ニュース

TIS、バーチャルツアーサービス「XR Campus - ツアー」のトライアル版を提供

XR技術で創造した仮想空間内にて、アバターを用いた双方向コミュニケーションを実施

 TIS株式会社は7日、XR技術で創造した空間内でのコミュニケーションを実現するリモートコミュニケーションサービス群「XR Campus」シリーズのバーチャルツアーサービス「XR Campus - ツアー」について、トライアルサービスを6月下旬から提供すると発表した。

 同日には、XR事業の取り組み状況、および新サービス「XR Campus - ツアー」の概要についてオンライン説明会が行われた。

 「XR Campus - ツアー」は、360度カメラで撮影した現実空間の映像をベースに作成した空間にアバターで参加し、空間内を移動したり、参加者同士でコミュニケーションを取ったりできるバーチャルツアーサービス。ユーザーが空間内にアバターとして表示されるため、より臨場感を感じられるとのことで、参加者は自分の目線で空間内を見学し、自由に動き回ることができる。

 今回のトライアルサービスは、6月8日から申し込みを開始し、9月末まで利用可能となる。

「XR Campus - ツアー」のデモ画面

 TIS テクノロジー&イノベーション本部 インキュベーションセンター センター長の鈴木松雄氏は、これまでのXR事業の取り組みについて、「当社は、2017年度から戦略技術センターでXR技術に関する研究開発に着手。2018年度から2019年度には、VR空間におけるコラボレーションと現実空間におけるMRを利用した遠隔コミュニケーションの研究・実証に取り組み、東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野 稲見研究室との共同研究を開始した。そして、昨年1月には、DataMesh社との協業で、大林組の工事現場にMR技術を活用した生産性向上策の試行を実施。このほかにも、凸版印刷との協業による空間共有型遠隔コミュニケーションサービス『TeleAttend』の実証実験や、仮想空間上でホワイトボードを共有しながらミーティングするVRプロジェクトルーム『Re:Collabo Rooms』の実証実験を行ってきた」と述べた。

TIS テクノロジー&イノベーション本部 インキュベーションセンター センター長の鈴木松雄氏

 こうした研究開発・実証実験を踏まえ、XR技術の社会実装により、ニューノーマルの先にある新しい働き方・生活様式に向けたリモートコミュニケーションサービスを提供するのが「XR Campus」シリーズとなる。「XR Campus」では、XR技術を使ってさまざまな空間を創造し、その空間上で目的に応じたコミュニケーションを可能にする各種サービスをラインアップしていく。

「XR Campus」シリーズの全体像

 TIS テクノロジー&イノベーション本部 インキュベーションセンター 主査の加藤里奈氏は、「『XR Campus』では、距離、制約などさまざまな事情によって集まることが難しかった場所、体験、人に対して、テクノロジーを活用して新たな空間を提供し、新しい時を過ごすことを実現する。継続的に行っている技術研究を生かし、スマートフォンや各種デバイスを通じて利用することができる現実をベースとした多様な空間を創造する」としている。

TIS テクノロジー&イノベーション本部 インキュベーションセンター 主査の加藤里奈氏

 今回、昨年からのコロナ禍を背景とし、リモートコミュニケーションのニーズがさらに高まり、具体化してきたことを受け、第1弾として施設見学や観光ツアー、イベントなどにおいて、リモートでも臨場感のある体験を実現する「XR Campus - ツアー」をサービス化する。今後、店舗イベントなどを可能とするイベントサービス、ミーティングサービスなどを順次リリースしていく予定。

 「XR Campus - ツアー」は、バーチャル空間で遠隔ツアー型イベントを実現する空間共有コミュニケーションサービス。顧客の企画に合わせた360度動画をベースとした仮想空間上に、ユーザーとホストのアバターが表示されることで、同じ場所にいる感覚を持ちながらインタラクティブにコミュニケーションすることができる。
いる。

「XR Campus - ツアー」の概要

 「XR Campus - ツアー」の特徴について加藤氏は、「『XR Campus - ツアー』では、360度カメラで撮影した動画をベースとした仮想空間を提供し、その空間の中に各ユーザーがアバターで表示されるため、臨場感を得られる。ユーザーは、好きな場所からスマホやPCを使ってゲストアバターで参加し、ガイドの案内を聞きながら360度動画に入ることが可能だ。360度動画の中では、ボイスチャットやテキストチャットで双方向にコミュニケーションを行え、リアクションボタンで感情を表現することもできる。また、アバターを操作して空間内を移動したり、視点を変えたりすることも可能。顔を表示しなくても、アバターとして表現されることで、『同じ場所に存在している』感覚を再現できる」と説明した。

「XR Campus - ツアー」のデモ画面

 想定利用シーンとしては、新しい生活様式の中での「ショールーム見学」、「観光地プロモーション」、「倉庫等の施設見学」、「スタディツアー」、「社内表彰式」、「バックヤードツアー」を挙げている。

「XR Campus - ツアー」の想定利用シーン

 なお、トライアルサービスでは、2022年4月(予定)の正式版の提供に向け、リアルタイム配信機能などの一部の機能を制限したパッケージを、申し込みから最短で2週間程度にて提供する。パッケージ内容は、ツアーの長さが1ツアー最長90分程度(データ量1.5G以内)、開催可能回数は1回90分の場合最大5回(30日間以内)、同時最大利用人数は1回に50人程度(主催者・参加者アバターの総数)、利用可能デバイスはスマートフォン、Windows PC。360度の動画撮影(20分程度の動画を3本程度の撮影が目安)や、ホスト用/参加者用のアバターも提供する。

 9月末までのトライアル利用で、価格(税別)は99万円から。360度動画を自社で用意する場合は45万円から。

 トライアルサービス実施後は、10月にβ版、来年4月に製品版をリリース予定。また、現在並行して検討中の「XR Campus イベントサービス」についても、今年末にトライアルサービスのリリースを予定している。