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富士フイルムビジネスイノベーション、新社名・新体制でのビジネス戦略を発表

デザインを一新した複合機・プリンタの新モデル5機種・22商品を順次発売

 富士ゼロックス株式会社は、4月1日付けで社名を変更し、「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」として新たに始動した。また、デザインを一新し、セキュリティ機能を強化したデジタルカラー複合機およびプリンタ「ApeosPro/Apeos C/ApeosPrint」シリーズ5機種・22商品を、4月5日から順次発売すると発表した。

 社名変更に伴う新体制でのビジネス戦略および新製品の概要について、4月1日に記者発表会が行われた。

写真左から:富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役会長の玉井光一氏、富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの真茅久則氏(資料提供:富士フイルムビジネスイノベーション、以下同じ)

 発表会に先立ち、富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役会長の玉井光一氏があいさつ。「本日から富士ゼロックスは、長年慣れ親しんだ社名を変更し、富士フイルムビジネスイノベーションとして新たなスタートを切った。この社名には、『常にビジネスに革新をもたらす存在であり続ける』という思いが込められている。つまり、社名そのものが当社の使命であり、イノベーションをもたらす先進技術によって顧客のビジネスを革新させることが当社のコミットメントだと考えている。また、今回の社名変更に伴い、国内直販営業と31の販売会社を統合し、新たに富士フイルムビジネスイノベーションジャパンを発足した。この強力な販売体制により、今後もハードウェアとソリューションビジネスの両面展開を推進していく」と述べた。

富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役会長の玉井光一氏

 続いて、富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOに就任した真茅久則氏が登壇。「今回の社名変更および販売体制の刷新は、当社が1962年に設立して以来、最大の変化となるが、この変化こそが大きなチャンスだととらえている。新体制での今後のビジネス戦略としては、国内だけでなくグローバルに拡販展開を進めることで、当社の社名と製品、ブランドの認知度を世界に広げていく。また、将来の成長を見据えて、ITソリューションとサービスビジネスにさらに力を注いでいく。そして、顧客企業の働き方改革や業務効率化、デジタル化に向けて、最も優れたソリューションを提供できる企業を目指し、当社自身も大胆に変革を進めていく」との方針を示した。

富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの真茅久則氏

 新たに発足した富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの取締役社長を務める阪本雅司氏は、「当社は、これまでの国内での営業活動や保守活動を通じて、長年培ってきた顧客とのつながりを礎に、全社員の知見やノウハウを結集して生まれた販売会社となる。当社の強みは、顧客のことを知り抜き、常に市場の変化に対応した価値提供を行うことと、地域経済に根差した地域密着型の営業を行うことであると考えている。今後は、デジタルとアナログの両面からソリューションを提案し、顧客のDX(デジタルエクスチェンジ)を後押しするとともに、新たな価値提供をさらに加速していく」と意気込みを語った。

富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 取締役社長の阪本雅司氏

デザインを一新した複合機・プリンタの新モデル5機種・22商品を順次発売

 今回、「富士フイルム」ブランドとして、最初にリリースする新製品が、高機能複合機「ApeosPro」シリーズ(1機種・3商品)、デジタルカラー複合機「Apeos C」シリーズ(2機種・17商品)、A4カラープリンタ「ApeosPrint C320 dw」およびA4カラー複合機「Apeos C320 z」の全5機種・22商品となる。

 窓口業務に最適なクラス最小・最軽量のプリンタからオフィスのセンターマシンとして業務遂行の中核となる複合機、さらにプロ仕様の高画質を実現する高機能複合機まで、豊富なラインアップをそろえ、さまざまな業種・業務における多様な働き方を支援するという。

デザインを一新した「Apeos」シリーズの新モデル

 富士フイルムビジネスイノベーション 取締役専務執行役員 エンタープライズドキュメントソリューション事業本部長の岡野正樹氏は、新製品のポイントについて、「今回の新製品は、富士フイルムが外観デザインを手がけ、従来の複合機のイメージを一新した。マシンシルエットはシンプルさを追求し、明るいホワイトとダークグレーを基調にしたハイコントラストのデザインとなっている。また、各機種のサイズに応じて 10.1型と2.8型の操作パネルを搭載。10.1型の操作パネルには、富士フイルム独自の抗菌技術『Hydro Ag+』を使った抗菌フィルムを標準装備している。そして、世界的に認知されている『FUJIFILM』のブランドロゴを中央に配し、ワールドワイドで展開していく」と説明した。

