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レノボがパートナー制度を公開、クライアントからサーバー、ストレージまで一貫して扱う体制に一新

 レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(LES)は19日、販売パートナー制度を一新し、両社の販売支援プログラムを統合した「Lenovo 360」へと変更すると発表した。

 クライアント製品を提供するレノボ・ジャパンと、サーバーやデータセンター向け製品を扱うLESは別会社だったこともあり、従来はそれぞれ異なるパートナー支援策を提供していた。今回、両社の販売支援プログラムを、インセンティブ制度を含めて統合。さらに、製品情報や見積もり作成支援などの機能を持ったデジタルプラットフォームの提供などを実施する。レノボ社内にも新たにパートナー事業本部を作り、パートナーのビジネス支援体制を強化していく。

 新体制の責任者となる、レノボ・ジャパンとLESそれぞれの執行役員で、パートナー事業本部の荒木俊彦氏は、「コロナ以降、お客さまの課題は一層複雑化しており、パートナーとともにその課題解決を進めるために、新しいパートナー制度であるLenovo 360を提供する。具体的な数は申し上げられないが、われわれのパートナーの数は3桁台。まずは既存のパートナーに新制度でより細かい対応をしていくことで、新たなパートナー獲得にもつながっていくのではないか」と述べ、支援体制の質向上によって、新たなパートナー獲得につながるとの見方を示した。

レノボ・ジャパン/LES 執行役員 パートナー事業本部 荒木俊彦氏

トータルで販売パートナーを支援する新プログラム

 Lenovo 360は、顧客のニーズが複雑化する中、単一製品でニーズに応えることが難しくなったことを受け、モトローラの携帯端末を含め、パソコン、サーバー、さらに新たに取り組むソリューション/サービスまでを含めて、トータルで販売パートナーを支援する仕組み。日本だけでなく世界で実施される。

 従来はレノボ・ジャパン、LESが個別に持っていた販売部門が統合され、パートナー事業本部が設立された。責任者として、レノボ・ジャパン 執行役員の荒木俊彦が就任した。荒木氏は、2022年4月1日付けで荒木氏はLESの執行役員にも就任し、レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長に加え、LESのジョン・ロボトム社長にもレポートし、統合されたパートナー向け営業組織をリードするという。

統合組織としてパートナー事業本部の新設

 「お客さまの環境は、コロナ禍以降、非連続な変化が起こっている。在宅、DX(デジタルトランスフォーメーション)、あらゆるものが“as a Service”の世界に進み、お客さまの購買行動も変化が起こっている。この変化に対応するために、パートナーの皆さまとより広く、深く協業できる体制を作っていきたい」(荒木氏)。

 新制度では、ポケットからクラウドまで、レノボが提供する製品を一気通貫でサポートする、各パートナー専任の担当者を設置。デジタルプラットフォームを通じて製品情報の展開、見積もり作成支援から共同マーケティングまでを一気通貫で提供する「Lenovo Partner Hub」を日本でも本格展開する。また、製品カテゴリ横断での提案を報奨金の観点からもサポートする、新プログラムの提供を予定しているとのこと。

Lenovo 360

 今回、新たなパートナー制度を提供する背景について、レノボ・ジャパンのベネット社長は、「2021年度、レノボグループでは世界規模での組織変更を実施した。具体的には、クライアント製品などを担当するインテリジェントデバイスグループ(IDG)、データセンター向け製品などを担当するインフラストラクチャソリューションズグループ(ISG)、新たに作ったソリューション開発を担当する新組織ソリューション&サービスグループ(SSG)という3つのビジネスユニットを横断するインターナショナルセールス組織を作り、お客さまの変革を支援していく」と、グローバルで販売組織が統合されたことを紹介した。

お客さまのデジタル変革を横断的にサポートするため世界規模での組織変更を実施
レノボ・ジャパン 代表取締役社長のデビット・ベネット氏

 この組織変更後、2021年10月~12月期(会計年度 2021年度第3四半期)のグローバル業績は、売上、利益ともに過去最高となった。

 「それを踏まえて日本市場の動向を見ると、テレワークとオフィスでの勤務がスタートするハイブリッドワークの分岐点に差し掛かり、そこにクラウド化の進展が加速し、社会変化によるテクノロジー活用が進む、非連続な変化が起こっている。レノボはテクノロジーでお客さまの変革をサポートする」と説明。

 2021年、2022年の注力領域として、IDGではハイブリッドワークを支える製品群の提供、ISGではエッジからクラウドまで柔軟性と俊敏性を両立したインフラ製品群、SSGではアセスメントから展開、運用フェーズまでエンドトゥエンドで利用者の勤務環境の変革を支援する。

主な注力領域

 さらに、最新テクノロジーを活用した変革の事例を紹介した。

 トヨタ自動車は、Lenovo ThinkAgileによるCAD on VDIを導入した。「この仕組みを利用することで、従来はオフィスのワークステーションから行っていた設計作業を、どこからでも取り組むことができるようになった。大きな働き方改革を実現する制度で、当初はスモールスタートを予定していたものの、コロナ禍により前倒しで導入することとなった。現在は2000人が利用している」(LESのジョン・ロボトム社長)。

トヨタ自動車の事例
LES 代表取締役社長 ジョン・ロボトム氏

 東京都大田区にある牧田総合病院は、サイロ化されていたすべてのサーバーをHCIに置き換えた。同時に病院内で利用するパソコンをレノボ製品に統一することで、導入から展開、サポートの窓口を一本化した。Lenovo Professional Serviceがプロジェクトをリードした。

 大阪大学 核物理学研究所では、全世界600名の核物理研究者が原子核物理学研究用計算機システムとしてLenovo HPCシステムを利用する。「レノボはHPC分野でシェアナンバー1の実績を持っている。その実績を生かした提案内容となっている」(ロボトム氏)。

 こうした「クライアント エッジ クラウド ネットワーク-インテリジェンス」分野のソリューション拡充は、今後も続けていく。

 「今後3年間のレノボグループのコミットとして、研究者を新たに1万2000人採用し、研究開発投資額を2倍に拡大することを計画している。日本においても、レノボグループの注力領域として、ハイブリッドワークとコラボレーション、モダンデプロイからモダンマネージメントへ、設計とデザインプロセスの刷新、ハイブリッドクラウド、アナリティクス&AI、エッジコンピューティングの6分野に注力する」(ロボトム氏)。

2022/23会計年度レイヤーを超えた日本におけるレノボ・グループの最注力領域