ニュース

ゼロトラスト・セグメンテーションを手掛ける米Illumioが日本進出 ランサムウェアを隔離し重要な資産やデータを保護

 ゼロトラスト・セグメンテーションによるセキュリティを提供する米Illumio(イルミオ)は17日、日本での事業を開始したことを発表。東京に拠点を開設し、カントリーマネージャーには嘉規邦伸氏を任命した。

 同日にオンラインで行われた記者発表会では、ゼロトラスト・セグメンテーションのソリューション概要および日本市場でのビジネス展開について説明した。

ゼロトラストに特化したセグメンテーションプラットフォームを提供

 Illumioは、ゼロトラスト・セキュリティモデルに特化した設計のセグメンテーションプラットフォームを提供し、重要なアプリケーションやデータの可視化と保護を実現する。これにより、企業や組織は、リスクを発見し攻撃を隔離することでデータのより良い防御が可能となる。

 米Illumio 共同創業者兼CEOのアンドリュー・ルービン氏は、サイバー攻撃の現状について、「重要な資産を保護するため、企業ではセキュリティ対策に多大な投資を行っている。それにも関わらず、ランサムウェアの被害は増加し続けている。サイバー攻撃を成功させてしまう要因としては、『検知の失敗』からネットワークに侵入され、ラテラルムーブメント(水平移動)により『侵害の拡散』が起こり、『重要資産への不正アクセス』を許してしまうことが挙げられる。もはや、検知だけでは不十分であり、新たなセキュリティアーキテクチャが必要となっている」と指摘する。

米Illumio 共同創業者兼CEOのアンドリュー・ルービン氏

 「こうした中で当社は、ゼロトラスト・セキュリティモデルに特化した設計で実績のある唯一のセグメンテーションプラットフォームを提供している。同プラットフォームでは、アプリケーションのリスクを可視化し、環境をセグメント化することでランサムウェアやサイバー攻撃者のネットワーク内移動を阻止する。これにより、企業の基幹業務アプリケーションや貴重なデジタル資産を保護することができる」(ルービン氏)とした。

 グローバルの実績としては、フォーチューン100企業の10%以上、世界の大手銀行上位10行のうち6行、主要保険会社5社、SaaS企業上位5社のうち3社がIllumioのソリューションを導入しているという。また、昨年、米調査会社のフォレスターは、「ゼロトラストの拡張エコシステムのプラットフォームプロバイダ」15社を選定し、大手企業が名を連ねる中、illumioをリーダー企業のトップに位置付けている。

 日本市場での事業展開に向けては、東京に拠点を開設し、ビジネス拡大を担うイルミオ ジャパン合同会社 代表執行役員社長に嘉規邦伸氏が就任。日本におけるIllumioの営業活動、チャネル開拓を推進していく。嘉規氏は、営業分野で20年以上の経験を持ち、Illumio入社前は、Acronisで2年間にわたりカントリーマネージャーとして日本事業の責任者を務めた。それ以前はBox、F5Networks、McAfee、Ericssonなどで日本市場向けの営業やチャネルのチームを率いてきた。

イルミオ ジャパン 代表執行役員社長の嘉規邦伸氏

 日本のセキュリティ市場について、嘉規氏は、「日本においてもランサムウェアは企業の最大の脅威となっており、大企業だけの問題ではなくなってきている。もはや、境界ベースのセキュリティ対策は有効ではなく、ゼロトラストアーキテクチャによる対策が重要になっている。しかし、日本では、真のゼロトラストアーキテクチャに沿った提案ができるシステムインテグレータやベンダーは数社のみしか存在しておらず、大きなビジネスの潜在性があると考えている。当社は、ゼロトラスト・セグメンテーションの先駆者かつリーダーであり、新たな価値訴求と先進ソリューションを日本の企業に提供していく」と、ビジネス拡大に意欲を見せた。

 同社が提供するゼロトラスト・セグメンテーションソリューションの概要としては、システム環境のマップを構築し、ワークロード、アプリケーション、エンドポイントに対するリスクベースの可視性を提供。また、攻撃を受けうるポイントを低減することで、侵害とランサムウェアを封じ込める態勢を強化する。これにより、本当に重要なデータ資産を隔離し、不正なトラフィックを封じ込める。

ゼロトラスト・セグメンテーションソリューションの概要

 製品ラインアップとしては、ハイブリッド型ワークロード向けの「Illumio Core」、エンドポイント向けの「Illumio Edge」、クラウドネイティブ環境向けの「Illumio CloudSecure」の3製品を用意している。

Illumioの製品ラインアップ

 日本市場での今後の展開について嘉規氏は、「これからの急成長をサポートする社員の採用活動を積極的に行っていく。販売活動においては、『チャネル経由の間接販売』をパートナーにコミット。まずは、大規模エンタープライズ(金融業、製造業、医療福祉業、航空会社)と行政機関に注力し、今後、徐々に業種と規模の範囲を拡大していく。そして、初期の顧客に成功をもたらし、優れたカスタマーサービスとサポートの提供に注力していく」との考えを示した。