米Cloudflare、東京本社としてクラウドフレア・ジャパンを開設

　セキュリティ、パフォーマンス、信頼性を備えたより良いインターネットの構築を支援する米Cloudflare（クラウドフレア）は20日、アジア太平洋地域（APAC）の最新拠点として東京本社「クラウドフレア・ジャパン株式会社」を開設し、IT業界で30年以上の経験をもつ青葉雅和氏が日本代表に就任したと発表した。同日に行われた記者会見では、Cloudflareのビジネスビジョン、および東京本社の今後の取り組みについて説明した。

　会見ではまず、米Cloudflare APAC代表のアリザ・ノックス氏が、ワールドワイドでの事業概況を紹介。「当社は、『より良いインターネットの構築を支援する』というミッションのもと、10年前に設立し、信頼性の高いセキュリティサービスやパフォーマンスソリューションなどを提供している。現在、当社のグローバルネットワークは、世界100か国、200都市以上に拡大しており、網羅するインターネットプロパティ数は2700万以上に達している。また、2020年第1四半期中に毎日450億件のサイバー脅威をブロックしている。そして、先進国のインターネット人口の99％が、Cloudflareのネットワークの100ミリ秒圏内に存在している」とした。

米Cloudflare APAC代表のアリザ・ノックス氏

　「Cloudflareのネットワークは、オンプレミスやクラウド、SaaSで展開されるインターネットアプリケーションの前に存在するグローバルな分散型ネットワークとなっている。ホストとエンドユーザーの間に位置し、高速な接続と高い信頼性を担保するとともに、インターネットプロパティが攻撃されないよう確実に保護する。万が一ネットワークが攻撃を受けた場合には、その脅威をブロックしつつ、それを学習し、次の攻撃に備えるという免疫細胞のような役割を担っている」と、同社が提供するネットワークサービスの仕組みを解説。「これにより、回復力に優れた高速なネットワークを構築し、世界中のインターネットアプリケーションや組織のチームを保護しながら、ユーザー体験を加速してきた。現在、Fortune 1000企業の13％がCloudflareを有料で使用しており、Cloudflareのネットワークを通過する1日当たりのユニークなIPアドレス数は10億を超えている」と述べた。

Cloudflareネットワークサービスの仕組み

　今回の東京本社開設については、「当社にとって、顧客は最も大切な存在と位置付けている。そのため当社は、顧客が所在している地域において、常に顧客と接するビジネスを展開してきた。重要な市場である日本における東京本社開設も、この取り組みの一環となる」としている。

　これまでの日本市場でのビジネス展開としては、2010年のCloudflare設立からわずか数か月で東京への最初のネットワーク拡大を開始し、その後、2015年には大阪に拡大して、日本への投資を続けてきた。そして今回、日本法人となる東京本社のクラウドフレア・ジャパンを開設。シトリックス・システムズ・ジャパンで代表取締役社長を務めた経歴を持つ青葉雅和氏が日本代表に就任した。

クラウドフレア・ジャパン 日本代表の青葉雅和氏

　青葉氏は、「Cloudflareのネットワークサービスは、ファイアウォールやIoTセキュリティ、DDoS攻撃対策などのセキュリティ機能をベースに、パフォーマンス／信頼性にかかわる機能、さらにはCDN機能を拡張し、これらを統合化したインテリジェントプラットフォーム上で提供する点が大きな特徴となっている。これによって、顧客に対して高速かつセキュアで簡単なネットワークを構築することができる。また、最近では、ゼロトラストソリューションやサーバーレスプラットフォームの機能も取り込んでいる」と、Cloudflareのネットワークスサービスは現在も進化を続けているとアピールした。

Cloudflareの統合インテリジェントプラットフォーム

　日本市場でのビジネスは、米本社設立当初から継続して進めてきており、すでにIIJやダイキン、ソニーミュージックなど多くの企業に採用されているという。また、国内のパートナー企業として、アクセリア株式会社、クラスメソッド株式会社、株式会社ディーゼロ、ドーモ株式会社（Domo）、MKI（三井情報株式会社）、株式会社Spelldata、GlobalDots合同会社と連携し、共同での顧客対応を行っている。

　今後の展望について青葉氏は、「東京本社の開設を機に、今後はエンタープライズ企業にフォーカスを当て、拡販展開を推進していく。そのために、ラージSIerともパートナー連携を行い、共同で大規模ネットワークシステムを構築していくことを計画している」との考えを示した。