は今後、2022年10月の本システム運用開始を目指して、さまざまな工事現場に展開し、埋設管の損傷事故防止に役立てるとともに、システムのさらなる精度向上を図っていくと説明。また、システムを通じて得た知見を建設業界やインフラ事業に係る業界に対して、幅広く展開していくとしている。