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従来のSIにとどまらないX Integrationへ――、NSSOLが顧客のDX成功を支える新組織発足

 日鉄ソリューションズ株式会社(以下、NSSOL)は7日、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を推進するため「X Integrator」として、従来のシステムインテグレーション(SI)にとどまらない顧客支援を行うと発表した。

 企業のDX実現には、個別最適を超えた統合による変革、積み重ねてきた競争力の変革、単発では終わらない持続的な変革が必要と判断。それをサポートしていくために、「顧客が積み重ねてきた競争力の源泉=業務プロセス・組織・システムの変革」を継続的にインテグレートしていく、X Integratorとして事業展開を行うという。

 NSSOL 執行役員 DX推進ソリューション企画・コンサルティングセンター所長の齋藤聡氏は、「DXの成功は、システム構築だけで十分ではない。業務プロセス、組織まで変えてこそ結果につながる。そのために、NSSOL自身もX Integrationを支える組織体制とする」とし、組織横断でDX支援の取り組みを強化する。

NSSOL 執行役員 DX推進ソリューション企画・コンサルティングセンター所長の齋藤聡氏

DXの成功のために乗り越えるべき、3つの難所

 NSSOLでは、企業がDXに取り組んで成功するためには、3つの乗り越えるべき難所があると指摘する。

 まず、基幹業務処理/記録の整備、顧客接点/情報収集の導入や改善、個別業務プロセス・組織の最適化を、組織の壁を越えて目的を共有・啓発。それまでバラバラだった業務やデータをつなぐ、多岐に渡る変革の統制「統合=インテグレーションによる変革」が必須となる。

 そのために、NSSOLが組織ごとの個別戦略を統合する組織間のIntegration、さらにビジネスをデジタル化していくIntegration、組織の壁を越えて企業同士のIntegrationを進める。

統合による変革
NSSOLがお客さまとともに取り組むIntegration

 次に、積み重ねてきた競争力を変革するために、事業領域ごとに独自のノウハウが集約され、競争力の源泉がつまっている各社の業務システム・業務プロセス・組織制度を変革する。絶妙なバランス上に成り立っているため、何を変え、何を残し、何を捨てるのかといった判断が必要となる。

 「例えば2025年の壁といわれるレガシーシステムをどのタイミングで、どのようにモダナイゼーションするのか?といった課題がこの中に含まれる」(齋藤氏)。

 さらに重要なのが、単発ではなく持続的に変革を続けていくことだ。これまではERP導入、BPRといった取り組みだったが、世の中が加速度的に変化していることにあわせ、組織を変革し続けていくことが必要となる。

積み重ねてきた競争力の変革
単発で終わらない持続的な変革

 こうした課題を乗り越えるためには、SIだけにとどまらないX Integrationが必要というのがNSSOLの見方だ。

 「お客さまの変革だけでなく、システムインテグレータ側にも変革が必要。NSSOL自身も変革していかなければならないが、新しい姿となるのがX Integrator。従来のシステムだけでなく、変数Xに組織も含め、変えていくお手伝いをする。お客さまにとってのファーストDXパートナーとなることが私たちの目指す姿。これは必然であり、必達目標でもある」(齋藤氏)。

顧客の変革実現につながった事例

 そして、具体的にNSSOL自身の競争力として顧客の変革実現につながった事例を紹介した。

 部門間でデータ流通が不全だった製造業の事例。このケースでは、経営サイドから現場まで組織横断で、改革目的、将来像、変革によるうれしさを共有して啓発を行った。さらに、業務・データの一気通貫連携で、設計製造のQCDを向上したという。

 日本製鉄の事例では、これまでの生産・販売ラインが組織ごとにKPIを個別最適化していたため、全体利益を最大化することが難しい状況にあった。そこで、複数事業所の横ぐし連携させ、生産の柔軟性向上と全体最適化による「仮想ワンミル」の実現に向けて動いているとのこと。

製造業の事例
日本製鉄の事例

 また、B2B2Cのサプライチェーン共通プラットフォーム変革の事例では、変革前にはサプライヤーごとの在庫割り当てが煩雑で、商品元ごとの適切な仕入れと在庫管理が難しい、商品パッケージがサプライヤーごとの都合で作られている、といった問題があった。これを在庫データの企業間共有によって、在庫管理・商品パッケージ最適化を実現したという。

 次世代医療基盤法に基づく認定医療情報等取扱受託事業の事例では、匿名加工医療情報の利活用による、医療研究開発の進展をバックアップする内容となっている。

B2B2Cのサプライチェーン共通プラットフォーム変革の事例
次世代医療基盤法に基づく認定医療情報等取扱受託事業の事例

顧客と一体になり、変革のインテグレーションを支え続けられるように変革する

 こうした実績を踏まえ、NSSOLは、これまで培ってきた問題解決力・技術力、豊富な顧客業務知見の蓄積、実直さ・信頼性といった部分を生かしつつ、顧客と一体になり、変革のインテグレーションを支え続けられるように、NSSOL自身が変革していく考えだ。

 具体的には、X Integrationを支える組織体制のもと、答えなき道を探索するマインドを持ち、スピード・アジリティ・仮説検証を行うとのこと。そして、組織横断での取り組みを強化し、事業部×DX推進組織×技術研究といった要素を付け加えていく。

 新組織として、DX推進とソリューション企画、コンサルティングを行う「Digital Transformation Innovation Center(DXIC)」を設立。顧客の変革を迅速・柔軟に支援し、提供価値を高めていくとした。

 このDXICを中核に、ITコンサルティンググループとイノベーション共創&組織改革グループが、DX戦略・計画策定と新しい価値を生み支える役割を果たす。また、アーキテクチャグループがビジネスアジリティを促進するシステムを構築する。加えて、AIソリューショングループ、データ活用グループが、AIの事業適用とデータの利活用戦略を構築する。またBXDCは、UX/BizDevOpsにより、新しい開発プロセスを構築するという。

 X Integratorとして活動するためには、顧客への知見を持っていることが重要になることから、「さまざまな業種への知見は蓄積されているが、製造業に強いNSSOLとしてビジネスをしてきた経験から、やはり製造業のお客さま向けビジネスからスタートすることになるのではないか」(齋藤氏)という。

DXICを設立
DXICを中核とした各組織の役割