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富士通、モビリティデバイスが保持するデータを仮想的に統合・管理する基盤「Digital Twin Collector」

 富士通株式会社は、「FUJITSU Future Mobility Accelerator Digital Twin Collector」(以下、Digital Twin Collector)を、4月22日より販売開始すると発表した。自動車メーカーや損害保険会社などに向けて提供する。

 「Digital Twin Collector」は、コネクテッドカーやスマートフォン、タブレットなど、さまざまなモビリティデバイス上の情報を仮想的に統合・管理する基盤サービス。富士通の広域分散データアクセス技術を、モビリティ分野向けに機能拡充しているという。

 具体的には、モビリティデバイスで記録した映像などの大量のデータをクラウドで保持せず、軽量なメタデータのみを管理することで、分散するデータを仮想的に統合する仕組みを提供する。これにより、モビリティデバイス上にある映像などの大容量データを、必要な時に必要な分だけクラウド基盤に複製し、分析や処理を行えるとのこと。

 また、こうした処理をスムーズに行うための仕組みも用意されている。事故発生などにより、自車および周辺の自動車から一斉に映像データを収集する必要がある場合は、各モビリティデバイスにアクセスしてデータを複製することになるが、データを収集するクラウド側の負荷が急激に上がることを防ぐため、モビリティデバイスからのデータ複製要求をコントロールし、大量通信を抑制する「トラフィックスケジューラ機能」を備えており、安定的なデータアクセスを実現するという。

 加えて、自動運転用学習データなどで利用する場合、取得時のデータに偏りがあるとサービス品質に影響が生じる可能性がある。これを防止する目的で、大量のモビリティデバイスに対するデータアクセスと取得状況を横断的に分析し、時刻、場所、画角が同一の映像データなど、類似データの複製抑止と取得データの網羅性を両立する「データカバレッジ制御機能」も搭載した。

 富士通では、これらの仕組みを活用することで、自動車メーカーや損害保険会社などのユーザーは、必要なデータのみにアクセス可能になり、クラウド上のデータ容量や通信量を大幅に低減できるため、従来比50%のコスト削減を行えるとアピールしている。

 価格(税別)は、Digital Twin Collector基本サービスが1台あたり2円からで、10万台から契約可能。また、1データアクセスあたり0.2円の従量料金が必要となる。必須のセットアップサービスは個別見積もり(参考:150万円から)。

 富士通ではこのほか、要件定義支援、サポート、カスタマイズなどのサービスも用意している。これらの価格はいずれも個別見積もり。

 なお同社は、このクラウド基盤により、自動車メーカーなどが用いる自動運転システム向けの高精度な地図作成のほか、道路管理運営会社による、路上車両に対しての渋滞や障害物、天候といった道路環境の情報提供などを支援するとのこと。また2021年6月には、北米や欧州地域での提供も開始する予定だ。