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BLUEFIELDアプローチによるSAP S/4HANAへの移行を加速――、SNP Japan

富士通とのパ―トナー契約について説明

 ドイツに本社を置くSNP Schneider-Neureither & Partner SE(以下、SNP)の日本法人、株式会社SNP Japanは、9月24日に富士通株式会社とグローバルでパートナー契約を締結したことを受け、SNPが提供する「BLUEFIELD」アプローチの概要や富士通との契約締結におけるビジネス展開について、10月22日にプレス説明会を開催した。

 SNPは、複雑なデジタルトランスフォーメーションプロセスを管理するためのソフトウェア分野のグローバルリーディングカンパニー。「SAP S/4HANA」への移行手法のひとつとして、データ変換プラットフォーム「CrystalBridge」を活用した「BLUEFIELD」アプローチを提供している。今年2月に日本法人のSNP Japanを設立し、日本市場での本格的なビジネス展開を開始した。

「BLUEFIELD」アプローチの概要

 SNP Japan 代表取締役社長の村出洋一氏は、「BLUEFIELD」アプローチの特徴について、「現在、SAP S/4HANAへの移行方法としては、SAP S/4HANAシステムを新規で導入する『Green Field』という手法と、既存のERPシステムからSAP S/4HANAへストレートコンバージョンする『Brown Field』という手法の2つがある。当社が提供する『BLUEFIELD』アプローチは、この2つの手法の利点を組み合わせた全く新しい移行手法であり、安定稼働している現行の業務プロセスを再利用しながら、既存のERPをSAP S/4HANAの環境に自動的に変換して移行する。これにより、企業は迅速かつ安全にSAP S/4HANAへの移行を実現し、ITシステムの再構築および最新化を行うことができる」と説明した。

SAP S/4HANAへの3つのアプローチ

 具体的には、データ変換プラットフォーム「CrystalBridge」を活用し、分析・計画フェーズにおいて、SAP S/4HANA化に向けた適用分析を行い、移行スコープやロードマップを策定する。その結果に基づき、設計・導入フェーズで、既存システム環境のシステム部分とデータ部分を分離し、データのない状態の空システム「Empty Shell」を生成する。

 その後、「Empty Shell」をSAP ERP6.0からSAP S/4HANAに変換した上で、業務に必要なデータを選択的かつ段階的に移行することで、顧客のシステムのダウンタイムを最小限に抑えながら、最短6か月でSAP S/4HANAへの移行を実現するという。

 また「BLUEFIELD」アプローチでは、アプリケーションの変更に合わせてデータを調整できるため、SAP S/4HANAへの移行と同時にアドオンの削減や業務改修を行うことも可能となっている。

「BLUEFIELD」アプローチのプロジェクトフェーズ

 そして今年9月、「BLUEFIELD」アプローチのビジネス展開をさらに加速していくため、富士通と「プラチナパートナーシップ」契約をグローバルで締結した。これにより、富士通は日本をはじめ、アジア、欧州、北米などのグローバル市場において、「CrystalBridge」による「BLUEFIELD」アプローチを、SAP S/4HANAへの移行を推進する顧客へ提供していく。

 富士通 EBAS事業本部 第一ソリューション事業部 第二ソリューション部長の北澤誠氏は、パートナー契約の背景について、「現在、多くの顧客企業が既存のSAP ERP6.0を使用しており、“2025年の崖”という大きな課題に直面している。その中で、顧客企業が抱える業務課題を解決しながら、より早くSAP S/4HANAへの移行を実現し、DX推進を支援できる方法を検討していたところ、SNPの『BLUEFIELD』アプローチと出会った。今回、顧客企業のDX推進に向けて、両社が協業してSAP S/4HANAへの移行を促進していくべく、パートナー契約を締結するに至った」と述べている。

 富士通では、10月初旬から「BLUEFIELD」アプローチの提供を開始しており、同社のSAPシステムに関する知見や製造、小売および他の業界における深い専門知識を掛け合わせることで、新型コロナウイルス禍の不透明な経済状況の中でも、顧客企業にSAP S/4HANAへの移行に向けた最適な方法を提供していく。

 SNPとの協業体制としては、セールス、プリセールス、マーケティング、デリバリーによるグローバルでの協業を行い、既存顧客ベース、ターゲット顧客、重点顧客のパイプライン開拓から、販売戦略、技術研修、販売研修、オフショアデリバリー戦略、共同マーケティング活動などを実施する。今後、2022年12月末までに、グローバルにおいて、「BLUEFIELD」アプローチを用いたサービスで100億円の売り上げ(30社への導入)を目指す。