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TED長崎とさくらインターネット、データセンター向け電子錠コントローラ「RMS-EL128」を共同開発

さくらインターネットの一部データセンターで2022年夏より運用

 東京エレクトロン デバイス長崎株式会社(以下、TED長崎)とさくらインターネット株式会社は22日、サーバーラック・セキュリティシステム電子錠コントローラ「RMS-EL128」を共同開発したと発表した。同製品は、TED長崎が22日より受注を開始し、さくらインターネットの一部データセンターで2022年夏より運用を開始する。

RMS-EL128

 RMS-EL128は、さくらインターネットのデータセンター運用業務から生まれたニーズやアイデアをもとに、TED長崎との共同開発によって実現した。

 これまでのデータセンター向け電子錠システムは、20~30基程度のラックを一度に解錠したり、制御パネルなどによって解錠ラックを指定したりするものが一般的で、新規に設置されるラックに導入されることが前提であるため、既存のラックに取り付けるにはハードルが高いものだったという。

 RMS-EL128は、既存ラックへの導入が容易で、権限が与えられたラックだけを担当者が解錠できるため、ラック解錠にデータセンタースタッフが立ち会う必要がなく、ラックの施錠状態をクラウド上で管理・確認することもできる。

 各ラックに設置された電子錠ハンドルは、個別にNFCによって認証・解錠が可能。カードキーの通信にはFeliCaとMifareの2方式を採用し、入退室管理システムなどとの共通化にも対応する。さらに、各装置とサーバー間での通信は、カード情報以外の情報も含めてエンドツーエンドで暗号化されているため、通信の盗聴や開閉への介入を第三者が行うことはできない。これにより、セキュリティ強化と運用コストの削減を両立できるとしている。

 製品は、管理システムを構築するクラウドサーバー、クラウドサーバーに接続する親機(2台)、各ラックに設置しカードリーダー機能と電子錠制御機能を持つ子機(128台)から構成される。親機から子機の配線の終端に別の親機を接続することで、電源断や故障などによって1台の親機がシステムダウンした場合でも、もう一方の親機がシステムを制御できる。また、子機や通信線に不具合が生じた場合でも、その他の子機に影響を与えず、冗長化によってカードキーによる電子錠の解錠機能が停止することなく、さらに解錠時の扉開閉のイベントログが取得できない不具合を解消する。

システム構成図

 電子錠制御機能を持つ子機には、解錠権限の情報は保存されておらず、解錠権限をクラウド上で一元管理できる。ラック内の配線や制御通信ケーブルの取り外し・切断などの物理攻撃による異常の検出も可能で、さらに子機にオプションの温度センサーを付ければ、ラックの温度監視も可能となるなど、即時権限変更や一時的な権限付与、異常検知システムなどを自社のニーズに合わせた形で独自にクラウド上に構築できる。導入にあたっては、TED長崎が構築や動作検証を支援し、さらにヘルプデスクサービスを提供する。

 子機への電源は親機から制御通信ケーブルを通して供給されるため、設置時に大規模な電源工事を行う必要がない。また、多様なサーバーラックに対応する電子錠ハンドルを採用したことで、既存のラックに取り付けられ、既存のデータセンターにも容易に導入できる。

 さくらインターネットとTED長崎は、データセンター運用の効率化を目指し、データセンターのラック施錠管理を無人化・クラウド化するシステム設計を共同で行い、製品を開発したと説明。両社は、今後もデータセンター運用の効率化を一層加速し、新たな価値創出に向けてDXの強化と展開に取り組んでいくとしている。

 また、RMS-EL128は、4月6日~8日に東京ビッグサイトで開催される「データセンター&ストレージ EXPO【春】」の、TED長崎のブース内で実機を展示する。