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すべての人がデータ分析を簡単にできる世の中へ――、Clouderaが新ビジョン“Cloudera 3.0”を説明
2021年11月11日 11:39
Cloudera株式会社は10日、カンファレンスイベント「Cloudera Sessions 2021 Japan」開催に合わせて、同社の戦略についての記者説明会を開催した。
2020年10月に社長執行役員に就任した大澤毅氏は、ハイブリッドデータクラウドの時代と、そこに向けたCloudera 3.0のビジョンを語った。
世の中の流れはハイブリッドデータクラウドに
大澤氏はまず、グローバルの主要産業それぞれのトップ10企業のうち、CDP(Cloudera Data Platform)を採用している企業の数字を挙げ、多くの企業に採用されていることを紹介した。
Clouderaのビジネスの現状としては、欧米は引き続き成長。日本以外のAPAC(アジア太平洋地域)においても前年比33%成長をとげている。日本市場はさらに142%成長しており、大澤氏は「既存の顧客のCDP移行や、新規CDP採用が順調に進んでいることによる」と説明した。
こうしたClouderaの成長を支えているグローバルトレンドについて大澤氏は語った。1つめは、SaaS、パブリックウラウド、プライベートクラウドといった「ワークロードにおける環境選択の多様性」だ。
2つめは、2つ以上のクラウドプロバイダーを使っている企業が2023年には63%になるという「クラウドプロバイダーを使い分けたマルチクラウド」だ。
3つめは、データセキュリティや、GDPRなどのデータ主権といった、「データガバナンスとコンプライアンス」だ。
この3つをまとめて、「世の中の流れはハイブリッドデータクラウドになってきている」と大澤氏は述べた。
Cloudera 3.0で“The Hybrid Data Cloud Company”を目指す
こうした背景からClouderaが“第2の創業フェーズ”として掲げたビジョンが「Cloudera 3.0」だ。
Cloudera 1.0は、2008年にHadoopで創業してビッグデータ基盤で大きなシェアを持った時期にあたる。これはIaaSの時代だという。Hadoop 2.0は、2019年にHortonworksと統合し、CDPをリリースした時期にあたり、PaaSの時代だという。
そして2021年に始まるCloudera 3.0では、“The Hybrid Data Cloud Company”の実現を目指すという。また、これまでのPaaSのソリューションだけでなく、すべての人がデータと分析を簡単にできるようにSaaSを開始するという。
なおClouderaは企業としては、投資会社のKKRとClayton Dubilier & Riceによる買収が2021年6月に発表され、10月に完了して非公開企業となった。
このCloudera 3.0を背景としたCDPの特徴として、「単一のプラットフォームでハイブリッド+マルチクラウドのいずれにも対応」「データ収集から分析、可視化、AIまですべて網羅」「Cloudera SDXで、高度なデータセキュリティとガバナンスを簡単に設定・運用」「全環境のデータの探索や監視・移動・複製をコントロールできるコントールプレーンというコックピット」「100%オープンソース技術かつPaaS、SaaS(2022年2月開始予定)両サービスの提供が可能」の5つの点を大澤氏は挙げた。
大澤氏はまた、Cloudera 3.0の5つの取り組みとして、「Clouderaラボ」「プロダクト開発ボード」「イノベーション創出フォーラム」「エグゼクティブ・ブリーフィング・センター」「エコシステム連携」の5つを挙げた。
日本市場を3年後にAPACにおける売上No.1に
その中での日本の戦略についても大澤氏は語った。「3年後にAPACにおける売上No.1を目指す」という。
そのための1つめの柱は「Love our Brand」。GPTW(働きがい)No.1やダイバーシティ&インクルージョンの促進により、社員を増強する。
2つめの柱は「Happy-Happy Customer」。Cloudera 3.0を推進して、新しいビッグデータのユースケースを日本市場に提案する。
3つめの柱は「Partner Ecosystem」。クラウドベンダーや、コンサルティングパートナー、ISV、MSPパートナーなどとの連携を強化する。
なお大澤氏は、Cloudera Sessions 2021 JapanでNECが登壇して事例を語ることを紹介するとともに、NECがCDP Public Cloudの販売代理契約を結んだという11月8日の発表に触れた。
シェアリングエコノミーや人材育成の構想
続いて大澤氏は、Cloudera 3.0のミッションとして、データと分析を誰もが簡単に扱えるようにすることを挙げ、そのためのビッグデータのシェアリングエコノミー構想を語った。データを提供したい企業とデータを活用したい企業をつなぐ、マーケットプレイスやエコシステム、アライアンスを促進するものだという。
また、データサイエンス学部を持つ武蔵野大学と提携したことも紹介した。企業にデータ人材がいないという課題に対応して、データ人材もシェアリングできるエコシステムを作っていくものだという。今後は、日本版Cloudera Academy Programもリリースしていく予定だと大澤氏は語った。