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日本オラクル、データベース戦略におけるコンバージド・データベースの優位性を強調

4つの特徴が実装された「Oracle Database 21c」

 日本オラクル株式会社は12日、同社のデータベース製品の戦略説明会を開催し、執行役社長の三澤智光氏がオラクルの「コンバージド・データベース」という概念や、最新データベース製品「Oracle Database 21c」について解説した。

 クラウドデータベースの進化について語る前に、三澤氏はまずガジェット分野におけるテクノロジーの進化について触れた。スマートフォンが登場する前は、デジタル化で目的別のガジェットが生まれ、それぞれコストをかけて購入し、操作をマスターし、持ち歩くモノの数が増えていた。しかしスマートフォンの登場によって「ガジェットがすべて統合され、導入も一元化された。低コストで荷物が減っただけでなく、OSやアプリケーションのアップデート、バックアップがすべて自動化され、より便利になった」と三澤氏は話す。

日本オラクル 執行役社長 三澤智光氏

 これと同じことがクラウドデータベース分野でも起こっていると三澤氏は言う。「第1世代のクラウドでは、構造化データのみならず非構造データも取り扱うようになり、目的別データベースが生まれた。しかし、それぞれの開発手法や運用管理が存在し、利便性が低かった」と三澤氏。そこで、利便性を向上させるために生まれた第2世代のスマートデータベースでは、「開発者や運用管理者が単一のインターフェイスでさまざまなファイルシステムが利用できるようになった。目的別データベースとは異なり、統一された開発手法、運用管理、高度な可用性、拡張性、セキュリティが実現する」と三澤氏は主張する。

 このスマートデータベースをいち早く実装したのがOracle Database 21cで、これをオラクルではコンバージド・データベースと呼んでいる。「一見さまざまなファイルシステムを統合して巨大なデータファイルシステムをオラクルが提供しているように見えるかもしれないが、コンバージド・データベースで重視しているのは、目的に応じた小さなデータファイルシステムをシングルインターフェイスで提供することだ」と三澤氏は説明。さらに、「ここに自律化機能を付け加え、アップデートやバックアップ、容量管理などを自動化する。これがオラクルのコンバージド・データベース+オートノマス(自律化)の方針だ」としている。

第1世代の目的別データベースと第2世代のコンバージド・データベース

 コンバージド・データベースの優位性について三澤氏は4点挙げる。まず、目的別データベースの場合は業務システムやデータの種別が断片化されており、それぞれのデータを連携させるためにコストをかけて開発し運用しているが、コンバージド・データベースであれば「この断片化が解消され、あらゆる人が目的に応じた結果を得ることができる」と三澤氏。

 2点目は、開発者と運用管理者にとっての利点だ。目的別データベースでは、開発者もデータベースごとの言語に対応し、目的別にデータファイルシステムのインターフェイスを操作する必要があるほか、運用管理者もそれぞれのデータベースの性能や可用性、拡張性、セキュリティに対応して運用する必要がある。一方のコンバージド・データベースであれば、開発者はSQLでさまざまなデータに透過的にアクセスでき、運用管理者も単一インターフェイスで統一された性能やセキュリティ環境下での運用が可能だという。

コンバージド・データベースの優位性 その1
コンバージド・データベースの優位性 その2

 3点目はクラウドの実行基盤における優位性だ。目的別データベースはそれぞれの汎用クラウドのインフラで実装されており、データ管理や運用において自動化の手法やSLAが統一されてない。一方、「オラクルのクラウドインフラは、汎用クラウドより高速なネットワークを備え、テナントを完璧に分離し、フル暗号化を施している。コンバージド・データベースはこのクラウドインフラと一体化されており、データ管理の自動化や統一したSLAを実現する」と三澤氏は説明する。

 4点目は、クラウドネイティブ環境での優位性だ。クラウドネイティブ環境が浸透する中、コンテナやマイクロサービスを使ったアプリケーションの開発が主流になっているが、一方で「データにACID特性が求められるようなアプリケーションをコンテナやマイクロサービスで実装するのは難しい」と三澤氏は指摘、「この課題を解決できる唯一のデータファイルシステムがコンバージド・データベースだ」と話す。Event-driven Microservices Architectureというアーキテクチャにより、ミッションクリティカルなアプリケーションのデザインも可能になるとしている。

コンバージド・データベースの優位性 その3
コンバージド・データベースの優位性 その4

 この4つの特徴が、Oracle Database 21cには実装されているという。21cには216の新機能が用意されているが、三澤氏はその中でも特にお気に入りの機能として、変更不可能なブロックチェーン表、性能が大幅に向上したネイティブJSONデータ型、機械学習モデルの構築を簡易化するAutoML、永続性メモリのサポート、シャーディングの強化を挙げた。

 Oracle Database 21cはOracle Cloudにて利用可能で、Oracle Cloud Free Tierより無料で時間制限なく特定サービスが利用できる。間もなくオンプレミス版も登場する予定だ。

Oracle Database 21cの主な新機能