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IIJ、LoRaWAN対応のため池用水位センサーと静止画カメラを提供
2020年12月24日 09:00
株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は23日、農業農村における情報通信環境の整備に取り組む市町村などの自治体や土地改良区向けに、ため池や用水路など水利施設の水位を遠隔監視・管理するセンサーおよび目視監視用静止画カメラを開発し、2021年1月5日より提供開始すると発表した。
農林水産省では、2020年12月21日に発表した令和3年度概算決定の概要において、農山漁村振興交付金(情報通信環境整備対策)を創設し、人口減少、高齢化が進行する農村地域において、農業水利施設などの農業農村インフラにおける管理の省力化および高度化などを図るため、情報通信環境の整備による水利施設などのリモート化(遠隔監視・遠隔操作)などによる管理の効率化を推進するとしている。
IIJでは、国や県が管轄する一級河川や二級河川では国土交通省開発の機器管理型水位計の導入が進められているものの、本水位計は精度が高い反面、高額なため、小さな農業用水路やため池では導入が難しく、水管理が十分に行き届いていないという課題があると説明。さらに、センサーの設置以外に、通信費用、データを可視化するアプリなど、ランニングコストがかさむことも導入の障壁となっているという。
IIJは以前より、自社のネットワーク、クラウド、セキュリティ技術を生かし、主に産業、農業、ホーム・見守り、エネルギーの分野において、さまざまなIoTソリューションを提供している。農業分野では、静岡県で実施した3年間のスマート農業に関する実証プロジェクトで水田水位管理センサーを開発したほか、現在は、北海道、岐阜県、大阪府などのスマート農業実証プロジェクトにおいて、リモートセンシングや無線通信技術に関する知見を生かし、地域のニーズに合った技術的支援を行っている。
これらの経験と実績をもとに、IIJは農業向けIoT技術を体系化し、現在提供しているLoRaWAN対応の水田用水位センサーを応用することで、ため池や用水路などの水利施設向けの水位センサーと目視監視用のカメラを新たに開発した。LoRaWANの電波は数kmと広範囲に伝播するため、台風や豪雨時に現場に行くことなく、遠隔からスマートフォンなどで現場の状況を監視できる。
合わせて、IIJではセンサーからデータを収集するための通信インフラを低コストで運用できるよう、無線基地局を地域で共同利用するためのデータ集約プラットフォームを提供する。スマートフォン向けの汎用アプリをIIJから提供するほか、プラットフォームを介して他社のアプリケーションとのデータ連係も可能となる。
新たに提供するLoRaWAN対応製品のうち、「圧力式センサー(LP-01-L)」は、水田用水位センサーの技術を応用した用水路向け水位センサー。用水路の水位を60cmまで1cm単位で測定でき、台風や豪雨時に現場に行くことなく、用水路の水管理をスマートフォンやタブレットなどのデバイスで確認すできる。また、水位のほか、水温のデータも管理できる。価格は5万1000円(税別)。
「冠水センサー(LP-01-F)」は、水深10mまでのため池や大型の用水路向け水位センサー。フローティング方式のセンサーを用いて、最大3段階までの水位を遠隔で計測でき、単3電池で約1年稼働する。価格は15万1525円(税別)。
「LoRaWANカメラ」は、作物の生育や設備の監視など、目視監視が必要な対象物を定点観測できるカメラ。10分間隔で静止画を撮影し、画像を送信する。LoRaWANは大容量データの送信に不向きだったが、データを超高圧縮して分割転送することで、画像送信を可能にした。通信費を抑えた目視監視が可能で、用途に応じて暗視撮影や高解像度画像の撮影にも対応できる。価格は15万円(税熱)。
サービスの利用には、各センサーおよびLoRaWAN無線基地局の機器購入費用と、データを蓄積するIoTプラットフォームおよび遠隔監視アプリのサービス利用料金が必要となる。サービス利用料金(税別、参考価格)は、センサー5台+基地局1台の場合で年額3万円、センサー50台+基地局2台の場合で年額6万円、センサー100台+基地局3台の場合で年額8万5000円など。