ニュース

日立、ブロックチェーン活用に向けた業務テンプレートや開発フレームワークを提供する「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」

 株式会社日立製作所(以下、日立)は30日、企業の保有する業務データをつなぎ、信頼(トラスト)を担保した企業間取引の実現を支援する「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」の提供を開始した。

 ブロックチェーンシステム開発支援サービスは、高い改ざん耐性を持つブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した業務アプリケーションの開発・導入を迅速化するサービス。ブロックチェーンシステムでニーズの高いユースケースを汎用化した業務テンプレートと、難易度が高いブロックチェーン特有のコーディングを自動生成できる開発フレームワークを独自に開発するなど、ビジネス要件に柔軟かつ迅速に対応できる機能群を整備し、ブロックチェーンのシステム導入を支援する。

 サービスでは、ブロックチェーン基盤の一つであるHyperledger Fabricの利用環境をマネージド型クラウドサービスとして提供する「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用し、ブロックチェーンシステムにおけるアプリケーション開発の迅速化を図る。日立がこれまで培ったブロックチェーンシステムの開発実績をもとに、ユースケースを「証跡共有型」「価値流通型」「自動執行型」の3つに分類し、各類型に対応する開発部品群を整備した。

「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」の概要図

 証跡共有型は、企業間取引において「誰がいつどのような行為をしたのか」を電子的に記録・保証する、ブロックチェーンの代表的なユースケースとなり、サービスでは証跡共有型の中でも特に利用ニーズが高い「電子署名」と「受発注情報のトレーサビリティ」向けの業務テンプレートを用意。また、専門性が求められるブロックチェーンへのアクセス処理を、GUIの定義のみで自動生成できる開発フレームワークを提供する。

 デジタル通貨やデジタル債権などの所有権・利用権の取引管理を目的とする「価値流通型」のユースケース向けには、「トークン」機能を効率的に開発・運用するフレームワークを開発し、2020年度中の提供開始を予定する。

 「自動執行型」は、ブロックチェーン上であらかじめ設定されたルールに従って、取引を自動実行するスマートコントラクトの仕組みを利用するユースケースで、顧客ごとの固有の取引実行の条件などに応じて開発を支援する。

 さらに、たとえば証跡共有型と価値流通型の開発部品群を組み合わせることで、物品貸借において契約署名の電子化と貸借状況の管理を連動するなど、各類型の開発部品群を組み合わせることで、複雑なユースケースにも柔軟に対応できるようになり、さまざまなニーズや要件に応じたブロックチェーンシステムの迅速な構築が可能となると説明。また、日立の専門技術者によるコンサルティングにより、実運用を見据えた最適な環境設計を提案するほか、開発フレームワークのみの提供も可能なため、顧客自身によるブロックチェーンのシステム構築の効率化も支援するとしている。

 サービスの価格は個別見積もり。日立では今後、ブロックチェーンシステム開発支援サービスの導入・管理に、Lumadaソリューションの導入を迅速化する「Lumada Solution Hub」の利用を可能とすることで、より迅速かつ容易に顧客のデジタルトランスフォーメーションの実現を支援すると説明。また、テンプレートの拡充やフレームワークの機能強化を継続的に行い、顧客のデータ利活用を促進していくとしている。