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NEC、産官学連携によるデータ活用型ウェルネスサービスの検証を開始

 日本電気株式会社(以下、NEC)は3日、東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東電PG)、株式会社ウェルモ、三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)、東邦大学医学部衛生学教室(以下、東邦大学)、東京都大田区などと共同で、東京都の「次世代ウェルネスソリューションの構築事業(モデルプロジェクト)」における事業者に採択されたと発表した。

 NECは、産官学の連携の下、実証プロジェクト「都民の健康増進のための産官学データ活用ウェルネスサービス実証」として2021年9月から2022年3月にかけて事業検証を行う。

 実証では、将来にわたる都民の主体的な健康づくりを支えるため、予防から予後改善までを広く対象とする「生活習慣改善を促すウェルネスサービス」の社会実装によるQOL向上を目指す。

 NECは実証において、歩行分析センサーによる計測データの提供、株式会社FiNC Technologiesのヘルスケアアプリを活用した行動変容サービス検証、各種データ分析とデータ活用プラットフォーム検証などを行う。

 また、ウェルネスサービス事業者およびウェルネスサービス事業を支える付加価値事業者(データ提供者、分析・研究機関、データ活用プラットフォーム事業者)を連携させるデジタルプラットフォームの提供を目指す。

 実施する、「エリア分析と予防プログラム開発に関する研究」「データを活用したウェルネスサービス事業検証」「サービス事業者を支援する付加価値事業検証」の3つのプロジェクトを通じて、データ取得から分析、活用による事業創出と、データ活用事業をサポートする仕組み全体がビジネスエコシステムとして成り立つかの検証を行う。

プロジェクト概要

 エリア分析と予防プログラム開発に関する研究のプロジェクトでは、購買、保険、医療・介護、人口動態などに関するデータを活用して、大田区内の住民の生活様式と疾病状況の関連を分析する「産官学データ連携によるエリア分析」を行う。

 また、家電製品の使用状況や血糖値などのデータをモニタリングして、生活リズムと血糖値変動の関連性の探索する「糖尿病の方の生活と血糖値コントロールに関する研究」と、NECの歩行分析センサーにより、整形外科疾患を抱える方の歩行速度や歩幅などの歩容をモニタリングする「整形外科で手術を受ける方の歩容(歩き方)研究」を実施。これらの結果を他のプロジェクトに展開し、事業計画策定や分析に活用する。

 データを活用したウェルネスサービス事業検証のプロジェクトでは、要支援・要介護者宅において、電力データや人感・温湿度センサーデータなどの情報を可視化する「ケアマネジャー向け介護支援サービス検証」を実施し、家族や介護事業者のモニタリング業務に役立つサービスの有効性検証を行う。

 また、ライフログデータやその分析結果(価値化)を活用し、健康リスクのある人に生活習慣改善に向けたアドバイスをメール配信する「NEC×FiNC 行動変容サービス検証」を施策を検証する。さらに今後は、対象者宅の電力データを加えた分析も予定する。検証では、健診結果から将来の健康状態の予測をする「NEC健診結果予測シミュレーション」と、日常のライフログを記録する「FiNCアプリ」を活用したソリューションを使用する。

 サービス事業者を支援する付加価値事業検証のプロジェクトでは、サービス事業者のデータ活用を支援する付加価値事業の検証として、各種データの連携・分析を行い、分析結果がサービス事業者にとって有益かを検証する。また、サービス間のID連携や同意取得について、どのような形がユーザーに受け入れられるか、コンセプト検証を行う。

 NECは、提供元の異なる複数データ(歩数、体重、睡眠、食事、運動記録など)を共通のプラットフォームでつなぎ、NEC独自の行動推薦技術を用いて、過去の行動履歴から個人の特性に合わせた健康改善に最適な行動を推薦する。また、今後、プライバシー保護と行動推薦の精度向上の両立に向けて、組織内データを漏えいせずに複数組織を連携した学習を可能とする、高秘匿連合学習も活用予定としている。