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シヤチハタがクラウド電子決済サービスを拡張、取引先との重要書類にも対応できる新サービス
2020年11月17日 11:19
シヤチハタ株式会社は16日、クラウド上で文書の申請や承認ができる電子決裁サービス「パソコン決裁Cloud」の機能を拡張し、取引先との文書のやり取りにも対応できる「Shachihata Cloud Business」を発表した。サービスの名称も、パソコン決裁Cloudから「Shachihata Cloud」へと変更する。Shachihata Cloud Businessは24日より提供開始する。
シヤチハタでは、1995年より電子印鑑サービスを提供しており、2012年からはクラウドを利用したサービスにも取り組んできた。クラウドストレージサービスのBoxや電子署名サービスのDocuSignとも連携したサービスを展開するなど、「デジタルシフトが進む中、危機感を持って事業に取り組んできた」とシヤチハタ 代表取締役社長の舟橋正剛氏は語る。
Shachihata Cloud(パソコン決済Cloud)は、2017年より提供していたサービスだ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業で在宅勤務が推奨されるようになったが、その中で決済や押印のために出社を余儀なくされる担当者がいることが問題となっていた。そこでシヤチハタでは、このような課題を解決できるのではないかと3月にShachihata Cloudを無料で開放。その結果、「それまで月間約2000件だった申込数が、3月には約1万5000件の申し込みがあった。6月末までには申込数が27万件に達した」と舟橋氏は述べている。
Shachihata Cloudは、主に社内での文書申請や決済業務を支援するサービスとして展開してきたが、新たに提供するShachihata Cloud Businessは、セキュリティを強化し、取引先との契約書など重要な書類のやり取りにも対応できるサービスとなる。
シヤチハタ システム法人営業部 部長の小倉隆幸氏は、「従来のサービスでも承認操作が記録され、操作履歴でセキュリティが担保されていた。このようなサービスを社外とのやり取りにも使いたいというユーザーの要望に応え、新たな機能を追加した新ラインアップとしてShachihata Cloud Businessを用意した」としている。
Shachihata Cloud Businessでは、IDとパスワードによる認証だけでなく、メール認証やQRコード認証も可能で、複合的なユーザー認証ができるようになっている。また、リモート署名機能として電子署名の付与に対応し、原本性を高められるほか、タイムスタンプで存在証明も担保できる。
さらに、社内用文書と社外向けの文書をシステム上で識別できる機能を実装し、社内文書が外部に漏れない仕組みも用意した。外部のユーザーがShachihata Cloud Businessで送られた文書を確認する際には、同サービスのアカウントがなくても文書にアクセスできる。
電子決済サービスはさまざまな企業が参入しているが、同市場について舟橋氏は「シヤチハタはIT企業ではないため、競合してその市場を取っていくよりも、協業を中心に進めたい。多くの電子決済サービスがある中で、電子印鑑データそのものはシヤチハタだと言ってもらえるようになりたい」としている。
Shachihata Cloud Businessは、1印鑑あたり月額300円で提供する。注文単位は10ユーザー単位で、最低契約期間は1年。従来版のShachihata Cloudは直販にて販売しているが、Business版はパートナー制度を設けて販売する。
舟橋氏は、「シヤチハタはクラウド決済サービスをベースに、ビジネスで活用できるさまざまなソリューションに取り組み、創業100周年を迎える2025年度には50億円の売上を目指したい」と述べた。