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日立と応用地質が「地中可視化サービス」を強化、全国18事業体の実績によりAI解析精度を向上

SaaS化によりオンデマンドな情報確認も可能に

 株式会社日立製作所(以下、日立)と応用地質株式会社は8日、上下水道、ガス、電気、通信などのインフラ事業者や施工・設計業者向けに提供している「地中可視化サービス」を強化すると発表した。クラウドを活用したオンデマンドサービスとして、同日より提供開始する。

 「地中可視化サービス」は、三次元地中探査技術を強みとしている応用地質の地中レーダー探査装置・ノウハウと、日立のLumadaのAI・画像解析技術を組み合わせ、共同開発したソリューション。地中のガス管や水道管といった埋設物に関する位置・寸法などを高精度に可視化しており、地下掘削工事などで必要となる埋設物情報として利用できるという。

 同サービスでは、AI解析技術により、レーダー探査で取得した画像から埋設管・地中構造物・地層境界などの情報を判別しているが、レーダーの反応強度は土質の状態によって異なるため、全国のさまざまな場所や条件下での検証を重ね、継続的な精度向上を図っている。今回は、自治体・鉄鋼業など全国18事業体の協力のもと、合計240kmにのぼる地下レーダー探査を通じた継続的な評価検証と改良を行い、解析技術のさらなる精度向上を実現した。

 また今回は、サービスがSaaS化されたのも大きな変更点。これにより、インフラ事業者などが、必要なタイミングで、参照したい範囲の埋設物情報を確認できるようになった。具体的には、Webブラウザ上で2次元/3次元で地下埋設物が表示され、埋設管の深度や、地上構造物からの相対距離、埋設管同士の距離など、敷設状況の閲覧が可能となる。加えて、すでに埋設物情報がSaaSプラットフォーム上に整備されている場所については、参照権を購入することで、埋設管情報をすぐに閲覧できるとのこと。

 両社では、こうした強化により、広範な管路新設や更新時の計画・設計・施工の効率化、埋設管の損傷事故や工期遅延の発生リスクの低減など、社会インフラの維持管理業務の高度化が期待できると説明した。

 なお今後は、工事計画や既存の埋設物情報をWebブラウザ上で一元的に管理・共有することにより、事業者間の個別調整や工事立ち合いなどの工数軽減、事業者間のコミュニケーションの円滑化など、利用者の利便性・生産性向上にいっそう貢献していくとアピールしている。

 さらに、地下埋設物情報を建設機械と連携することにより、建設機械のMG(Machine Guidance)による事故の未然防止や、MC(Machine Control)による掘削の効率化、埋設管敷設ルート候補の自動リコメンドなどへの応用も検討するとのことだ。