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スーパーストリーム、請求書の入力処理から会計システムへの連携までを自動化する新オプション

AI技術を活用

 スーパーストリーム株式会社は、「SuperStream-NX AI-OCR(請求書)」を8月1日から発売する。

 同社が販売している「SuperStream-NX 統合会計」のオプション製品であり、OCR機能と会計業務に特化したAIを組み合わせることで、請求書の入力処理から会計システムへの連携までの一連の業務プロセスを自動化。請求書情報の読み取りから仕訳データ、支払伝票の作成までのデジタル化によって、煩雑な請求書の入力業務の負担軽減と生産性向上を実現するのが特徴だ。

SuperStream-NX AI-OCR(請求書)の画面ショット

 スーパーストリーム 企画開発本部長の山田誠取締役は、「SuperStream-NXにAIを搭載したのは、今回の製品が初めてとなる。経理/財務部門には、BX(Back-office Digital Transformation)が求められており、それを実現するために、スーパーストリームらしい、会計ソフトメーカーならではのAIを活用した製品が用意できた。これがBX実現のための第1歩となる。今後も第2弾、第3弾となるAI機能をSuperStream-NXに追加していきたい」と述べた。

スーパーストリーム 企画開発本部長の山田誠取締役

請求書の入力処理から会計システムへの連携までを自動化

 スーパーストリームは、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループの1社で、1986年に第1号製品を発売以来、日本の企業に向けた会計および人事に特化した製品を投入し続けてきたのが特徴だ。

 2009年に発売した経営基盤ソリューション「SuperStream NX」は、20以上の会計・人事システムで構成。2020年3月31日時点で、805社の上場企業を含む9478社に導入されており、2021年度には1万社の導入を目指している。

 今回新たに発売する「SuperStream-NX AI-OCR(請求書)」は、AIを活用することにより、読み取った請求書情報をもとに勘定科目を推論。仕訳データを自動作成して、会計システムと連携できる点が特徴だ。

 具体的には、請求書をPDF化したのちに、クラウドで提供されるAI-OCRによってAIが解析。読み取った内容をもとに勘定科目を推論し、自動で仕訳データを作成して、その信頼度とあわせて会計システムに登録する。

 自動仕訳で作成した仕訳データは、支払伝票作成画面でPDFの請求書を見ながら確認でき、承認処理後、支払い処理に連携される仕組みで、支払い業務の負荷を大幅に軽減できる。これにより、仕訳入力から支払い業務までの生産性を大幅に向上させることが可能という。

 またAI-OCRは、ディープラーニング(深層学習)により学習を繰り返し、精度を高められるため、フォーマットを問わず、さまざまな請求書の画像解析が可能になったとのこと。加えて、個社ごとに個別ルールを設定できるため、仕訳の精度をさらに高めることができる。

 「PDF化したデータをクラウドにアップロード。ここで、ディープラーニングの技術を活用して、さまざまなフォーマットの書類に対応することができる。データの縦横位置を修正したり、文字が薄いところは濃く修正して読み取ったりできるようにしている」とした。

SuperStream-NX AI-OCR(請求書)

 なお、会計システムに必要なデータを抽出できる点が最大の特徴とのことで、「請求書や注文日、支払日など日付だけでもさまざまな情報があるものを分類できる。書店で本を購入した場合にも、会計システムで必要なのは書店名ではなく、相手先コードである。必要な形でデータを抽出し、会計システムに渡す仕組みとしている。このほか、ディープラーニングにより、勘定科目を推論するだけでなく、ユーザー別のルールベースの設定も組み合わせることが可能。これらが、会計ソフトメーカーならではのAI-OCRといえる部分になる」などと述べた。

 読み取った請求書の電子ファイルは、エビデンスとして仕訳に添付され、SuperStream-NXに自動連携される。さらに、SuperStream-NX証憑管理e文書対応オプションと組み合わせることで、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度にも対応し、ペーパーレス化を促進できる。

 「SuperStream-NX AI-OCR(請求書)は、クラウドユーザーもオンプレミスユーザーも導入でき、約9500社のSuperStream-NXのユーザーすべてが利用できる。AI-OCRによる請求書の画像解析処理は90%以上の認識率となっている。これにより自動化率を高めたい」としている。