富士フイルムビジネスイノベーション 取締役専務執行役員 エンタープライズドキュメントソリューション事業本部長の岡野正樹氏

 各機種の主な特長としては、「ApeosPro」シリーズは、プロ仕様の高画質とコピー、ファクス、スキャンなどオフィスワークで使用する機能を両立した高機能複合機。世界初の2400×2400dpiの高解像度出力が可能なLEDプリントヘッドと、プロ市場向けモデルに搭載されているプリントエンジン技術の活用により、プロ仕様で求められる高画質を実現。同時に、業界最小クラスのトナー粒径を有するSuper EA-Ecoトナーの採用により、高精細で滑らかな画質を実現している。

 また、細やかな画質調整機能を持つプリントサーバー「GP Controller D01」を標準装備にし、プリントエンジンの性能を最大限に発揮する高画質化を実現した。高速RIP処理で、高品質な画像データを生成し、文字や細線、グラデーションを美しく再現する。さらに、JapanColorなど印刷業界標準の各種色基準に準拠し、DIC、TOYO、PANTONEなど特殊インキの色見本データも内蔵しているため、プロ仕様の色再現にも対応できる。

 ラインアップは、ApeosPro C810/C750/C650の1機種3商品。

ApeosPro C810

 「Apeos C」シリーズは、セキュリティとオフィス業務効率化の機能強化により、テレワークなど多様な働き方を支援するデジタルカラー複合機。従来機種と同じく米国セキュリティ対応基準「NIST SP800-171」に準拠し、ネットワーク接続の安全対策や機器に蓄積されているデータの情報漏えい防止対策をさらに強化した。

 具体的には、無線LANのセキュリティを強固にした新しいプロトコル「WPA3」への対応や、国際標準規格制定団体のTrusted Computing Group(TCG)が策定した、暗号化を強化した最新規格に適合したセキュリティチップ「TPM(Trusted Platform Module)2.0」の採用、また機器起動時のプログラム診断機能の強化などを行っている。これら、ハードとソフトの両面でセキュリティを充実させることで、より堅牢なオフィスのセキュリティ環境を実現する。

 さらに、各種オフィス業務を効率化する機能を強化し、テレワークなど場所や時間にとらわれない多様な働き方を支援する。例えば、インターネット環境で文書データの共有・閲覧を実現する同社のクラウドストレージサービス「Working Folder」との連携により、受信したファクス文書を、取引先ごとに自動振り分けして格納することに加え、リモート操作でオフィスの複合機からファクス回線経由でファクスを送信することが可能となった。これによって、ファクス業務だけのために出社する必要がなくなり、業務の効率化につなげることができる。

 ラインアップは、低摩耗型感光体ドラム・大容量トナー・大容量給紙トレイを搭載したApeos C6580/C7580/C8180と、Apeos C2570/C3070/C3570/C4570/C5570/C6570/C7070の全2機種・17商品。

Apeos C8180
Apeos C3570

 クラス最小・最軽量のA4カラープリンタ「ApeosPrint C320 dw」と、IDカードスキャンやファクス送信も可能なA4カラー複合機「Apeos C320 z」の2機種については、新開発エンジンの搭載により従来機から体積を約40%低減した。「ApeosPrint C320 dw」では高さを約9cm、重さを約7kg低減、「Apeos C320 z」では高さを約14cm、重さを約10kg減らしている。特に、「ApeosPrint C320 dw」の高さは30cm以下となるため、本棚など高さ制限がある場所への設置が可能となり、設置場所の選択肢が広がった。店舗や病院のカウンターに設置した場合でも、プリンタの高さが顧客とのやり取りの邪魔にならないという。

 また、小さいながらも連続プリント速度を向上し、カラー、モノクロともに毎分31枚のプリントが可能。新開発の「LEDプリントヘッド」による光量補正や、同社独自技術「IReCT」による画質補正によって、小型でも安定した画質を実現する。さらに、複数台を設置する場合に、最初の1台に設定した情報を複数台にクローニング(複製)できる機能を追加。面倒な設定作業の手間を軽減し、顧客の業務効率化、生産性の向上に貢献する。

ApeosPrint C320 dw
Apeos C320 z