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ブロックチェーン技術によるセキュアな電子契約を実現――、日立が電子署名サービスを開発

3月より本社での先行運用をスタート、7月以降の販売開始を予定

 株式会社日立製作所(以下、日立)は3日、ブロックチェーン技術によるセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発したと発表した。7月以降に国内企業への販売を開始する予定。

 「日立電子署名サービス」は、企業における署名・押印業務を電子化し、いつでも、どこからでも行えるようにすることで、テレワークや業務効率化、コスト削減を実現するクラウドサービス(SaaS)。利用者が文書に署名を行った際に、電子データのハッシュ情報とタイムスタンプ情報をブロックチェーン上に記録する仕組みを備えているが、ブロックチェーン上に格納されるデータは改ざん耐性が高く、従来のリレーショナルデータベース利用時に比べて、データの真正性を高められるという。

 また、利用するブロックチェーン基盤には、日立のマネージド型クラウドサービス「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を採用し、日立運用チームによる安定したシステム運用を提供するとのこと。加えて、相手側の署名押印が認証不適合な場合の差し戻し、署名の委任、承認フローのカスタマイズなど、地域性に応じた商習慣に合った操作・機能を備えている。

 なお一般的に、企業が電子署名・契約を利用する際、取引先側が利用しているサービスに合わせていくつかの種類の使い分けが必要となるケースがある。こうしたことに対応するため、「日立電子署名サービス」では、API連携によって他の電子契約サービスと接続し、署名済み文書をサービス内に取り込んで文書の一元管理を行う機能を提供するとした。

 このほか、医薬・医療、金融や公共機関といった、厳密な本人認証が必要とされる分野への適用を想定して、データの暗号化に用いる秘密鍵を、指静脈などの生体情報から生成する「公開型生体認証基盤(PBI)」とブロックチェーン技術を融合させ、セキュリティ強化を図るオプション機能の提供も予定している。

 日立ではこの「日立電子署名サービス」を、3月から本社の調達部門にて先行運用開始しており、そのフィードバックを反映した上で、7月以降に販売開始する計画。将来的には、北米を中心とする海外企業への展開も予定している。

 また、日立の企業間取引のクラウドサービス「TWX-21」と連携させて、利用企業への付加価値を高め、Lumadaソリューションとして提供する予定だ。