 価格は、年間1万2000枚まで対応可能な1セットが、年額120万円から。

 同社では、「請求書の入力業務に比べて、約40%~50%の効率化を実現したいと考えている。月1000枚の請求書の処理を、10万円相当で利用できるソリューションであり、請求書などの入力業務を行っている派遣社員の給与が30万円だとすると、その作業を半分にまで効率化できれば、大きな費用対効果が生まれる」と見ている。

 もちろん、削減した人による作業工数を、より高度な業務に活用することが可能になるため、その面でもメリットがあるとのことだ。

出社を余儀なくされるバックオフィスを支援

 新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、テレワークを前提とした新たな働き方が浸透するなか、経理および人事部門では、これまでの商慣習や紙書類の対応が必要な業務が多く、出社を余儀なくされているケースが多いのが実態だ。

 実際、新型コロナウイルスの広がりは、決算業務や給与業務を直撃しており、日本中の企業の経理部門や人事部門の社員が出社を余儀なくされている。

 今年4月に同社などが実施した調査によると、経理/財務部門では、すべての業務をテレワークで行っているとした企業は26%にとどまっており、42%が一部の業務をテレワークで行い、リモートではできない業務を出社して対応。また、約3分の1にあたる32%の企業で、多くの業務がリモートで行えないために、基本的に出社していると回答している。

 同社では、「経理/財務部門は、ほかの職種に比べて出社した人が圧倒的に多い」とする。

 また、経理/財務部門でテレワークが進まない要因では、「業務に必要な書類などが電子化しておらず、紙ベースでやりとりする必要がある」が66%、「業務に必要なシステムがクラウド化されていないか、社外への持ち出しやアクセスができないため」が45%を占めている。

 電子化されていない書類では、「支払い業務、承認処理、認憑管理」が64%、「稟議、決裁書類」が49%、「社員の経費精算書類、承認処理」が44%となっている。

 その一方で、今後の生産性を上げるために必要な施策として、「紙ベースの書類や手続きをすべて電子化する」が64%、「単純作業はRPAなどの導入によって自動化する」が56%、「完全なリモートワークが可能になるよう、クラウド対応の業務システムを導入する」が32%になっており、「AI-OCRによる入力作業の負荷軽減」も18%に達している。

 同社による別の調査では、請求書などの証憑にAI-OCRを利用したいとの回答は、「使用したい」が13.3%、「評価したい」が40.0%となっており、期待される業務の削減効果では、8割の効率化が26.9%、5割の効率化が44.2%と、大幅な作業削減効果を期待していることがわかる。

 「AIの活用によって、経理業務の生産性を上げることが必要になる。ここでは、AI-OCRの活用が注目されている」とする。

 スーパーストリームでは、経理部門のテレワークを促進するためには、社内/社外の紙の撲滅、領収書や請求書、検収書の電子証憑、スキャナ保存法への対応を推進する「紙の撤廃によるペーパーレス化」、経理/人事部門の働く場所を選ばず、テレワーク前提の働き方を寺実現するための「クラウドの利用拡大」、AIやロボットに定型業務を任せ、労働生産性の向上させる「AI・RPAの活用」の3点を挙げる。

経理部門が変わるべき3つのポイント

 そこで、在宅で経理業務を行うためのクラウドサービスの導入や、支払い・経費精算業務における証憑の電子化によるペーパーレス化の推進、RPAやAI-OCRなどにより定型業務の自動化を実現するための仕組みの提案を加速する。

 「バックオフィスは投資が後回しになっているケースが多い。経理/財務部門の社員だけが、新型コロナウイルスへの感染リスクがありながらも出社するということは避けなくてはならない。コロナ禍において、経理/財務部門の業務改善に力を注ぐ企業も増加しており、今回のAI-OCRの先行導入にも、多くの企業が名乗りをあげている。これまで5人でやっていた作業を、1人が週に1回出社し、PDF化の作業ができればいいということになれば、それだけでも貢献できる」としている。

 また同社では、「今後の開発ロードマップにおいても、経理/財務部門の在宅勤務を促進するために、電子化やAIに関する機能強化を優先していきたい」と述べた。

 なお、同社では、8月6日に、「テレワークを推進するために押さえておきたいSuperStream-NXの3種の神器とは?」と題したセミナーを開催。「SuperStream-NX AI-OCR(請求書)」の紹介も行う。